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BtoB企業にマーケティング戦略や営業戦略がないとどうなるのか?

本記事は弊社WEBサイト「BtoB企業にマーケティング戦略や営業戦略がないとどうなるのか?」の記事を転載した内容となっています。

そもそも戦略とは?

戦略(英語:strategy)とは、ビジネスの目的に対して、長期的視野で、自社が持っているリソース(人・物・金、情報など)を総合的に活用する方策のことだ。「効率的・効果的にビジネス目標を達成するプロセスを考案すること」とも定義できる。

当然のことながら、リソース(人・物・金、情報など)を効率よく活用すれば良いというだけでなく、営業やマーケティングの現場で活用できる武器(言い換えれば強みのこと)と、その武器に価値を感じるターゲットを明確(ターゲティング)にした上で、リソース活用を検討しなければならない。

そうすることで、リソースと武器をどう使い、誰に売ればいいのか?が明確になり、ビジネス目標の達成の道筋が見えてくることとなる。

では、この戦略がないとどうなるのか、そのリスクや発生しうる状況について、考察してみよう。なお、ここでは、営業戦略の目標を「顧客獲得、受注獲得」、マーケティング戦略の目標を「顧客価値創出、新しい市場の創出」とし、それらの最終目標は「売上獲得と利益の増大」とする。

BtoBマーケティング戦略やBtoB営業戦略がないとどうなるのか?

BtoB企業において、マーケティング戦略や営業戦略がない場合、主に下記に記載するようなリスクや状況が発生する可能性がある。

  1. 目標達成までの時間がより長くなる

  2. 自社のリソースを効果的に活用できない

  3. 部分最適になり全体最適ができない

  4. 質と量のバランスが崩れる

  5. 営業やマーケティングのアクションプランが毎年同じような内容になる

  6. 営業やマーケティングに安定感がなくなる

  7. 顧客第一より自分都合・自社都合になる

  8. 効果的な戦術選定ができない

なぜこのようなことになるのか、その理由を詳しく解説しよう。なお、あくまでこうなっていく可能性があるという考察であるため、1つの参考にしていただけたら幸いだ。

目標達成までの時間がより長くなる

戦略がない場合、営業目標やマーケティング目標を達成する時間が長期化する。なぜなら、営業やマーケティングには「絶対」はないからだ。

そもそも、営業には「絶対に売れる方法」など存在しないし、マーケティングにも「絶対に顧客が欲しがる価値を見つけ出す方法」など存在しない。そんな方法があれば、世界中から倒産する会社がなくなる。

そのため、営業やマーケティングは「可能性を高める仕事」でしかない。具体的に言えば、営業やマーケティング活動では受注率やアポ率、CV率などのようなKPIが設定されるが、それらの各種「率」を高めていく仕事というわけだ。

この時、戦略がなければ、全て場当たり的な活動となり、「これやってみたらどう?」と闇雲作戦になる。自社の武器(強み)をうまく活用することもできず、顧客思考(お客様が解決したいことは何か?といった思考)になることもなく、誰に売り込めばいいのかもわからない中で、売り込みを続けることとなる。その結果、KPIを高めるのに時間がかかり、目標達成の時間が長期化する。

自社のリソースを効果的に活用できない

戦略がない場合、自社のリソースを効果的に活用できない。なぜならリソースの選択と集中ができなくなるためだ。

営業やマーケティング活動では、戦術ごとにKPI(受注率、商談化率、CV率、アポ率、1社あたりの購入点数など)が設定される。無数のKPIの中から、「売上につながるKPI」を、継続的に見つけ出し、そこにリソースを集中させることが重要だ。これが、リソースの選択と集中である。

具体的には、まず、現状の営業やマーケティング活動全体を俯瞰しKPIを可視化する。そして、全体のKPIを見ながら「このKPIを改善できれば、最も効率よく売上につながる」という「売上につながるKPI(今最優先で改善すべきKPI)」を見つけ出す。そして、そのKPIを改善するためにリソースをどう使うか?を考えるのだ。

戦略がない場合、こういったリソースの選択と集中ができなくなり、いつも場当たり的で、直感に頼ったリソース活用となってしまう。本来、リソースを集中させるべきKPIに集中させることができず、何をやっても数字が上がらないという結果につながってしまう。まさにリソースの無駄遣いである。

さらに別の観点から見ても戦略がないとリソースを無駄にすることになる。それは、「ターゲティング」である。戦略がないと、ターゲティングも曖昧になり、「誰に売り込めば売れる可能性が高いのか?」をわからずに営業やマーケティング活動を展開する。そうなると、言い方が極端になるが、有象無象にも工数を使うことになり、リソースが無駄になる。

