月と六ペンス5
①It is still possible to discuss his place in art, ②and the adulation of his admirers is perhaps no less capricious than the disparagement of his detractors; ③but one thing can never be doubtful, and that is that he had genius. ④To my mind the most interesting thing in art is the personality of the artist; ⑤and if that is singular, I am willing to excuse a thousand faults.
【語彙】
adulation(お世辞、賛美)
admirers(賞賛者、ファン)
capricious(気まぐれな、移り気な)
disparagement(悪評)
detractor(中傷する人)
genius(非凡な才能)
singular(非凡な)
【読解】
①
「It is still possible to discuss his place in art」
(絵での彼の立ち位置を議論することは可能である。)
②
「and the adulation of his admirers is perhaps no less capricious than the disparagement of his detractors」
(そして賛同者からの礼賛は、誹謗者からの中傷同様に移り気である)
③
「but one thing can never be doubtful, and that is that he had genius」
(しかしあるひとつの事を疑うことは決してできない。それは彼が非凡な才能を持っていたということだ)
④
「To my mind the most interesting thing in art is the personality of the artist」
(私の心にとって、絵画の中で最も興味を惹く事は、画家の個性である。)
⑤
「and if that is singular, I am willing to excuse a thousand faults」
(そしてその画家の個性が非凡ならば、千の欠点も喜んで見逃すだろう。)
【試訳】
①芸術の世界での彼の立ち位置は、まだなお安定したものとは言えない。②賛同者からの礼賛は、誹謗者からの中傷同様気まぐれだからだ。③しかし一つだけ疑いの余地のないものがある。それは彼が天才だったということだ。④芸術を思うに際して、私の心に最も響くものは芸術家の個性である。⑤個性が抜きんでていれば、千の欠点があっても喜んで見逃すだろう。
【文法】
①Itが仮主語、isが述語動詞、stillはpossibleを修飾する副詞。
to discuss his place in artが真主語。
his placeはdiscussの目的語、in artはplaceを修飾する前置詞句。
②[the adulation of his admirers] is perhaps no less capricious than [the disparagement of his detractors]
ここは
[the adulation of his admirers]・・・・・・A
[the disparagement of his detractors]・・・B
と置いてみると
→A is perhaps no less capricious than B.
(AがcapriciousなのはBがcapriciousなのと同じだ→B同様Aはcapriciousだ)
という構文になる。
もともとこの構文は
A is perhaps capricious.
B is perhaps capricious.
という2つの文を、
A is perhaps no less capricious・・・capriciousの前にno lessを置き
than B is perhaps capricious・・・Bの前にthanを置いて
以下のように1つの文にまとめたものである。
→A is perhaps no less capricious than B is perhaps capricious.
なお、is perhaps capriciousという情報は重複するので省略されて、
→A is perhaps no less capricious than B.
となる。この構文は
AとBのcapriciousさの程度を比べているのである。
くどいようだが…
no lessは(少ないということはない→少なくない→同じだ)だから
直訳すると
(Aはcapriciousさの程度においてBより少ないということはない)
となる。
③one thingが主語、can never beが述語動詞。
doubtfulは補語。
that(=one thing)が主語。
続くthatは名詞節を導く従属接続詞。
節中は、heが主語、hadが述語動詞、geniusが目的語。
④前置詞句To my mindは後に続くisを修飾する。
the most interesting thingが主語。
前置詞句in artはthingを修飾する。
isが述語動詞。
personalityが主語。
of the artistはpersonalityを修飾する前置詞句。
⑤ifは従属接続詞。
節中の主語はthat(=personality)。
singularは補語。
副詞節if that is singularは、後に続くamを修飾する。
主節の主語はI、am willing to excuseが述語動詞。
品詞レベルで見れば、amが述語動詞。
willingは補語。
to excuseは副詞用法の不定詞で、willingを修飾する。
a thousand faultsがexcuseの目的語。