4月1日「そうだ ラブホ、行こう。」
「そうだ 京都、行こう。」感覚で「そうだ ラブホ、行こう。」という気持ちになったので、コロナ禍の初期である2020年8月以来、3年8カ月ぶりにラブホテルに行った。
なぜ年月まで覚えていて、そこから行ってなかったのかというと、あの日、私はラブホの部屋の空き状況を表示するディスプレイの前で倒れ、救急車で運ばれた。寝不足、その日歩き回った疲労、蓄積されていたストレスが部屋の空きを待つ間に大爆発し、過呼吸でのたうち回り、しばらく立てなかった。いろんな人に迷惑をかけた。それから怖くてラブホを避けていた。
過呼吸でぶっ倒れた記憶が呼び起こされることと、私がよく行っていたラブホはチェックアウト時にフロントに電話をしないと部屋の鍵が開かないシステムになっていて「なんだか閉じ込められている感じがして苦しい」ということがあって、この3年8カ月の間は普通ならラブホを使う時(休憩)でもビジネスホテルを利用していた(宿泊)。
しかし、宿泊だと枕が変わって眠れないし、シンプルにホテル代がかさむ。体調もメンタルもまずまず良い感じだし、「今日はビジホではなく、久しぶりにラブホ行くか」と思い立ったのが、2024年4月1日の夕方である。
ラブホに入る数時間前にアルプラゾラム0.4mg、1時間前に0.2mgを服用し、いざラブホへ。月曜日の夕方は想像通り、空いていた。半分が在室中・清掃中。私的にはまず階を気にする。高い階は好きではないので、一番低い階の、グレードが真ん中くらいの部屋をさっと選ぶ。
部屋を選ぶと、そこまでの道中にあるライトが光り、「あなたたちが入る部屋はここだよ」と知らせてくれるのは、ラブホ初心者にはありがたいと思う。私が以前行っていたラブホはこの仕組みはなかったと思う。久しぶりで緊張感が高まっている中、ちょっとだけホッとできる。
部屋に入るとすぐに洗面台、廊下を進むとベッドとソファ、その奥に浴室とトイレルームがあった。トイレにお手洗いがない難点に気付いたが、それを帳消しにしたのが、「チェックアウトは精算カードを抜き取って退室し、フロントの精算機で支払う」という注意書き。好きな時に部屋から出られるので、苦手な「閉じ込められている感」はない。このラブホが好きになった。
部屋に入ってまずすべきは、照明のスイッチ・ボタンをどう操作すれば、部屋をどんな感じで暗くできるかを把握しておくことだと思う。いざという時にここでグダグダするのは、百害あって一利なし、とまでは言わないが、ラブホや部屋によっても照明はさまざまなので、真っ先にチェックしておくと良い。
「久しぶりの〇〇〇」で緊張するのは当たり前だ。アルプラゾラム0.2mgを追加で飲み、大型テレビのスピーカーとスマホをペアリングし、自分が好きなインストゥルメンタルの音楽をかけることにした。こうすることで、自宅にいるような落ち着きがわずかではあるが、確かに得られた。
ラブホでの緊張を和らげる方法として、お笑いコンビ・ラランドの公式YouTubeで再生数が多い「ラブホの使い方」シリーズを視聴するのも良い。性欲爆発先生ニシダ氏が「いきなりシャワー、ベッドではなく、ソファに座っていちゃつくべし」とレクチャーしていたが、概ね同意である。相手にもよるが、私の場合は基本雑談で(主に)自分の緊張をほどく。
あとは良い頃合いで「そろそろシャワーでも」と言う。相手とシャワーに入るか、それぞれで入るかは、自分の本音と相手の本音をすり合わせて決めれば良い。ここで相手に不快な思いをさせたくないところである。シャワーから出た後の部屋が寒そうだなと思ったら、あらかじめ暖房を入れておこう。
シャワーが終わったら、ベッドへ。シャワーの前にトイレをすませ、ベッドに入る前に水分補給をすませておこう。脱水になるとかそういうわけではなく、それなりに声は出るわけだから、あらかじめのどを潤しておくと良い。臭いがない水がベストだと個人的には思う。自分も相手も、あるいはどちらかが神経質的な要素があれば、歯磨きもあらかじめ済ませておくべき。
私はラブホでもチョメチョメの専門家でも何でもないが、ベッドの上では相手がどうすれば気持ち良くなるかを第一に考えるべきだと思う。自分ではなく相手を第一に。そうすれば、きっと相手も返してくれるはずだ。相手の微細な変化を見逃さずに「こうしたらもっと気持ちよくなってくれるかな」と考えるのは楽しい。
人間のバイオリズム、長ければ年周期になることもあると思うが、「そういうこと」をしたくない時は無理してする必要はない。実際、私は1年2カ月ぶりだったが、「そういうこと」をしたくて楽しく過ごせたのは本当に良かった。ラブホへの苦手意識はかなり払拭された。
しかし、私は今怯えている。前回「そういうこと」をした後、一週間ほど寝込んだからである。とりあえず香辛料たっぷりのカレーを帰り道に食べて、濃厚接触でのあれこれは打ち消しになったと信じたい。
ということで、4月1日の出来事を書いてきた。
嘘か本当か、本当か嘘か。
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