食べたいカレーがあるときは今すぐ行こう【ハッチャーソン@世田谷駅】
2024年1月にオープンしたカレー屋さん・ハッチャーソン。
世田谷駅前交差点の一角にあるビルの2階。
深緑色に塗られたアーチ状の入口をくぐって階段を上がる。白を基調としたシンプルな内装に、木漏れ日が差し込んで気持ちがいい。
メニューは、チキン / キーマ / ポーク / マトン / シーフード がベース。
時々ビーフもあるみたい。
この中から週替わりで4〜5種類が供される模様。
毎週すべてが変わるわけではないけれど、一部を変えながら週ごとにメニューが構成されている。
今週食べたいと思ったメニューは来週あるかもしれないし、ないかもしれない。だから、食べたいカレーがあるときはすぐにでも足を運ぶべし(自分への戒め)。
今までの傾向からすると、私はチキンを選びがち、夫はポーク/マトンを選びがち。
にしても、私はこのハッチャーソンの何に惹かれるって、そのラインナップ。一筋縄ではいかないメニューの並びに、変化球好きな私はいつも心を撃ち抜かれている。
ある日のメニューたち
(それぞれ別日)
キーマにヨーグルトソース、ミントとマトンとか、山椒カッテージチーズとか、もう組み合わせが気になるし。
ホワイトチキンとかあおさ海苔のコルマなんか、想像ができそうで…全然できない。
ミントや柑橘、山椒など、陰の立役者としてカレーに使われることはあると思う。でも、それをメニュー名として出しているところが妙にグッとくる。
「隠し味じゃないですよ、彼らを前面に押し出していますからね」って静かに宣戦布告されてるみたいな。
デザートメニューも渋い。
「ムング豆を餡にしたんだ…」
「チャトニって?へぇ、チャツネのことなんだ。え、苺をチャツネに?」
メニュー表を読み込んだり、単語を調べたり、心で三段階のツッコミをしているだけで待ち時間が楽しめる。
なんならメニューを読み込む前にカレーが運ばれてきて「あぁ、もっと読みたかったのに」と思ったことさえある。なんなんだ、私は。
違う週には、伊予柑バターチキンとか、わさびチキンティッカもあった。食べたかった。
お店のインスタのハイライトに今までのメニューが載っているので、気になる方は是非見てみていただきたい。
さぁ長くなったので、ここからは、いざ実食。
ホワイトチキンカレー
見た目は白っぽいけどいわゆるホワイトシチューとも全然違う。
ガツンとした強さや辛みはないけれど、奥の方からほんのりスパイスの味と香りが三段階ぐらいに波打ってやってくる感じ。
サラサラなんだけど、少し硬めのイエローライス(サフランかターメリックか…わからなくてごめんなさい)にスーッと染みこむ。カレーとライスのなじみ具合よ。
チキンとフライドオニオンとライスをすくって口に含んだ時が至福。付け合わせのキャベツも美味しい。単独で箸休めにもなるし、カレーと食べても味が馴染む。なんてことでしょう。
味を一生懸命思い出しながら書いているけど、実際は、ただひたすらに「美味しい、美味しい」と思いながら食べた。
新玉ねぎとミントのマトンカレー
コチラは夫が注文したものを一口味見。
最初にほんのり酸味がきた後にスパイスの辛みと新玉ねぎの甘みをじわじわ感じる。マトンは全くクセがなく食べやすい。
どっしりしたスパイスカレーなんだけど、ここで威力を発揮するのが生の新玉ねぎとフレッシュミント。爽やかの代名詞みたいな両名がアクセントとなり、軽やかな味わいを投入する。だからか、重さは全くない。夫はかなり気に入っていた。
あおさ海苔のチキンコルマ
これはメニューを見た時から食べると決めていた。名前に一目惚れ。
白濁色なカレー全体にあおさ海苔が溶け込んでいるのが見てとれる。すでに期待大。
