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私的ベストエンタメ(2024年度版)
「年の瀬」
・年末の慌ただしく押し詰まっている様子
・年の終わりを感じつつ、忙しさを感じさせる時期
「年の瀬」の語源は「瀬」で、川などの流れが速く歩いて渡れるところ(浅瀬)や、川の流れの急なところ(早瀬)、海流の流れを指す言葉です。川の流れの速さが時の流れの速さを思わせ、「年の瀬」は一年終わりの忙しい時期にも通じているようです。
だそうです。1つ賢くなりましたね、おめでとうございます。
いつ何時も、本当に平穏に安寧に過ごしたいと常々思ってはいるんだけれど、言ってもなんだかんだ12月って慌ただしくなるというか、今年中にやっといたほうがいいかも・行っとかないと・会っとかないといけないかも、みたいな変な義務感がある。
こういった話をするときに、ある持論を展開することがあって
それは「1年は別に12月に終わらない」理論で
みんな1年が12月に終わると勝手に錯覚してませんか?って話です。
毎年、勝手に予想したM-1の結果に「真空惜しかった~」とか言って
毎年、勝手にクリスマス終わったぐらいに区切りをそわそわと設定しだして
毎年、勝手にゾクッてして、着けてるマフラーをきつく巻き直して
毎年、勝手に何度も開催される忘年会に、のろのろと惰性で参加して
毎年、勝手に「今年もいい1年だったよなぁ」と肩組んできてエモ酔いして
毎年、勝手にふやけた顔して、ふやけたカップそばをすすって
毎年、勝手に切なくなって、その雰囲気にほだされて
毎年、勝手に自分の辿った1年という本をゆっくり閉じようとして
そういうことを平気でするでしょ、心当たりあるでしょ、ねぇ。
要するに「勝手に1年閉じとけよ!」と思うわけです。
いかに自分勝手か反省した方がいいです、そろそろね。
1年を閉じずにいると、張り切って大掃除も断捨離もやんなくていいし、行きたい集まりだけ参加するようになるし、義務感で人と会わなくていいし、また始まる1年に絶望したりしなくていいし、カップそばもふやける前に食べれるし、いいことしかない。と思いませんか。思いますね。
って同じような話をchelmicoもしてました。
好きな鍋の具ランキン具も最高なんでぜひ。
ダラダラとなんか言ってますけど強要とかじゃなく、そろそろアップデートしていきましょうよって話です。それでも、1年を閉じる人にはちゃんとお祝いするし「来年もよろしくー!」って言われたらちゃんと返します。ほんとは来年とかじゃなく「今後とも末永くよろしくー!」やけども。とか思ってるけど言わないし、空気読んで「良い年をお迎えください」って言いますし、すでに言ってます。元も子もないけど、みんな生まれた瞬間からいい人生になるように願ってるし、これからも永遠に超幸せでいきましょう。年の瀬は終わらない。エンドレス年の瀬です。
さぁ!!やってきました!!
毎年恒例の私的ベストエンタメ!!
