プロマネ人材、マジで増えて欲しいし助けて欲しい
最近新たな取り組みを始めることが多い身として思ったことを、ラフに綴ります(改めて、書籍や連載などでじっくり書くかもしれません)。
※いま新刊執筆3本と連載4本に手を取られていて、アウトプットリソース足りない状況なのでとりあえず&取り急ぎラフに! だもんで誤字脱字ご容赦を
1.いろいろやりたいこと/やれることはあるが、回せない
現在、僕たち(沢渡あまねおよび会社としてのあまねキャリア)はさまざまな新たな取り組みに着手しています。
と同時に、いろいろやりたいこと、やれることはあるものの、回しきれないもどかしさを感じ始めています。
思いはあるものの、手を動かすリソースが圧倒的に足りない。
これは僕たちだけでなく、他社の人たちが立ち上げる活動においても感じることが多いです。中小・零細企業や個人事業主が始めるケースにおいては特に。
この状態が常態化すると、かつ思い先行で回らない状態を創ってしまうと周りの人たちに対しても申し訳なくなり……
「やりたいこと/やれることはあるが、声をあげられない」
状態が生まれてしまいます。これまたもったいないし、よろしくない。
2.プロマネ役が欲しい
なにか新しいことを始める時、プロマネ役が欲しい!本当に欲しい!
つくづくそう感じるようになりました。
プロマネとはプロジェクトマネージャの略で、文字通りプロジェクトをマネジメントする人を言います(おっと、〇泉構文っぽい?)。
ここで言うプロマネについてですが、何も大掛かりなことをして欲しいわけではなく、
・テーマをタスクに分解し
・スケジュールに落とし
・担当者のタスクのし忘れをリマインドする/進捗を促す
この3つを担ってくれるだけで十分です。PMPとかPMBOKとか大げさな資格や難解な知識がなくてもOK(そういう面倒なこと言いだすと、やれる人がさらに限られるし)。
もっと言えば、新規プロジェクトや新規事業を始める時、プロマネと優秀な事務方(事務作業が得意な人/苦にならない人)の2者がいてくれると長い目で見ても滅茶苦茶心強い。
優秀な事務方のくだりは、9月発売の沢渡の新刊『組織の体質を現場から変える100の方法』(ダイヤモンド社)を参照してください。
3.とはいえ経営者やリーダークラスがプロマネするのも無理がある
「だったら、言い出しっぺがプロマネをやれば?」
そう思われる方もいるかもしれません。
いやいやいや。それまたハードルが高い。
プロジェクトのオーナー(言い出しっぺ)やリーダーが、管理のための作業や気遣いに稼働割くのはなかなか大変です。結構エネルギー(というか意識のリソース)とられます。
ましてや、新たな取り組みの発案者やオーナーが経営者だったとして、経営者がプロジェクトマネジメントを抱える訳にもいかないです。
ともすれば本来すべき経営行為の動きも、プロジェクトそのものの動きも進みも悪くなり誰も幸せにならない。
経営者だけで立ち上げたコミュニティなど、プロマネ役が不在で進みが悪くなったり、お互い申し訳なくてプロマネ役をお願いするのが憚られるケースも散見されます。仮に本人にプロジェクトマネジメントの経験や能力があるとしても、プロマネ役は別に立てた方がいい。
ちなみに僕たち自社の通常業務について言えば、プロマネ役の専任メンバーに上記のマネジメントを担ってもらっています。おかげさまで、経営陣もメンバーも心地よく仕事ができています。いつもありがとうございます!この場を借りて大感謝。
僕たち(自社)が立ち上げたプロジェクトに関しても、当社からプロマネ役を立てることもあります。とはいえ、すべてがすべてそうする訳にもいきません。最近では、他社と共創のプロジェクトを立ち上げたり途中から参画するケースも増えてきました。すべて自社でプロマネを立てていたら、たちまち自社のリソースが足りなくなってしまう(零細企業は特に)。
より多くの企業組織でプロマネできる人が増えて欲しい。そう強く感じています。
4.オーナーシップを持つ人と、プロジェクトをリードする人は別人でも良い
ところでそのプロジェクトやテーマに対する思い、すなわちオーナーシップを持つ人と、プロジェクトを仕切って進める人は別人で良い。僕はそう考えています。
必要なタスクを設計し、スケジュールに落とし、担当者にリマインドする。これらの所作は、極端な話、思いがなくても補佐役として淡々と進めることも可能です。もちろん、出来ることならそのテーマに対する興味関心が強い人の方が良いですし、リーダシップを発揮してくれる人の方が良いかもしれないですが、「プロマネ職人」的に淡々とこなしてくれるのもありがたいのです。