部分最適になり全体最適ができない

戦略がない場合、営業やマーケティングの実務を行う担当者は「部分最適」を行ってしまい、全体最適ができなくなる。なぜなら、全体俯瞰ができないからだ。

営業やマーケティングにおける「部分最適」とは、「電話営業のアポ率を向上させる」「WEBサイトのCVRを向上させる」という具合に、ある特定のKPIの向上のみにこだわってしまうことをいう。「全体最適」とは、売上や利益を最大化するため、自社のリソースのキャパシティを見ながら、各KPIのバランスを整えていくことをいう。

戦略がない場合、営業やマーケティング全体を俯瞰することができないため、部分最適化が進んでしまう。その結果、それぞれの担当者が自分の成果を主張することとなり、各担当者は成果が出ているように見えるのに、なぜ売れないのか?と悩むことになってしまう。

BtoB企業でよくある具体例で言えば、下記のようなケースが考えられる。

  1. 展示会の担当者は展示会でのリード獲得件数にこだわり、過去最高のリード獲得件数が実現

  2. 過去最高のリード獲得できたので、インサイドセールスチームがそれらのリードに対してフォロー電話やメールを実施。アポイントも多数取得できた

  3. 営業部門がアポイントの取れたリードに訪問するも、話を聞くだけで終わり商談にならない(売上にならない)

上記は、部分最適の一例であるが、展示会やインサイドセールスが自分のKPI(リード獲得件数やアポ率)の向上のみに焦点を当ててしまったため、そのしわ寄せが営業部門で発生した例だ。

この場合、展示会の担当者、インサイドセールスにおいては部分的に最適化されているが、全体で見れば売上につながっていないため、全体最適されていないことになる。戦略がないとこういった事態に陥る可能性がある。

さらに、部分最適化がひどくなると、各担当者は「自分の与えられたKPIさえ向上させれば良い」と考えるようになる。その結果、「自分はちゃんと成果を出しているのに●●●部門が成果を出さない」というような思考となって、部門間対立の要因になってしまう。そして、営業ノウハウやマーケティングノウハウが属人化し、営業の個人商店化が加速することにもなるだろう。

質と量のバランスが崩れる

戦略がない場合、営業やマーケティングで獲得した新規リードや新規顧客の質と量のバランスが崩れ、売上や利益の最適化できなくなる。なぜなら、先述した「目先の数値(自分の担当する数値さえ上がればいい)」に追われ、全体最適できないからだ。

営業やマーケティング活動を展開すると、新規リード獲得や新規顧客獲得が時間と共に常に発生する。この時、「質の高さ」とは、「将来的に優良顧客となりえる可能性のある新規リード、新規顧客かどうか」を意味する。逆に量とは、その名の通り、「数」のことで、新規リードや新規顧客の獲得件数のことである。

量ばかり追いかけると、売上につながってもLTVが低くなり利益が最大化しない。最悪の場合、1件の売上を獲得する営業工数が増大し、得られた利益は少ないといったことになるだろう。逆に質ばかり追いかけると、「件数が増えない」ということになる。そのため、質と量とのバランスを見ながら、戦略的にリソースを使うことが重要となる。

一番理想的なのは、質の高い新規リード・新規顧客が大量に獲得できる状態であるが、なかなかそんな上手い話はない。ターゲティングを行い差別化戦略も具体化する以上、質の高い新規リード・新規顧客には限界値があるからだ。

だからこそ、戦略的に質と量のバランスを見なければならないのである。

参考までに、弊社(株式会社ALUHA)の場合は、新規リード獲得の段階では、量:質のバランスは、6:4程度だ。逆に商談化、クロージング段階になると、量対質のバランスは、3:7から2:8程度(2023年度実績値)となる。

こういったバランスと、売上・利益をみて、「最適なバランスになっているか?」を判断することで、自社にとっての最も良いバランスが判明する。そうすれば、そのバランスを維持するためにリソースをどう使うか?を考えていくことができる。戦略と利益が繋がる瞬間というのは、こういったタイミングで生まれるのではないだろうか。

営業やマーケティングのアクションプランが毎年同じような内容になる

戦略がないと、営業やマーケティングのアクションプラン(計画)が毎年同じような内容になる。なぜなら、戦略がないため、時間と共に変化する自社リソースや武器(強み)を最大活用した計画が立案できないからだ。

