創作童話 雨つぶのうた
「雨ふってきたぁ〜」
ゆりこは窓に顔をくっつけて雨つぶを見ていました。
ポチッポチッ チッチッチッチー
窓にすきまなく雨つぶがあたり、あっという間に水玉もようができました。その雨つぶたちがくっつき合うと
ヒュルヒュルル〜
まるでおたまじゃくしのように、窓につたって落ちてきました。ゆりこはそれを見ているのがとても好きでした。
雨はどんどん強くふってきました。ゆりこはがまんできなくなって、外へ飛び出しました。
ゆりこはお気に入りの水色のかさをさすと、歌い出しました。
雨つぶ 雨つぶ
ゆりこのかさにふってきて
あたるといい音 パンパラリン
はずれは地面に ピチョンピチョン
ゆりこはかさに雨つぶがたくさんたまると
ピュルピュルルー
かさをまわして雨つぶを回り中に飛び散らしました。
ゆりこのかさに飛ばされた雨つぶは、花火のように広がりました。
ゆりこはかさに雨つぶがたまるまで、じっと待ちました。
すると、どこからか歌が聞こえてきました。
雨つぶ 雨つぶ
ゆりこのかさにおっこちろ
ポポロン ポポロン ポンポロリン
ゆりこのかさにうまくのれ
ゆりこは耳をすましました。でもゆりこのほかにはだれもいません。ゆりこはもう一度かさを回しました。そうすると、また雨つぶが飛び散りました。
雨つぶ 雨つぶ
ゆりこのかさに命中だ
ゆりこのかさは ゆうえんち
グルグルグルグル コースター
ゆりこはようやく歌っているのは雨つぶだと気がつきました。ゆりこはワクワクしながらかさを回して歌いました。
雨つぶ 雨つぶ
もっとおいで
ゆりこのかさは ゆうえんち
いっしょにあそぼう ポンポロリン
そのとたん、ゆりこの体がフワーッとういたような気がしました。思わずにぎっていたかさを見ると、それはブランコの手すりに変わっていました。
ブランコは空中をグルグル回って回転ブランコになっていきました。ゆりこが見上げると、回転ブランコをつるしてあるチェーンがみんな雨つぶでした。すると、また歌が聞こえました。
雨つぶ 雨つぶ
ゆりこといっしよに ポンポロリン
回転ブランコのったなら
ゆりこもなかまだ ポンポロリン
ゆりこをのせたブランコは、ますますスピードを上げて回り続けました。
ビュイーン ビュイーン
と、その時、チカッと光がさしました。
「まぶしい!」
ゆりこはあわてて目をつぶりました。
そのとたん、雨つぶのチェーンは、はじけて飛び散りました。
パパパパパーン
ゆりこは、かさをにぎりしめたまま、立ちつくしていました。
雨はすっかりやんで、お日さまが顔を出していました。
ゆりこのかさから、雨つぶがひとしずく落ちました。
おわり
aimaruさんの水色のかさのイラスト塗り絵使わせていただきました。ありがとうございました。七夕のイラスト塗り絵も素敵です🎋