《児童小説》 吾、猫になる 1 ようこそ、キャットストリー島1
夢話ノ壱 黒猫見参!
暗い暗い森の中、黒猫一匹、迷い込んだ。
「にあぁ〜!!どこぉー、こーこー、ひぃーぃ!!」
道の両脇の大杉がぐーんと、アーチみたいに、ずずーんと上に伸びて、黒猫には薄気味悪くて、びくびく。
少し行った先、ナラの木、チラホラ、秋から冬のちょうど真ん中、落ち葉が、獣道、いっぱい落ちて、黄色い葉っぱの絨毯が、真っ直ぐ伸びて、そこだけ、きらきら光ってる。
黒猫は、落ち葉がなんで、光っているのかと、首を傾げて、見上げた。
大杉の隙間から、やわらかな光りが差している。そう、月あかり。
「にゃぁーんだ、お月様かぁ!」
ビクビクしていた黒猫は、ほっと胸を撫で下ろし、分かれば、スタコラサッサ、獣道、颯爽と駆け出した。
「急げ!急げ!いそぉ〜げ〜♪お祭り、お祭り、お祭り、わっしょいぃ!」
陽気に鼻歌歌いながら、ぐんぐーん、スピードは、乗りに乗って、競走馬のようだ。
「あ!近道、みーけったにゃぁ!!」
急に、直角90度、方向転換したものだから、黒猫は、坂道をすってんころりん、コロコロコロ。
ばたん、きゅーっと、下まで転げ落ちて、大の字、仰向け、ぐるぐるぐるり、目をコマみたいに回して、意識がぴゅーと、どっか、飛んでった。
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