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読んだ文章は、比喩表現が多彩だった。
最近読んだ本と現在進行形で読んでいる本を紹介したい。やみくもに内容を紹介しても面白みに欠けると思うので、比喩表現に着目したいと思う。
僕は読書をするとき、小さな付箋と黄色のマーカーを手元に置いている。気になった言葉に線を引いて、付箋を貼って、後で読み返せるようにしている。
ふと引かれたマーカーを眺めていると、面白いことに気づいた。僕が気になった言葉の多くは、比喩表現だったのだ。
ここからは、彼らのエッセイや小説に貼られた僕の付箋を頼りに、比喩表現を紹介していこう。
紹介するのは、以下の4冊。
村上春樹 『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』
吉本ばなな 『イヤシノウタ』
角田光代 『さがしもの』
小川洋子 『猫を抱いて象と泳ぐ』
『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』
この本は、村上春樹さんのエッセイが収録されている。文学や英語、猫についてなどテーマは多岐にわたる。ウィキペディアによると、『週刊朝日』(1995年11月10日号〜1996年12月27日号)に連載されたコラム「週刊村上朝日堂」をまとめたものらしい。
さて、村上さんの比喩表現は、思いもよらない方向から飛んでくる。ぶっ飛んでいる。次の文を読んでみて。
だからたとえ傷ついても頭にきても、それをするりと飲み込んでキュウリみたいに涼しい顔をしているように心がけた。
営業用冷蔵庫なみの冷ややかなせせら笑いを思い出してしまうからだ。
上の例だと、涼しいことはすごく伝わってくる。下の例でも、冷たい対応だったのが伝わってくる。村上春樹さんの文章はスラスラと読めるけるど、比喩表現の部分だけは立ち止まってしまう。おそらく意図してのものだろう。
こういう面白い比喩に出会うと、僕は立ち止まって考えを巡らせる。マーカーを引き、小さな付箋を貼る。
『イヤシノウタ』
この本は、吉本ばななさんのエッセイ集だ。お父様である吉本隆明さんとの対談も収録されている。
さて、吉本ばななさんの比喩には、神秘的なものが漂っているように僕は感じる。初めて読む話でも、これまでどこかで体験しているような不思議な気持ちに包まれる。
日本にも昔はあったはず。まるで森が目覚めるように、海が朝の光を受けて輝くように、人の力によって街が目覚める音が。
『さがしもの』
角田光代さんの『さがしもの』は、本にまつわるお話を収録した短編集である。その中に、『不幸の種』というお話があって、主人公の”私”が男の子に初めてふられた時のことを次のように表現している。
台風と洪水と大地震にいっぺんに見舞われたような気がした。
角田さんの比喩は、わかりやすい。読み手に寄り添ってくれるやさしさがある。初めての失恋がどんなに悲惨な出来事だったのか、ありありと頭に思い浮かべることができる。
『猫を抱いて象と泳ぐ』
僕は今、小川洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ』という長編小説を読んでいる。まだ3分の1くらいしか読めていないので、話の筋を説明することは難しい。ざっくり言うと、チェスを指す少年のお話だ。
ここでは、僕が読めているところまでの比喩を一つ紹介したい。
あとでゆっくり思い返してみれば、すべてのアドバイスが星座のように連なって見事な模様を大空に描き出しているのだった。
小川洋子さんの比喩は、美しい。けっして華やかというわけではなく、強く主張するわけでもないけれど、すーっと心に染みる。今にも壊れそうな儚い比喩だと思う。
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比喩は作家さんの個性だと思う。本に引いたマーカーの文章を読んでいて、そう感じた。また、自分の書きたいテーマや作品世界によっても、変わってくる。作品にぴったりの表現方法があるのだと思う。
今回は、『読んだ文章は、比喩表現が多彩だった。』という文章を書きました。いかがでしたでしょうか!?紹介した本のなかで気になったものがあれば、ぜひ手に取ってみてください。また、ストーリーだけを追うのではなく、比喩表現に着目して読んでみるのも醍醐味の一つだと思います。
明日も18時半にnoteを更新します。ぜひ読みに来てください。あと、今日初めて僕のnoteに来てくれた人は、ぜひ気軽にフォローしてみてください。
それでは、また明日!!
次に読むなら
僕が小川洋子さんの本に出合ったのは、『密やかな結晶』という小説を読んだ時でした。本屋でたまたま手に取ったその本のページをめくり、冒頭の文章を読んだ時、あまりの美しさに目を奪われてしまいました。読書日記を書いているので、ぜひ記事をご覧ください。
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