いざ食べてみると「そんなにあおさを感じないかも?」と思ったのも束の間。実際は「感じな…」あたりから、フワーッとあおさの風味が口中に広がった。カレーのコクと甘みもしっかりある。
カレーとあおさの旨みが最高地点に達する、ここしかないというピンポイントを突いて味が構成されていると思われ。少しとろみのあるあおさが舌に絡み、喉を通る最後の瞬間まで香りを残してくれる。
いや、最高か。
細くカットされた青ねぎが時々シャキッときて、食感と味のアクセント。
最近食べたカレーの中でも、とてもとても好きな味だった。
豚バラ軟骨のローストココナッツカレー
コチラはまたまた夫が注文したものをお味見。
お肉は歯がいらないぐらいに柔らかく崩れている。ふんわり感じるローストココナッツの香ばしさのおかげか、スパイスが際立つ。
上にトッピングされた生のトマト・玉ねぎ・生姜。ものすごく慣れ親しんだ食材なのに、ハッとするような新しい味わいを感じさせるのはすごい技だ。
いつもカレーの中に浸かっているプチトマトがライスの上にいる。かわいい。これは、あえてなのか?たまたまなのか?好きがゆえ、無駄に考察しちゃったりする。
塩キャラメルチャイアイスクリーム
食べた瞬間「スパイスすご!」と、小さく叫んだ。色んなアイスを食べてきたけど、ここまでスパイス感が強いアイスはあまり出会ったことがない。本当に、チャイの味そのまんま。
上にかかったソースはしっかり甘め。おそらく、これぐらいの甘さがないとこのスパイス感と対等に渡り合えないのだろう。甘いかなーと思っていると、粗挽き胡椒と岩塩がピリっと締めてくれて、結果的に素晴らしいバランス。
甘酒と黒糖のアイスクリーム ムング豆の餡
甘酒と黒糖。この2つを並べただけでもそそられるのに、ムング豆まで。
アイスはねっとりなめらかな口当たり。甘ったるさはなく、口の中でスーッと溶ける。皮と粒感が残るムング豆の餡は、ほんのりスパイスが効いてクールな印象。
それぞれ食べても美味しいけど、これもまた合わせて食べることで味が完成する。店主さんの計算力の凄さ、もはやこわい。
おそらく、アイスクリームが甘酒だけ、もしくは黒糖だけではこうはならない。甘酒・黒糖・ムング豆がそろってこそ。ハッチャーソンの三種の神器か。
いつか食べると決めているメニュー
それは、カツ・ビンダルー。
他のメニューがどれだけ変わろうと、PORK欄に鎮座するこのメニューだけはずっと変わらない。
これが定番であり、一番の推しメニューなのであろうと推測する。
私が初めて行った日に、隣の席の女性が注文していた。運ばれてきたものがあまりに美しく、気になりすぎて三回ぐらいチラ見した。
その後、知り合いの女性からも食べたと聞いた。その人は普段あまり揚げ物を食べないけれど、カツが重くなくてとても美味しかったそう。
気になる。気になるんだけど、変化球が好きな私はつい別のものを頼んでしまう。カツ・ビンダルーはまた来た時でも食べられる、とか思って。
でも、そんなこと言ってるとある日突然メニューから消えてしまうから注意が必要だ。
いつまでも あると思うな カツ・ビンダルー
(自分に対する戒め)
私はともかく、夫には早めに食べてほしい。そして味見させて欲しい。
こちらのハッチャーソン。オープンして数ヶ月なのに、ランチタイムに満席で入れなかったことがある。だから秘密にしておきたい気持ちもちょっとあった。
でも「美味しい」は誰かと共有したほうが、自分の記憶の中でもっと美味しくなる。それに、これを読んでくれた知らない誰かが「食べたいな」と思ってくれたら、そんな嬉しいことはない。
行くときは、是非メニューをチェックして臨んでみてください!
[写真 : Masayuki Nakano](メニューとホワイトカレー以外)
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