映画と音楽のベスト10を決めました。これこそが1年を閉じる行為なんじゃないか。という藪蛇クソポストを横目に書いていこうと思う。だらだら前置きしたんでさっそく。
映画ランキングベスト10
新作40本、旧作28本でした。例年に比べて圧倒的に観る本数が少なかった2024年。観に行きたい映画は沢山あったはずなんだけど。なんでや。
それでも、自分にとって最高な作品たちに出会えた当たり年で、かなり嬉しい。作品ごとに感想書いてる(ネタバレあり)ので、お暇あるときにでも是非。2025年は個人的にも、陰謀論的にも怒涛の年になりそうだけれど、また沢山出会うため足腰しっかり目に過ごしていきたい。
選定基準
・2023年に日本で劇場公開された作品
・上記に属している作品でも配信で観たor配信スルーは極力省く
・4Kリマスター版、劇場初上映は含む
第10位
『コヴェナント / 約束の脱出』
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これまでのガイ・リッチー監督作品は結構好みが分かれていたけれど、今作の人間ドラマの描き方は胸を打つものがあった。作戦遂行時の緊張感も良いけれど、人と人が仁義を通すバディものとしての展開が見事。ジェイク大好き。目と表情でお互いの感情を分かち合える関係値をここまで細やかに描ける監督なのだと初めて気づきました。そして今までごめんよ、ガイ・リッチー。最高です。
第9位
『落下の解剖学』
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途中で差し込まれるワイドショーのシーン。人々の無関心さに対する強い批評性を感じる。映画館の座席に座る我々観客を法廷の傍聴席へといざなう作り込み。誰の言葉を信じるのか、話の中で出てくる証拠や証言によって事の顛末が二転三転する様は、まさに落下していくような気分でしたし、息子のセリフが解釈次第では怖く聞こえるところも余白なのかもと考えさせられる。最高です。
第8位
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
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クリスマスシーズンに学校に残された孤独な3人が、お互いを傷つけあいながらゆっくりと心を通わしていく。ストーリーが進むにつれて疑似家族的になっていく関係値の描き方から、それぞれが抱える悲しみや弱さに寄り添って優しく掬い取っていく展開に心温まる傑作。
ラストまでの変化がとても心地よくて、お互いの顔を見るなり棘のある言葉を飛ばし合って不協和音しか生まれなかったのが、手を取り合うまでになるくらい心を開いていく道程が限りなく自然で微笑んでしまう。そして各々の人生が進んでいく。これまでのクリスマス映画とは一味違った映画だった。最高。
第7位
『憐れみの3章』
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自分の中で「なんだこの激ヤバ映画」から「なんだこの最高に面白い映画」へと、この監督のフィルモグラフィーの中でも軽やかに鮮やかにグラデーションしていった作品だった。同年公開作品の『哀れなるものたち』も観た上で、圧倒的に今作の方が癖にぶっ刺さった。
3つのストーリーどれもが予定調和な結末に至らない。鑑賞中は、いかに自分の中の普通や固定観念を頭の外にぶっ飛ばして観るかに集中していたけれど、劇中で描かれる思想や登場人物の奇天烈な行動がどんどん可笑しくなっていって、それを許容できているということは自分の中にある普通に繋がっているんじゃないかと、ある種行きつく未来なのかもしれないとさえ思わされる説得力がなんとも妙だった。
個人的に好きだったシーンは、サウナがアイアンメイデンみたく拷問としての装置に成り代わるんだとなんか納得してしまった瞬間がめっちゃウケた。最高。
第6位
『悪は存在しない』
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この映画で語られているのは受容と拒絶のバランスについてだと思っていて、集落側と企業側の対立をストーリーの軸として描きつつ、自然と人間の関係性も含めた話だということも同時進行で描かれていく。対話はお互いが歩み寄るために重要なファクターだけれども、たくさん時間をかけて築きあげていくものであって、表面上の歩みよりだけでは意味がないことを痛烈に刺してくる。意図していない無意識下の加虐性が、どれだけ他者をえぐっているかということを思い知らされる。
さらに言えば、自然界に踏み込む人間というのは、動物たちにとっては対話もできない侵入者であり、自然界のバランスを侵す存在である。この映画における自然と人間の関係性、暗黙にあるお互いの境界線を越えないようにして共生していくことの大切さを描いている。結果として、2つのレイヤーが緻密に折り重なって完成されている。
