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夜中にひとり食パンをかじる バターをつけないで ジャムをつけないで 電気もつけない 冷蔵庫…
ざあざあと傘が泣いてる 交差点に人はまばら 忘れ物をしたようで振り向いたら 世界はどこにも…
はじまりの海は遠浅で かなしむことをまだ知らない透明なさかなたち 約束したはずの場所を ゆ…
わたしをくるむあなたの器官を 海と呼んでみようと思う なまあたたかい夜の渚に 白く浮かび上…
そぞろ歩きのちいさな深夜 足取りは変に軽いのに どこに視線を送っても 歩みが満たされること…
群青がいっぱいに広がっている 微熱を抱えた花びらに そっと目配せをされて ぼくは立ち止まる …
空の遠く どこか遠くで 飛べない鳥たちの足音を聞いた 悲鳴のような声が 優しく大気に充満していく オレンジ色に塗りつぶされて 雲の群はすこし窮屈そうに 肩をふるわせた 秋の夕暮れに悲しい歌が広まる 痛い、痛いよ 子どもたちが泣いてる さみしさが募る数時間のあいだに ぼくは足音を数えてみた 二十万と少しの 砂埃の色をした音符だった 線の上に並べてみたところで メロディにはならない いったい何のための営みなのか 懐かしい香りが 懐かしくなくなったのは いつからだろう 痛みが
ずっとむかしの 波しぶきの化石を並べて もう聞こえない声の数々は 糸を曳くように飛び交う …
温かな水がぼくの鼻腔を優しくなぜる 急深の渚 ぼくの足はすぐにつかなくなるが 怖いことは何…
降ってきてる、星 白いひかりを曳いて地平線へ 忘れたころに爆発する 囁いてるみたい 頭の中は…
震えているのは ぼくのささやかで深刻な欠落です 今日はとても風が強いから 取り繕いのバリア…