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プロダクトを通して社会をどうよりよくしていくか【後編】
前編を読んでからこちらを読んでいただくのをおすすめします。
前編ではどうして飲食店×AI×SaaSプロダクトを開発しているのかをお話ししましたが、今回はその中で弊社の強みと、将来的な展望と、社会に対するインパクトについてお話しできればと思います。
強みを生かしたプロダクト開発のストラテジー
我々のプロダクト開発のストラテジーは、自社で飲食店を経営していることであり、ユーザーのリアルな声をききながら、何なら自分たちでユーザー体験をしながら設計、開発ができることです。vertical SaaSにおいて重要なのはこのようにユースケースにズレがないことだと思っています。
例えば勤怠管理アプリの要件定義をしている時、「アルバイトってこういう動きするよね」というアルバイト側の理解はしている人も多いかもしれませんが「店長ってこういう動きするよね」という、経営者側/オーナー側のリアルな動きまで理解ができるのです。このように実際の店舗運営の現場でプロダクトをテストし、機能のブラッシュアップを行うことができます。この実地テストにより、飲食店のオペレーションに対する高い解像度を持つことができ、現場での具体的な課題を深く理解しています。
これにより、飲食店向けに特化したシンプルで直感的なインターフェースを実現することができます。実際の店舗運営の経験から得た知見を基に、プロダクトの使いやすさと機能性をさらに高め、ユーザーの潜在的課題にさえもアプローチできるような継続的な改善とイテレーションを重視していきます。さらに今後は、AIや機械学習を活用した高度なデータ分析機能を導入し、ユーザーにとって価値のあるインサイトを提供していきたいと思っております。
将来の展望と社会へのインパクト
Fintech×飲食店×SaaSから、AI×飲食店×SaaSへ
現在、我々はFintech SaaSを通じて、飲食店のDXを推進しています。これによって、飲食店は効率的な支出管理や予算計画ができるようになり、多くの店舗で経営の透明性と効率性が向上し始めています。
しかし、我々の目標はさらに高く、次のステップとしては、これらのデータ分析をコンサルタントではなくAIによって自動化し、さらに高度なインサイトを提供することを目指しています。
現在は弊社のコンサルタントがお客様のデータを分析していますが、今後は限界があります。今後は何千何万店舗のデータを扱い、最適な提案をできるようにならなければいけないため、AIの導入は不可欠なのです。
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AIの導入により、原価と顧客の注文履歴を基に、メニューの最適な配置や適切な価格設定を提案することが可能になります。具体的には、おすすめメニューと表記されていたらついつい注文してしまう、あの行動を元に対策するのです。今日ロスになってしまうものをおすすめしたり、季節もので満足度が上がりやすいメニューなどをメニューのトップに表示させたり。多くの飲食店は印刷されたメニューなので簡単には変更ができませんが、モバイルオーダーを使い、AIがおすすめをチョイスしてくれるのであれば毎日適切なメニュー表になるのです。適切な価格設定についても、地域と業態による平均的な価格が分かれば、それに対して価格設定ができます。感度の高い飲食店経営者が感覚でやっているものをデータ化したいのです。
また、電話対応の手間を省くためにAI電話予約応対サービスを開発する計画に動いています。
中・小規模の飲食店では電話予約の機会損失がたくさんあります。営業時間外に電話対応できないというのはもちろんですが、営業時間中であっても接客や調理によって電話対応を後回しにしてしまいます。また、私も気持ちはわかるのですが、アルバイトなどでは電話対応が面倒で電話にでないということもあると思います。このような実態があるため、地方の小さな飲食店であっても月に100件近くの電話をでられていないという結果もありました。電話のうち全て予約というわけではないとは思いますが、多くの予約を失っています。また、せっかく電話にでてくれたとしても、ちょっと対応がうまくできなかっただけで口コミに「対応が悪い」「態度が悪い」などと書かれてしまう事例も見ました。
こういった問題を解決するためにも、AIが電話対応してくれるというのは飲食店にとってとても良いサービスだと考えています。
AIを活用して店舗ごとの売上データや顧客データを解析し、経営者に対してより具体的なアクションプランを提案することが重要だと考えます。例えば、季節ごとの売上トレンドを予測し、それに基づいたプロモーション戦略を提供することで、売上の向上を図ることができます。また、AIによるスタッフのシフト管理や効率的な人材配置の提案も行い、労務コストの削減とサービス品質の向上を目指します。
持続可能な成長と社会貢献の可能性
我々のプロダクトは、飲食店の効率化と利益の最大化を支援するだけでなく、環境への配慮も考慮しています。
例えば、飲食店は1年で数千店舗閉店すると言われています。2023年は日本の飲食店自体が減った年ではありますが基本的に減った分うまれるような業界です。お店が潰れてはできてを繰り返すことで環境への負荷がかかっています。居抜きで内装をそこまで変えなかったとしても、閉店するのに捨てるもの、開店するのに新たに購入するものはたくさんあります。だからこそお店が潰れないよう利益がしっかりと出るようになることで環境負荷を軽減することができます。
また飲食店が潰れにくい状況をつくることで飲食店同士の競争力を高めることができます。これにより、飲食店のレベルも向上しますし、地域経済の活性化にも寄与します。
さらに、将来的にはプロダクトを通じて得られるデータを活用し、飲食業界全体のトレンドや課題を明らかにすることで、業界全体の改善に貢献したいと考えています。
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我々の飲食店向けAI SaaSは、単なるツールではなく、飲食業界全体を変革し、持続可能な成長を実現するための重要な手段です。我々のプロダクトは今後も進化を続け、”AIの力であなたのお店が潰れない社会をつくる”ために飲食業界に貢献していきます。