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自己紹介

私の中で渦巻いている言葉たちを、短い詩のような文章で表現したらどうなるだろう。

気障ったらしくて鼻につくような、格好つけた詩になるだろうか?
陰湿で根暗で根性の曲がった、斜に構えた詩になるだろうか?

どちらにしてもあまり見栄を張って気取った言葉は並べたくない。
かといって、のっぺりとして平坦な文章にもしたくない。

肩ひじ張らず自然体。それでいて読む人の機微に触れるような、独特な色や形を持ち合わせる文章。普通のようで、どこか他とは違うと感じるオリジナリティな言葉。そういうのが味わいがあっていい、まさに自分の望むところだ。

もちろんそれは簡単なように思えて、その実とても難しい。

そういう文章とは、まるでプロの料理人が作る味噌汁ようなものかもしれない。

味噌汁は一見しただけでは普通の味噌汁にしか見えない。具材も一般的なわかめや豆腐なんかを使っていれば、見た目や匂いだけではプロと素人の違いは分からない。

けれど一たびそれを口にすると、その違いは驚くほど明確に顕れる。

じっくりと時間をかけて昆布を煮出し、大量の鰹節を投入し、熟成された味噌で汁をとく。
昆布、鰹節、味噌、それら一つ一つが、何年も蔵や藁の中で長い時間をかけて寝かせられた本物の素材ばかりだろう。

言葉や文章だってそうだ。何年も何年も膨大な本や小説を読み漁り、頭の中で無限に近い数の言葉を蓄え、熟成、発酵させることで自らの文章に味わいを醸し出す。そうする事でようやく自分らしい言葉、文章というのが生まれてくるのかもしれない。

一体自分の頭の中では、いまどんな言葉が醸造されているのだろう。

恥も臆面もなく、自らの胸の内を曝け出すように、いまここに私の言葉の世界を端的に書き表してみようと思う。


前置きが長くなったけれど、これが私の自己紹介です。


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冷たい夜汽車は、レールもなき闇の中をぐいぐいとひた走る。


うわ言、戯言、たわ言で、
いたいけな旅人たちをたらしこみ、
光が散りゆく暗闇の中を、音も立てずにひた走る。


今宵あなたはどこへ行くのだろうか、
光と闇の分水嶺のそのただなかで。

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