映画『ハウ』感想(途中からネタバレあり)
これは映画『ハウ』を観た後にすぐに書いた感想だ。
2回目3回目観るとまた違う思いが溢れてきそうな作品だけれど今感じている思いを記しておきたい。
映画『ハウ』感想
想像以上に優しくて温かい映画だった。
動物ものはちょっと…
泣かせにくるに決まってるじゃん!なんて思っている人にも是非見て欲しい。
私もどちらかと言うとそんなタイプだけれど、ハウを中心に進んでいくこの物語には色んな人の人生と悩みがあって、ハウと出会う事によって止まっていた時間が前に進んでいく。
どんなに辛く落ち込んでも結局人は自分で前を向いて進んでいかなくてはならない。
ハウというピュアな存在がそんなスイッチを入れてくれる。
大袈裟なお涙頂戴の演出がある訳ではなく、石田ゆり子さんの優しいナレーションと共に始まり、ホッコリしたりクスッとしたりジーンとしたりハラハラしたり、色んな感情に包まれる何とも心地の良い物語だった。
私自身は劇中に涙が溢れることは無かったのだけれど、終わってエンドロールを観ている最中に突然涙が溢れて来てビックリした。
ピュアで真っ直ぐなハウに思った以上に心洗われたんだろうな。
すぐにまたハウに会いたくなってしまって、映画館の帰り道、モコモコの雲でさえもハウに見えてしまった。
ここからはネタバレもあるので是非劇場でご覧になってから読んでいただきたい。
ネタバレゾーンです↓↓
民夫演じる田中圭さん。
思った事をうまく言葉にできない。
そんな生きるのに不器用な役はやっぱり圭さんにピッタリだった。
ハウと民夫が過ごすのを私達が見る時間は短いけれど、ハウに向ける笑顔や優しさが身体に染みわたり、民夫に会いたいハウの思いに感情移入せずにいられない。
この映画の主役はハウ。
ハウを中心に物語が進んでいくから田中圭さんが出ずっぱりという訳では無いけれど、ハウにこびり付いている民夫の声が愛おしくて仕方がないのです。
上手く話せないけれど誠実な民夫さんが途中ハウと重なるところも沢山あった。
言葉を選ぶ時に揺れる丸まった背中や、息使い、無理して笑うちょっぴり情けない笑顔。
ありのままで生きるのが下手な民夫さんもまた、桃子のスイッチになっていたのだろう。
一つ一つのストーリーが少しづつテイストが違っていて、でも一貫して優しく美しい映像で、民夫さんとハウがまた会える未来をワクワクして待ちながらも、途中で起こるヒリヒリとした展開にドキドキしたりホッコリしたりしながらあっという間にラストを迎えた。
ラストの展開わたしはすごく好きだった。
好き?というかそうなるよな…というか、せざるを得ないというか…
そして、田中圭らしいな…とクスッとしてしまった。
置いてきぼりのワンコ感が滲み出るこういう結末の作品の田中圭をこれまでも沢山観て来たけれど、ワンコ相手にもこの結末と思うと不憫だけれども…
泣いちゃって少し無理をしているような民夫さんが心配でもあったけれど、ハウの話をした後、カフェで桃子と笑い合う民夫さんの表情を見ると、民夫さんはきっと大丈夫なんだなと思った。
生きてくれている。
それだけでも救われる。
ハウ目線で考えると
「こんなに歩いたのに?おーい!」
なんだろうか?
「ハウはそんなワンコ」
寂しい目をした人を放っておけないワンコ。
人間の勝手な解釈だけれど、やはりそう思ってしまう。
ハウによりきっとこれからも沢山の人たちが救われていくのだろう。
続編があるとしたら、是非田中圭をナレーションにして欲しいとも思った
(もちろん民夫としても出て欲しいのだが)
この温かな空気感に圭さんの声はすごく会う。
ゆり子さんには演者として出て欲しい気もするし、何しろ私はもすっかりハウ役のベックに夢中なので是非ともまた続編をと願ってやまない。
この映画に出てきた色んな人達の人生が、ハウにより少し進んだところまでしか観れていないので、その人達のその後を想像するのも楽しい。
鑑賞後の心地よい余韻に包まれる。
温かくて優しい作品。
雨が降らなくなることはないから、ハウのような優しくスイッチを押してくれる存在に私も出会いたいし、沢山の人が出会えたら良いな。
何度も何度も噛み締めたい素敵な映画だった。
鑑賞後にこの予告見たらたまらない