そこへ「悪は存在しない」という問いを観客に対して投げかけながらも、サイレントヒルみたく、あの世界で起こっていることが本当にあったことなのかも怪しく結末や問いの答えは霧の中に消えていってしまう。その問いの答えを自分の中で否応なく反芻させられ当然のように無視することができなくなっている鑑賞体験は流石にくらった。最高。
第5位
『ルックバック』
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お互いが、それぞれの背中を夢中で追いかけていたあの日々。
二度と「またね」ということが叶わない現実に唇を強く嚙みながらも、
煌めいていた青春の記憶を、たまに振り返って、前をむいて机に向かう。
そしてまた人生はつづく。
実は映画を観るまで漫画を読んでなかったんだけれど、映画が終わって、パンフレット片手に走って本屋に行って漫画を買った。漫画を先に読んでなくて本当に良かったと思った。人生の分岐点に立ってみても、その瞬間に大事だと気づくことってあんまりできなくて、後から後悔してしまったり、たらればの世界線を想像してしまう、なんてことはよくある話で、今作はそこに一矢報いたストーリー展開になっている。
というのも、作中で出てくるクエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のDVDが示すように、映画の中で過去を変える展開が同様に肝になってくるけれど、『ルックバック』の何が素晴らしいって、1度は経験した「身近な」挫折や後悔に対するアプローチに細胞レベルで共感できるということに尽きる。生活は無情にも変わらず普遍的に続いていく、その中で扉を開けて進むきっかけをくれた映画だった。最高。
第4位
『Here』
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観るデジタルデトックス。映画観てる時点でデトックスできてないのかもしれないけれど。
心情の変化をミニマルに描く。様々な誘いを断る男(ある意味ではパンクチュアルで、ハードワーカーなのかも)、しかしながら何かを求めて街をふらつく描写があったり、子供の頃の心象風景に幾度となく手を伸ばしている。何かの種をずっと持ち歩いていたり、共同造園に立ち寄ったりする。前半の工事現場、ビル街から始まるシークエンスからの脱却がシームレスに描かれている。男はこの街にもう帰ってこないのか冷蔵庫の中を空にしていく。
男にとってのスープは関係をスムーズに進ませる為のアイテム。車の修理を早くして欲しいから渡したりする。しかしながら最後にスープを渡すムーブは前半との意味合いがまるで違う。監督上手。
アジア系の植物専門家との交流を描いているが、チープなラブロマンスに成り下がらない点も本当にグッド。無言のサムズアップだけで気持ちを伝える良さってあると思います。最高。
第3位
『ロボット・ドリームズ』
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1980年代、大都会ニューヨークに住むDogが孤独感に押しつぶされそうになっているところから物語は始まる。虚ろな目で深夜のテレビ番組をザッピングしていると「ひとり寂しいあなたへ」と謳ったロボットの通販番組がふと目に留まる。すぐに黒電話をとって掛ける。明日からの日常が変わる予感とともに、ベッドに入って届く日を心待ちにして眠りにつく。
セリフも会話もなく、感情は主に劇半のみで表現されているにも関わらず、人生に根差したテーマ性を軸にしながら、そのすべてを肯定してくれる温かさと、これこそが人生なんだと再確認させられるストーリーの切なさに大拍手。アース・ウィンド&ファイアの「September」が2回流れるけれど、こんなにも意味合いが変わって聴こえる体験は初めてだった。帰り道にずっとリピートしてて、油断したら泣いてしまうから堪えて駅のホームまで向かった。あくまでも”ロボット”ドリームズ。Robotの愛にやられた。観た人とこの幸せを分かち合いたい。最高。
第2位
『パストライブス / 再会』
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この映画の中で、よく交わされる韓国語「イニョン」とは縁、摂理、運命という意味で、日本における前世、円環、輪廻転生などブッディズムに近しい概念である。作中で、わざわざメリーゴーランドの前で会話させるところにも表れている。
