座ったら昔の匂いがした
実家に帰省初日
家族に迎えられたあと、僕は真っ先に自分の部屋に帰った
部屋に入った途端包んでくる懐かしい匂い
ベッドシーツの柔軟剤なのか積まれた参考書たちなのか
それがなんの匂いか未だにわからないけど。
自分の机に向き合って座った途端、
高校生の、浪人生の、あの時の気持ちが蘇ってきた
おぉお〜
なんともいえない感覚だ
家を出てから
自分の部屋の机は母が趣味で懸賞当てをするためにペンで応募用紙に書くためだけの机に成り下がってしまっていたらしいけど
左を向けば横の本棚は今もなお当時の参考書やノートで埋め尽くされていて
右を向けば好きなバンドの過去のチケットやポスターを貼ったボードがあって
前を向けば置き時計とシャーペンと消しゴムと、
覚えることを殴り書きして無造作に貼り付けられてる付箋たち
あの時の苦労や苦痛や少しの趣味の楽しさ、
そんでもってどこか無機質なこの空間が
懐かしくて唸ってしまった
なんか初心にかえった心地がした
椅子に座っただけで
家を離れた期間を感じさせないレベルの
フラッシュバックがあった
なんだか面白くて笑ってしまった
1日目。