まあお訳古今集 恋はいちごを添えて四
こんにちは、まだまだめげない自称作家の あまおう まあお です!
古今集の意訳=いちご訳シリーズ、第四弾ですね。第壱弾と第弐弾・第参弾はこれね。
ここまで大字で数えておいていきなり「四」とか(笑)、という方のご意見も分かりますけどね。「肆」とか言って、いちげんさんは読めないんじゃないですか?
ご祝儀で四萬円なんて出さないんだから……! というわけでシンプルに四です。妥協じゃありません、配慮です。
私はひとの気持ちを考えられるタイプの自称作家なんです……!(あっやめて閻魔様、せめて麻酔をかけてからにして~)
というわけで、前回の続きですね。今、いちご訳休止しているんで、このシリーズは一旦ここでおしまいです。完結ではないですが、次の執筆期までおあずけです。そもそもこの企画、読書ツイートの代わりにお茶を濁す目的でやってることでしたからね。今は読書期なので、必要がないんです。
ファンの方はもしいたら、次の執筆期をお楽しみに……☆ 私は少しも楽しみじゃないが(執筆そんなに好きじゃない)。
恋歌一
思ふには忍ぶることぞ負けにける 色にはいでじと思ひしものを
負けを認めます。ひそやかに恋慕おうと思っていましたが、ポーカーフェイスが崩れてとうとう顔に出てしまった。僕はあなたが好きなんです。
#いちご訳
これも伊勢で見たけど、下の句が違いますね。「逢ふにしかへばさもあらばあれ」ヤケというか切迫というか、業平様の恋にかける情熱凄いですね! 歌としては「色には」の方が整っている。でも、オチるのは「さもあらばあれ」でしょうね。え、私だけ……?
#もうどうにでもなあれ
恋歌一
わが恋を人しるらめや しきたへの枕のみこそ知らば知るらめ
私の恋は誰も知らないの。でもそうね、知っているとしたらそれは、私の嘆きの染みこんだこの枕だけなのかもしれないわね。
#いちご訳
言葉遊びのように繰り返す「知る」。枕だけが歌の中でも孤立しています。しきたへの、は「枕の枕詞」だそうです!
面白く、そこはかとなく隠微ですが、私はあんまりこういう経験はないですね。喋っちゃうので!
#みんな知ってる
恋歌一
浅茅生(あさぢふ)の小野の篠原 しのぶとも人しるらめや いふ人なしに
チガヤ茂る小野の篠原、か。僕も「しの」んでいるんです。そのせいであのひとは気づかない。誰の噂にものぼらない、そんな恋だから……。
#いちご訳
実にリズムがいいですが、枕詞というだけでなくこの草の茂っている様子が「忍ぶ」(隠れている)ことを暗喩しているように思いますね。
これを本歌取りしたのが百人一首にありましたね。「あまりてなどか人の恋しき」
明らかに古今の方が浅茅生が意味を持っていると思いますが。
#気のせいかな
恋歌一
人しれぬ思ひやなぞと 葦垣の まぢかけれどもあふよしのなき
僕の密やかな恋心なんて「それがどうした」とでも言いたげに、この悪い垣根が隔てるのです。こんなに近くにいるのに、あなたに逢うよい口実も見つからなくて。
#いちご訳
「あし」垣。あふ「よし」。これ、対比の掛詞じゃないですか? と思って訳出しました。これくらい余裕がある感じもまた、私は好きですね。ついつい返歌したくなってしまう。……でも返歌のダジャレ、どうしようか?
#恋はオシャレに
恋歌一
思ふとも恋ふともあはんものなれや ゆふ手もたゆく解くる下紐
知っているわ。どんなに恋慕ってもあの方には逢えない。それなのに私の下紐は、ほら、結んでも結んでも自然にほどけてしまうのよ……。
#いちご訳
これはですね。着付けに使う腰紐的な下紐というのがあって、これが自然にほどけると好きなひとに逢えるという俗信があったらしく。伊勢にも出てくるんですが、紐が解けるってどう考えても、ねえ?
#そういう意味だと思いますが #この国エロい
恋歌一
いでわれを人なとがめそ おほ舟のゆたのたゆたに物思ふころぞ
ちょっと勘弁してくださいよ。僕もう、恋の悩みでいっぱいいっぱいなんですよ。ああもう、ふわっふわしちゃって、使い物になりませんわ。
#いちご訳
これはワロタ! 現代人も使っていいと思います。というか、私にはこれ二日酔いの歌に見えるんですが、いいですね! 会社や大学でお使いください。「ゆたのたゆたに」と言われちゃ責める気も失せますよ!
#私は二日酔いしませんが
恋歌一
伊勢の海につりするあまのうけなれや 心ひとつを定めかねつる
伊勢の海の釣り人の垂らす浮きのように、私の心は揺れて乱れて、あのひとでいいのかしら……なぜか、決めかねてしまうの。
#いちご訳
「うけ」は釣り具の「浮き」だそうです。浮気心というよりは、今で言ったらマリッジブルー的な乙女心と解釈しましたが、どうなんでしょう。迷うようなら、やめといた方がいいんじゃないですか……?
#余計なお世話では
恋歌一
伊勢の海のあまのつりなは うちはへてくるしとのみや思ひわたらん
あなたを思うと心が縛られて苦しいのです。伊勢の海で漁師達が投げる釣り縄のように、僕を捉えてがんじがらめにしてしまうんだ。このままずっと、僕はあなたを思い続けていくのでしょうか……。
#いちご訳
「うちはへて繰る(引っ張って手繰る)」「苦し」の掛詞、と解説にありますが、この全体の網縄漁のイメージが恋の状況を暗示していると思います。僕はお魚。あなたは縄。荒々しい漁師を考えると、なんかとんでもないのに引っかかってますね?
#恋だからしょうがない
恋歌一
涙川なに水上をたづねけん 物思ふ時のわが身なりけり
涙川のいちばん上流を探していたのよ。ねえ、知っていらして? あなたを想っているときの、この私の身体から溢れ出していただなんて。
#いちご訳
かわいい! これは、かわいい。こんなん言われたら、即、落ちるよね? とくにこう難しくするでもなく、素直にかわいく。上の句が少し子どもっぽく感じるのも、計算だとしたら……完敗です!
#久々に陥落
恋歌一
種しあれば岩にも松はおひにけり 恋をしこひばあはざらめやも
一粒の種が岩に芽吹き、いずれ松も生えるのです。だったら僕はこの恋を諦めない。必ず想いは届くと信じています……!
#いちご訳
必死ですね。まあ私も公募歴長かったりするので、気持ちは分からないではないです。
上の句の松が「待つ」と掛けているのかいないのか、迷うところ。下手に掛けてると、一生松の実だったりするかもよ……?
#いやな予感がします
さて。それではまた、次の執筆期にお目に掛かりましょう!
次の記事はきっと、読書ツイートのまとめになりますね。んなもんまとめて、どうすんのって気がしないでもないですが、まあ、やります!
そんな雅であはれな あまおう まあお が書いたびっくりするほど風情のない小説はこちら……!
私はいいと思って書いたんですけど来る感想来る感想「変態!」とかで、いやあオカシイな? ちょっとばかり色好みなりける感じの主人公が貫之さんばりにおとこもすなる質問箱を女のふりして、してみているだけなんですが。
オープン・ザ・ボックス! よかったらどうぞ。
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