好きだったシーンは、幼い頃にアメリカの文化で育った自分が、韓国でずっと育った彼を見てweird(奇妙)だと形容するシーン。生き方・考え方が違いすぎて自分の国籍がもう韓国人ではないと吐露するけれども、君の寝言は韓国語しか出てこないと言われるシークエンス。このくだりが本当に素晴らしい。自分本来のコアは(ゴーストは)、名前を変えようと、ライフスタイルが変われども(挨拶でハグをしたり)どこに居ようが、どんな生き方をしようが本質の部分は変わらないし変えられないのだと思わされる。海外行って人生観変わるとかじゃない、本質はそこじゃないだろ!って。
ラストシーンの美しさは今年1位。それぞれが向かう方向も来世のどこかで繋がっているのかもしれないと、素晴らしいサントラも相まって想像させられる。最高。
第1位
『SUPER HAPPY FOREVER』
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魂を追いかける話。フィルムカメラで撮られた顔の見えない写真を持って、凪が辿った道を佐野は歩く。何かに縋るという行為は宗教に限らず、幸せだった記憶に想いを馳せながら放浪する姿、居なくなった彼女の魂に取り憑かれたという側面では、ある種の信仰か懺悔のようにも見える。
熱海・伊豆という舞台設定も絶妙。都市開発がとりわけ進むわけでもないからこそできる、懐古的なシークエンス。カットバックや回想シーンにノイズがない。言い換えれば時間の進みが限りなく遅いからこそ、その場所に囚われているような感覚、揺蕩う空気感がありつつも、確実に時間は過ぎていて、5年前と現在でゴーストタウン化する街並みの侘しさ、コロナ禍を経た変化が如実に映る。活気のないホテルが佐野の心境とをダブらせる。一生着ているumbroのTシャツからも彼の中の時間が止まっていると分かる。
劇中歌で差し込まれる"beyond the sea"。直訳すると"海を越えて"になる訳だけども、この映画の中では、あの世と現世の境界線としての海を否応なく想起させられる。佐野にとっての十字架ラブソングだ。ベトナム人の鼻歌を聞いてホテルの部屋越しに崩れ落ちる姿がとても印象的。間にあるのは「ハイライト」メンソール。くぅ〜。
映画の中で鳴っている波の音を聞きたくて、今いる現在地からロケ地とされてる場所までのルートを検索してみたのは、自分だけじゃないはず。あゝスパハピ。最高。
音楽アルバム10選
Water the Flowers, Pray for a Garden / Valley
昨年も入れたValleyの新譜。毎年すごいな。
BloodBagBrainBomb / ピーナッツくん
マメです。ツアーも最高だった。彼のホームグラウンド滋賀で開催された自治会も行った。東京までPOPIYAも行った。刀ピーも観た。1年通しての供給量すごい。いつもありがとうピーナッツくん。
GRAND POP / PAS TASTA
今回もおせち料理の二段目みたいなことになってる。さらに豪華ってことです。柴田聡子が客演に呼ばれてるアツさはもっと知られるべき。
徘徊collection / lilbesh ramko
ピーナッツくんきっかけで聞くようになったアーティストらむこ氏。ぶち割れ系のサウンドの中に、切ないメロディ・歌詞センスが組み込まれているところがとても良い。いつかワンマンを後ろの方で観たい。
dog eat dog food world / Niko B
今まで出会ってなかったことが不思議なくらい耳馴染みが良いトラックとリリック。もうずっと聴いてる。
genre : sadboy / mgk
ケリーの新譜は流石に聴いた。「dont let me go」を聞いた時に活動自体が無くなりそうな予感があったけれど、この後に発表した「Lonley Road」が賞を獲ってとても嬉しかった記憶。彼の道はまだまだ続いていきそう。
material club Ⅱ / material club
何年ぶりかの新譜、バンド編成で帰ってきた。この具材たちでミックスジュースできんのか?って思ったけれど、え、美味くね!?ってなる。ほんの少し甘酸っぱい。
最後の初恋 / CodyLee
すごくバラエティーに富んだアルバム。力強いギターロックもあれば、シティポップもあって、昭和歌謡ぽい曲もあってめっちゃ楽しい。「ほんの気持ちですが!」は待ってました感ある。
see you, frail angel. see adore you. / Homecomings
東京で立ち寄った古本屋「百年」で流れてたBGMが良すぎて、調べてそこからずっと聴いてる。
Requiem / Keshi
もうなんか神々しさを感じるレベルで洗練されたアルバムだった。召されるというか。
後半書き疲れて失速した感が否めないけど、こんな感じでした。
ここまでスクロールして読んでくださった方に、これからいいことあるようにと心より願っています。関係ないけどM-1はヤーレンズに行って欲しかった。
少なからず関係をもって下さっているみなさま、引き続きよろしくおねがいします。会ったときはポケポケ対戦しましょう。ギャラドスEXを使って、けちょんけちょんにしてやります。