生えてくると思っていた——性自認にまつわるひとりずもうの記録 2/2
9.転機 男性器が生えてくるという強迫観念を、手放す……とまではいかなくとも、いっこうに様相の変わらない性器のようすにひとまず安心してよさそうだと思えたのは、高校2年生のときになってようやくだった。
その年にはじめて彼氏ができた。彼との恋愛を通して女性器を使った性行為ができると確認できたのはとても大きなことだった。わたしの中には男性の芽がひそんでいるかもしれず、それでも恋愛対象である男性とはどうやらセックスができるらしい。そのことはわたしに大きな安堵をもたらした。妊娠はで