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売りたい人必見!20年販売をしてきた元販売員が売ることについて語らせてほしい。


ストーリーがあれば売れる!?

いま小売の世界でもストーリーの重要性を問われます。「モノを売るより、ストーリーを売れ」というような表現をよく見ます。
なんだかモヤッとしたものを感じます。
もちろん販売員の理屈よりただ商品の機能を伝えるより、ストーリーで感情にダイレクトに訴えかける方がお客様には「ブランド価値」が伝わると思います。

でも、それを駆使しても思うように売れないのが実情でしょう。
もともとECマーケティングで活発化した手法です。もしかしたらオンラインでは有効でも、店舗などの対面実売の場合、少しだけニュアンスが異なるのかも知れませんね。

「作り手のストーリーはよくわかったけれど自分には合うかどうかわからない。共感できるけどいま、必要じゃない。」

作り手のストーリーだけで、一方通行になっていませんか?

単純に

お客様に選んでもらう為にどうするのか考えてみましょう。

売れないのは3つ段階があります。上から優先で

①認知不足、私たちの商品が知られていない可能性。
②商品の便益の先のユーザーの日常生活が見えない。
③最後にこの商品で喜んで貰いたい人が曖昧。


その海にお魚はいますか?



この商品の便益の先にあるお客様の日常のストーリーの解像度が上がれば上がるほど実売に近くなります。告知ひとつとっても言葉選びタグラインやデザインも変わるでしょう。

私たちは誰を喜ばしたいんですか?(だれの困ってる何を解決したいのか?)お客様の課題(欲求)にお応えできるかどうか、買い手のストーリーを意識してみたい。
ストーリーはひとつではありません、商品に自然といくつもあるものです。買い手の課題に最適に応えるストーリーを見つけなければ、購買までの道のりがまた遠くなる気がします。

"誰も何も決めない会議のために資料ばかり作る人はいっぱいいるが、自分のお客をもっと喜ばせるために何が必要だろうということを徹底的に考えている人が果たして何人いるのか?"

日本最強のマーケターだと思う森岡さんの言葉。
いま振り返ると、20年販売をしてきて私自身も“自分目線の自己都合のストーリー”が多かった。それを突き抜けない限りは、森岡さんの様な一流にはなれないなぁと自戒をしています。


概念的にはこの順序だと思います

プレゼンとは?

プレゼンの評価
①革新性や目新しさ
②伝える力
③エモいことや聴衆に向けた感動話

実際の事業の評価
①市場規模
②ビジネスモデル
③利益構造

プレゼンと商売は別です。
私の思う商売の指標は長期利益です。エポックメイキングな商売も楽しそうですが、感動共感ビジネスに依存しすぎると商売の価値を見失いそうです。販売活動や販売員の価値を下げたくは無いんです。
販売のやりがいはお客様の役に立つことです。役に立つとは商売の基本精神な気がします、商売の本質は商品の便益を通じてお客様の日常の困ったことを解決する。だからこそ長く愛される商売に繋がると思います。

けれど、商売商売
ビジネスビジネスと言うと売りに走るみたいな。

売る!って言うことをネガティブに捉えられがち。
なんとなく、売れたらいいくらいでふわふわと売ることを考えている人、販売したことがないイメージの解像度が低い人には悪い押し売りに感じるそうです。

私は売ることでお客様が喜ぶことを知っています。
バーニーズニューヨークで知りました、それまでは私自身も売るのは苦手だし、販売員ではありながらそもそも売ることに興味もあまり無かったです。
ファッション優先でブランドのうんちくやストーリーを語り、お客様の要望にひたらすら答える様な手法でしか販売していませんでした。
だから全く売れていませんでしたw

そうした小手先の共感や感動で惹きつけるのではなくて、本気に自分達がいいと思う商品やサービスをお客様に合うまで何度も何度も提供する。
プレゼンだけでは見えない、地味で実直な姿だと考えています。
そこから見えてくるのは、相手の日常生活を思いやる想像力の必要性でした。

買う理由を考える

ブランドの憧れとは?