5.プロマネやれる人が世の中に増えて欲しい
プロマネ役さえいれば、新しいことが始められるのに……
新たなプロジェクトの立ち上げ然り、新たなコミュニティの立ち上げ然り、新規事業の立ち上げ然り、そう思うシーンに遭遇することが本当に多い。
忙しい経営者やマネージャーが無理やりプロマネやろうとして、長時間労働が常態化したり、過労で倒れてしまうのも社会的に不健全です。彼ら、彼女たちがプロマネが得意とも限らない。
とはいえプロマネ不在で、雑に新規事業や新たなプロジェクトを立ち上げて、いきあたりばったりで進めるのも無駄にケガ人を増やすだけでこれまたアンヘルシーそしてサステナブルでない。
僕は多くのビジネスパーソンが、プロマネの能力を身につけて欲しい。そうして、「あ、僕プロマネやりますよ」「当社からプロマネ出しますよ」を言いやすく(もちろんお仕事として)プロマネを任せやすい社会にしていきたい。そう強く思っています。
プロマネをやれる人が増えれば、チャレンジや新規事業が生まれやすく動きやすくなる。僕はそう確信しています。
6.まずは「プロマネ役」というハコの認知向上をしたい
まずはプロマネと言う職業……というと大げさですが、プロマネ役なる存在の認知向上を図っていきたいです。
「プロマネ役がいれば楽になる/ものごとが先に進む」
「プロマネは、言い出しっぺや経営者が抱えなくていい」
「プロマネは、誰かに任せればいい」
そのハコ(発想)があるだけでも、プロジェクトや組織がうまく回るようになると思いますし、今までともすれば仕事として認知されなかったタスク管理やスケジュール設計なども、大変な仕事として認知されるようにもなります。プロマネに正しく人やお金を出す世論形成もしやすくなるでしょう。
プロジェクトマネジメントというと、都市設計やビル建設、ITシステム開発などのためだけのものと誤解されがちですが、そんなことはありません。日々の新たなアイデア実現の検討や業務遂行にも取り入れていきたいです。
7.プロマネ人材の育成を
プロマネ人材を増やすには、育成も課題。僕はプロマネ人材の育成には2つあると考えます。
(1)新たにプロマネできる人を育成する
(2)IT業界などのプロマネを覚醒させる
(1)についてはPMPなどは重たすぎて大げさすぎるキライがあり、もっとライトな育成プログラムが欲しいと感じています。そうでないと、プロマネが民主化しにくい。
2時間~3時間くらいでタスク設計・スケジュール管理・進捗管理などの基礎を身につけられる研修プログラムなどが欲しいです(どこかの会社、開発してくれませんか?)。
あ、僕の書籍では『仕事の問題地図』がライトにタスク設計とマネジメントに触れています(いま思い出しました)。
そういえば、僕のかつての勤務先では「プロジェクトマネジメント・ライト」なるPMBOKをベースにしつつもライトにした速習即実践外部研修があって、僕も受けたことがあったのを思い出しました。そういうのが欲しいです。
(2)については、たとえばIT業界にはそれこそしっかりとプロジェクトマネジメントを学んだプロのプロマネ人材(「腹が腹痛」風)がたくさんいます。
ところが、どういう訳かITのシステム開発以外の話になると、てんで頭も体も動かなくなる人も多い。応用が利かないのか、想像力に乏しいのか、あるいはただ単に面倒くさいのか。
この人たちの能力を活かさない手はない!
何らかのかみ砕きやバイパスは必要ですが、IT業界のプロマネに、非ITのプロジェクトや新規事業創造の初期段階から加わってもらってプロジェクトマネジメントしてもらう。その価値は大きいでしょう。
一躍、新規事業リーダーやイノベーターの強い右腕として輝くことが出来ますし、プロマネのブランディングにもつながります。
(あまり大きな声では言いたくないですが、IT業界やITシステム開発の世界ブラックでもう嫌だ……って人たちの幸せな再活躍・再チャレンジにもつながるのでは)
少し暴論かもしれないですが、リスキリングの名のもとに全社員にプログラミングスキルやAI活用スキルを研修するよりも、よっぽどプロジェクトマネジメント人材を育成したほうが実践的かつ世のため人のためになると思います。
いずれにせよ、プロマネやれる人、名乗り出る人が世の中に増えて欲しい!
そんな心の叫びと、人材開発に向けた提言でした。ごきげんよう。
▼新刊:組織の体質を現場から変える100の方法
▼書籍:仕事の問題地図
▼書籍:新時代を生き抜く越境思考
▼企業間越境学習プログラム『組織変革Lab』
▼僕たちあまねキャリアのサイト