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9.6億円?バナナをまじめに論じてみる。

壁バナナ以前から別格の存在感。コードネーム『アート界のジョーカ』

壁バナナは2019年のアートバーゼルマイアミに出品された作品です。
バナナが3本あったので、3エディションが制作され、当時 2作品が1300万 3作目は1600万円で購入されています。

カテランはバナナを30セント(約27円)で購入しました😇 ( 正確には彼の所属する美術ギャラリーがスーパーで購入してます。)

壁バナナの作者 マウリツィオ・カテラン(伊: 1960年9月21日 -)は
皮肉たっぷりなユーモアと風刺に富んだ作品で知られるその道(現代アート界隈)では既にカリスマアーティストでした。

①壁バナナは『カテランブランド』から出品された作品であること。
②彼の過去の作品&活動の文脈とストーリを含めた9.6億円であること。
とりあえずは以上を抑えておきましょう。

ポスト マルセルデュシャンとは?

壁バナナ9.6億円の価値を理解するには 
コンセプチュアル・アートの始祖 、
現代美術の父 、偉大なるマルセル・デュシャンを、ざっくり理解する必要があります。

デュシャンは1917年に、男性便器をひっくり返しサインしただけの、 現代アートのスーパー傑作『泉』を世に放った天才 です。

『泉』Photo credit: filosofianetdadaismo via VisualHunt.com / CC BY

デュシャンは
    ① 網膜を通した美術鑑賞、美的対象としての芸術
  ② 1から完成までを、作家が制作する手仕事~を根底から否定しました。

コンセプトや意図で成立する彼の作品は
 ①制作者と鑑賞者の相互作用による体験
 ②想像力を重視し芸術は鑑賞者の解釈
により、補間され、完成される態度を呈しています。

彼は機能と意味を剥奪した大量生産の既製品をオブジェ作品として陳列。
この作品群のカテゴリカルな名称を『レディメイド』と提示し
概念や観念を作品として『芸術とは何か?』を世に問いました。

デュシャンの出現で芸術は再定義を即され 、その影響力は現在に至るまで強く、芸術の概念と深淵の拡張を産み続けています。

壁バナナは抽象的な概念や思想、
作品に込められたテーゼ自体が作品の本質です。つまり デュシャンの『泉』は壁バナナのお父さん的な作品になります。

これがアートの文脈『コンテキスト』ってやつです。

天才に影響を受けたもう1人の天才、アンディ・ウォーホル

『The Velvet Underground & Nico』。初回プレス版は、バナナのシールを剥がすとピンクバナナが現れる仕掛けがあり、ベルベッツの性的な歌詞が象徴されていた。Wow!

壁バナナは、ポップアートの旗手
アンディ・ウォーホルのオマージュであることも示唆されています。

ウォーホルバナナは(名目上)彼がプロデュースしたロックバンド
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビューアルバム『The Velvet Underground & Nico』のジャケットのために制作されました。

ウォーホールバナナは、たぶん『世界でもっとも有名なバナナの絵』です。

このバナナジャケットは
日常のイメージを芸術的なステートメントに変える、彼のテーマが反映されています。
ウォーホールバナナはレコードジャケットの枠を飛び越え、60年代ポップアート & アメリカンカルチャーを代表する、アイコニックな彼の代表作の一つとなりました。

続 9.6億円?バナナをまじめに論じてみる。 へ続く。

この記事は私のThreadsのポストを元に、加筆修正しました!

Original Article:9億円バナナをまじめに論じてみる



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amane usami
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