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『ラストマイル』を観て、適応障害になった頃を思い出した

昨日公開の映画『ラストマイル』を観ました。

具体的なネタバレは書いていませんが、ざっくりと内容に触れています。

大好きなドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と同じ監督の塚原あゆ子さん、脚本の野木亜紀子さん、プロデューサーの新井順子さんが作る映画なんて最高に決まっている!と思い、ずっと楽しみにしていました。

2時間ぶっ通しで見るには濃すぎるほど豪華な脚本、映像、キャスティングでした…(空撮や文字の演出もかっこよかった!)

この作品の大きなテーマである物流については、個人的にもずっと考えていました。

お店が遠かったり、営業時間に買いに行けなかったり…そういった人にとっては、ネットショッピングは生命線と言えるかもしれません。

でも自分はそういうわけではないから、どうしてもネットじゃないと頼めないもの以外はお店に買いに行くようにしています(配送時のCO2や梱包材の削減にもなるかなと)。

自分がこんなふうに考えて行動するようになったのも、現状を知る機会があったからで、それがなければこの作品を観て初めて知ることばかりだったと思います。

エンタメは楽しいという感情にさせてくれるだけでなく、問題や課題をより多くの人に知らせるとても重要な役割を担っているのだと感じました。

この映画を通して感じたこと考えさせられたことがありすぎるのですが、個人的には、働く環境の過酷さが一番印象に残っています。

適応障害になったときの感覚が蘇り、観ていてすごくしんどくなりました。細かい部分を見返したいけれど、もう一度観るのは無理かな…


舞台は世界規模のショッピングサイトの関東センター。注文された商品を梱包し発送する巨大な倉庫の様子が描かれます。

稼働率が○%下がると○億円の損失という世界で、売上目標を達成するため、トラブルが起きても絶対にベルトコンベアを止めない(止められない)状況。

常に時間や数字に追われ、少しのミスも許されない環境において健やかに働き続けるには、心の感度を極限まで下げるしかないのではないでしょうか。


アメリカ本社を基準とする、結論から述べたり、どんな手を使っても問題を解決するようなやり方は、一見優秀でかっこいいように思える。

けれどその先にあるのは、人間らしい心の豊かさがなくなる未来だと思います。


なんのための仕事なのか。
なんのための売上目標なのか。


私にはよくわかりません。

常日頃感じている違和感もどかしさが凝縮されていて、息苦しさを覚えました。

それと同時に、行動を起こせば状況は変えられるという僅かな希望や、しかしそれが難しいという現実も感じました。


大きな流れの中で、社会を変えることはできなくても、せめて自分の行動だけは変えていきたい。

知って、考えて、少しでもマシな方を選んでいきたいと思いました。

取り返しのつかない選択をしてしまうほどに追い詰められる人がいる。

便利さのために苦しむ人がいる。

なんなんだろう。どういうことなんだろう。

ただただやるせない。


いろんなことを考えさせられる作品でした。


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『深い雑談』というものをやっています。

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そんな話があれば、ぜひ聞かせてください。


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