第164回 道真追放 の巻
道真追放の勅令文は不自然な点だらけでした。
【不審点 その1】
客観的な事実にもとづく証拠がない。
もう・・・この時点で「ハイ、終了~」と言いたくなります。
なんと文面には「道真は心の中で反逆している」と、「心の中」を罪の根拠にしているのです(ホントです)。
【不審点 その2】
いきなり追放
たとえ罪人であれ、通常は「弁明」の機会が与えられます。
実際は弁明という名目の「拷問」で自白させ、自白を根拠に有罪とするわけです。決してよいやり方ではないものの、いちおう筋が通っています。しかし道真の場合は弁明の機会が全くなく、勅令、即、追放。異例です。
【不審点 その3】
道真に対する勅令文なのに「次の右大臣は源光(みなもとのひかる)である」と、なぜか次の右大臣の人事がバイネームで記載されていました。なぜそれを今、道真に伝える必要が?
全体を通して公文書と思えないほど文章がヘタで、論理的でもなく客観的事実もない内容です。
おそらくきちんとした学者に作成させられず、素人が書いた文書だと想像します。正式に学者に文書作成を依頼することで情報が宇多法皇にもれる可能性があったからでしょう。
これらの点から、道真追放は秘密裏に計画され、邪魔が入る前に電光石火で実行せざるを得ないものだったことが裏付けられるようです。
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