営業戦略やマーケティング戦略の立案では、先述している通り「自社のリソースをどう使うか?」が重要である。そして、その「自社のリソース」というのは、毎年変化する。「新しい人が増えた」「デジタルマーケティングのノウハウが蓄積できた」「新しい武器(強み)が見つかった」など、時間と共にリソースは変化していく。別の言い方をすれば、変化しなければならない。

そして、この変化するリソースに合わせて、効率的・効果的な計画を検討するのが戦略立案だ。そのため、戦略がない場合は、こういった計画立案ができず、毎年同じような計画になることが多い。

営業やマーケティングに安定感がなくなる

戦略がないと、営業やマーケティングに安定感がなくなる。その理由は、戦略がない場合、営業やマーケティングに長期的視野がなくなってしまうからだ。

戦略とは、先述したとおり、長期的視野が必要(特にBtoBは必須)だ。BtoBの場合、長期的視野が必要な理由は2つある。1つは、顧客側が組織的に検討するため、売上獲得まで時間がかかるからだ。商材によっては、数年後に売れるといったこともザラである。

もう1つは、自社のリソース活用を効率化するため、営業資産やマーケティング資産を時間をかけて作っていく必要があるためだ。

戦略の長期的視野がない場合、目先の数値ばかりを追いかけることとなる。その結果、「今すぐ買ってくれそうにない案件のほったらかし」や「営業資産やマーケティング資産がいつまでたっても構築できずリソース活用が効率化しない」といったことが発生する。

そうなると、営業やマーケティングに安定感がなくなる。なぜなら、「案件のほったらかし」による機会損失の発生、そして、「営業資産やマーケティング資産の不足」による営業やマーケティング活動の生産性の低下が発生するからだ。

特に弊社では、営業資産やマーケティング資産の構築は、戦略立案において重要な要素であると考えている。営業資産やマーケティング資産があればあるほど、リソースの活用がより効果的になるため、時間をかけてコツコツと資産を蓄積していけば、時間と共に営業やマーケティングが「楽」になり、安定感が増加する。

営業資産やマーケティング資産の構築の代表例が、営業やマーケティングのデジタル化(営業DXやマーケティングDX)だ。営業やマーケティングで活用する「コンテンツ」をデジタルコンテンツ化(動画、PDF、WEBページなど)し、デジタルコンテンツという資産として蓄積していく。

最初は大変であるが、やればやるほど、デジタルが人の代わりに営業やマーケティングを実行してくれるようになる。これこそが、資産化するということであり、戦略立案には重要なポイントとなる。

顧客第一より自分都合・自社都合になる

マーケティング戦略がない場合、顧客第一より自分都合・自社都合になる。なぜなら、マーケティング思考が抜けてしまい、売り込みしかしなくなるためだ。

BtoBの場合、顧客側は、「自社の課題を解決すること」「自社が達成したい目標を達成すること」に価値を感じて製品やサービスを購入する。そのため、「お金を払う理由」は、「課題を解決できるかどうか?要望を達成できるかどうか?」にある。

しかし、マーケティング戦略がない場合、「どう売り込むか?」のみを考えてしまうこととなり、顧客第一より自分都合・自社都合となってしまう。「なぜこれだけ提案しているのに受注に繋がらないのか?」と悩み続けることとなるだろう。

効果的な戦術選定ができない

戦略がないと、効果的な戦術選定ができない。なぜなら、戦略立案で重要な、自社のリソースや武器(強み)、そして、顧客の購買プロセスに合わせた戦術選定をせず、場当たり的な戦術を選んでしまうからだ。

先述したとおり、戦略とは、自社のリソースや武器(強み)を効率よく活用し目標を達成するための方策を考えることだ。そして戦術とは、その戦略を具体的に実行する方法や手法、手段のことである。そのため、戦略立案の際には、自社のリソースや武器(強み)、そして、顧客の購買プロセスに合わせた戦術選定が重要となる。

さらに、長期的視野も加えると、営業資産化やマーケティング資産化しやすい戦術を選ぶというのも重要になるだろう。

こういった戦術選定が戦略がないとすっぽり抜けてしまい、いつまで経っても今までのやり方、やってきたことを踏襲するだけの営業活動、マーケティング活動となってしまう。

まとめ

以上、BtoB企業に営業戦略やマーケティング戦略がない場合にどうなるのか?について、ご紹介した。もし「当社には戦略がない」と感じている場合、上記どれかに該当するようなことになっていないだろうか?


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