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殻をつくる
爽やかな風が気持ちいい。
樹々や草花、昆虫たちは、今できることを信念を持って淡々と行っている。
太陽に向かって伸びる葉先が、
たとえその途中で切り取られてしまったとしても、残った切断面は依然とし、最後枯れてしまうまで志向し続ける。
その逞しさ。
それに比べ私は、いつもよそ見ばかり。
目の前に無い過去や未来の出来事を思っては落ち込む。
まわりの刺激を処理しきれなくて、たまに息苦しくなる。
そんな時は、せっせと殻を作る。
「自分の殻を破れ」
とは、よく言われるけれど、
「自分の殻を作れ」
というのは、あまり聞かない。
でも、私は密かに思うのである。
過敏さを持つ運命を背負って生きる人は、
自身の感受性を守るために、
時には殻を作ることも大切だと。
時にトイレに逃げ込んだり、
耳にワイヤレスイヤホンを突っ込んだりして。
まるで三匹の子豚の末っ子のよう。
一個一個、茶色いレンガを隙間なく積んでゆく。