気が散らない空間作りとモノ選びの基準
部屋のモノを少しずつ処分するようになったのは、身の回りにある文字情報が自分の思考をかき乱し、集中を阻害することに気づいたから。
たとえば、パッケージに書かれた商品名やキャッチコピー、インテリアに散りばめられた装飾文字など、視界に入るたびに無意識に情報を読み取り、気が散ってしまう。
文字が視界から消えるだけで、心が静まり思考もクリアになることを実感し、そこから少しずつモノを減らし始めた。本棚に並べた書籍の背表紙も気が散るため、思い切って本棚ごと処分した。
「ミニマリスト」という言葉を知ったのはそのすぐ後で、自分の行動が自然とその方向に向かっていることに気がついた。
モノを減らす過程で、「自分にとって本当に必要なものは何か」を考えるようになった。部屋が物で溢れると、どうしても管理が疎かになり、結局モノ一つひとつへの愛着も薄れてしまう。
そうした中で、次のような基準が自然と生まれ、モノの選び方を少しずつ整理するようになった。
1.使っていてテンションが上がるか
モノにはただの実用品としての役割だけでなく、日常に小さな喜びや刺激を与える役割もあると思う。お気に入りの『KINTO』の耐熱カップで飲むコーヒーはほっとするし、手触りやデザインにこだわった文具や日用品は、作業のモチベーションを上げてくれることがある。メモするときなどに使う『ユニボール シグノ』のボールペン(0.38mm)は、書き心地が良く気分が上がるアイテムで、生活の質を高める要素の一つだと考えている。
2.着ていてテンションが上がるか
服も同じように、機能としてだけでなく、身に付けると気分が上がるかが重要な基準になる。シンプルなデザインで自分の体型にフィットしたジャケットや、好きな色や質感のシャツは、毎日の気分を明るくしてくれる。Tシャツやトレーナーはオーバーサイズで着ることを好むが、ジーンズはジャストサイズを選ぶなど、自分にとってしっくりくるスタイルを見つけることで、服への満足度が上がる。
3.トレンドに流されていないか
一時的な流行に影響されて購入したものは、結局長くは使っていなかったりする。以前は、流行りのデザインのバッグを購入したりしていたが、数ヶ月で飽きてしまった経験がある。トレンドに関係なく自分が好きだと思えるもの、長く使えそうなデザインや品質を重視することで、無駄な買い物を減らすことができる。
4.複数の用途があるか(兼用できるか)
一つの用途に限定されず、複数の用途で使えるものは持ち物を減らす助けになる。自室でのテレワークでは『KINTO』の水筒をコップ代わりに使用し、出社時にもそのまま持ち歩いている。出社時に使用する鞄もビジネスカジュアルで違和感のないものを選ぶようにし、ON・OFFで兼用できるようにしている。そうした「兼用できるもの」を選んだり、自分なりに兼用方法を見出したりすることで、無駄なものを増やさずに済む。
5.専用のものでないか
キャベツの千切り専用カッターのように、特定の用途にしか使えない道具は、頻繁に使わない限りスペースの無駄になる。代わりに、汎用性の高い包丁で千切りに挑戦し、切り方は動画を参考にして技術を補うなど、自分でできる範囲は自分でカバーすることで同じ役割を果たしつつ、収納スペースも節約できる。
6.シンプルなデザインか
視界に入る文字やイラストが少ないと、自然と気持ちが落ち着くことが分かったため、インテリアや日用品はできるだけシンプルなデザインのものを選ぶようにしている。無地のティッシュケースや柄の入っていない食器など、余計な装飾がないものを選ぶことで、見た目にノイズがなく、心が安定する要素になっている。無印良品の商品は好んで買うようにしている。
7.管理やメンテナンスが楽か
モノを管理する手間やメンテナンスが負担になると、次第に使わなくなってしまう。革靴などは見た目が良いが、手入れが必要なため、通勤時にしか使用していない。一方、手入れが楽なスニーカーは気軽に履け、実用性も高い。出社時も黒のスニーカーで通勤できるようになりたい。
8.処分するときに手間がかからないか
処分に手間がかかる素材や大きさのものは、持つこと自体に抵抗を感じてしまう。粗大ごみ扱いになるものはなるべく避け、支障がなければなるべく小さいものを選ぶようにしている。家具を選ぶ際には、木製などリサイクルしやすい素材や分解可能なものを選ぶことで、将来の処分のしやすさも考慮している。
9.使用頻度はどれくらいか
日常でそれほど頻繁に使わないものは、100円均一などの安価なもので済ませるようにしている。例えば、掃除用の小さなブラシやメモ帳など、気軽に買い替えができるものはコストを抑えることで負担を減らしている。また、以前は出社が当たり前だったのでYシャツを複数持っていたが、今は基本テレワークとなったため1枚だけ残してあとは処分した。こうしたライフスタイルの変化も見据えて、使用頻度や1回あたりのコストから購入を検討したりしている。
10.自分の生活に重要か
日常的に使うベッドや椅子などは、少し値段が高くても快適さや耐久性を重視する。毎日使うものの質が高いと、生活全体の満足度も高まる。日常でそれほど頻繁に使わないものでも、満足度が高かったり、使用時にテンションが上がるものだったり、自分の生活に重要なものであれば質が高いものを選ぶようにしている。
このように基準を設け、日々の生活の中でモノを見直すことで、本当に必要なものが何かを理解しやすくなった。
これからも、自分にとって快適で必要なものだけを残しながら、この基準は一生をかけて見直し随時アップデートしていきたい。