バーニーズニューヨークで体験したことは、実は買うことを楽しみにされている、買うことで幸福感を得る方も沢山いるという事実。

私の右腕に1人で年間1億円を売り上げる販売員がいました。彼は売ることのプロフェッショナルでした。具体例を挙げるとキリがないので割愛しますが、総じて私が感じたことは、彼に接客されたお客様は買い物が楽しそうでした。お客様が彼から買いたいと望んだいたこと、彼自身が憧れの対象になっていまさかた。

買い物をエンタメにする。
そんな接客スタイルが印象的でした。彼に接客してもらうことがワクワクする体験なんです。

販売員がブランドの付加価値になっていました。
結局は売るために共感、感動を活用してお客様との接点を作っている。エモさやワクワク感を利用した感動ビジネス、共感ビジネスは売るための手段のひとつです。手段が目的になっては残念です。

マンハッタンのバーニーズニューヨーク


ブランドの本質は、ちゃんと"売る"ことでお客様と信頼関係をつくることがブランドです。自力ではブランドになれません。様々な欲求を総合的に、かつ対面で再現することで、周りのステークホルダーがブランドにしてくれるのです。

例えば"憧れ"がブランドには必要ですが、憧れの深層はお客様の自己承認欲求を満たすことが多いです。
プライバシーを約束する、パーソナルに対応する、ブランド視点を共有できる。
信頼できる人と空間で自分だけの為に希少な時間を費やしてくれる。消費から自分への投資に変わると感じるときに"憧れ"が生まれるのではないのでしょうか。

販売員の役割とは?

麻布テーラーで学んだことは、お客様のお困りごとに寄り添うテーラーの姿勢です。
在籍した代官山や銀座の顧客様は何十億を動かす方々です。もはや、お金が価値の指標ではありません。品質、高級だけでは応えれないお客様の内面にある価値への欲求を見つける作業になります。

麻布テーラー時代


お客様のパーソナルなストーリーを徹底して考えるからこそ、お客様の課題(欲求)にお応えできると思います。お客様の深層心理を徹底して考え抜くのが販売員の役割。

売ろうと思って売れません、販売員に限らずもし今売れない人がいたら、作り手目線、売り手目線のストーリーしか描いてないのかも知れないですね。

最後に森岡さんの学びを3つ。

*撤退的に消費者心理を深掘りする
*マーケティングで数字を客観的に見る
*買い手に想起させる為のブランディング

私はこの3点がバランスよく共存してこそ実売の精度が上がっていくと感げています。

最近思うんです。みんな売りたい売りたいとか言うけれどほんまかいな?実はそんなに本気に売ることを考えることがあまり無かったんじゃないですかね。もし良かったら改めて売るってなんなのか?考えてみてください。
もちろん、売るだけが価値ではありません、そのプロジェクトの目的が何かによって変わると思います。

けれど売り買いするって経済を動かすし、欲求を満たすし、そもそも売れると気分は楽しい。
売ること自体が悪いことではなくて、その売り方に価値を創出すれば販売活動によって、幸福度の増やすことができると思います。消費を促すのではなくてお客様にとっても生産者さんにとっても投資となるような概念で捉えた思想が大切だと思います。

マーケティングの要素を取り入れる

最後に

お店だとトラフィックが必要だとか環境で売れる売れないを言ってくるメンバーもいます。
確かに一定の量は必要ですが、私はあまりトラフィックだけを気にするのはどうかと思います。

お客様がわざわざ来たい場所になればいいのです。

本気に売ることにこだわるからこそ、お客様に本物の価値を提供したい、ワクワクしてもらいたい。売るという活動は、買い手と作り手が一緒に感動を共有するコミュニケーションだと考えています。

話がそれますが、私が住む香川県は日本で1番小さな県です。けれど、可処可処分所得から基礎支出を引いた"自由に使えるお金"を中央値でみたら香川県17位、通勤費を差し引いても19位です、結構上位ですよね。

ちなみに東京都は最下位。
軒並み地方勢が上位を占めてます。

田舎は経済的なポテンシャルがあるとわかりますよね。改めて見ると県外企業にお金を使ってしまって都会の補填を地方が賄う図式ではないか?と思います。

田舎は消費する選択肢が少ないだけです。
理想は地域内での経済循環の実現。地元のものを少しでも高く県外に販売して外貨を稼ぎ、地元の企業や事業者にお金を落とす。

それには地域内で産業化を図る事業起こしが必要です!地元の人が地域内で消費する場を"自分達"で創ることが大切ではないでしょうか。
そういう意味で、地方にこそゼロイチで行動する起業家精神が必要だと思います。


私たちが考える地域のものづくりを活用した循環サークル

人と人が地域のものづくりで集まる様な、売る場所と売る人を創出していきます。地方には地場産業の技術、伝統工芸技術などの資源がたくさんあります、そして何よりも言いたいのは日本の地方のには脈々と受け継がれている暮らしは、持続可能な社会のモデルとなりうるのです。その地域の資源を活用し社会課題を解決したいと考えています。

地方に移住した元販売員の社会起業家だからこそできることだと思っています。
地方の資源を活かし、地方だからこそわざわざ来たいと思う場所を作りましょう。



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