【1分マガジン】蝶といっしょに墓参り
「じいじ!待っていてね」
りなは花と線香を持って階段を上りました。じいじの先祖のお墓の脇には大きな木がありました。お墓の上を枝から伸びる葉が覆い尽くし、夏でもひんやりとした風が流れていました。
りなは毎年じいじとお墓参りに来ていますが、最近じいじの目と足が悪くて小さな急な階段が上れなくなってしまいました。
じいじは階段の下で顔を手でかざし、りなを見守っていました。
りながお墓の前に立つと、木々の間から溢れる光と風とセミの声が何とも気持ちの良い空間となりました。
するとそこに青色のアサギマダラが、りなの手元をチラチラと飛び廻りました。
「また蝶々がきたよ」
じいじの所に戻るとりなが言いました。
「そうかい。蝶は死者の魂の乗り物だと言われているんだよ」
「じいじのご先祖さまが会いに来てくれたの?」
「そうだね。ご先祖さまのご加護が働いていると言われているからね。蝶はきれいな空気が好きで自然のエネルギーの流れに敏感なんだよ」
「ふうーん。りなの回りをぐるぐる回っていたよ」
「そうかい。蝶は純粋で澄んだ心の持ち主のところに寄ってくるからね」
じいじはそう言って微笑むと、りなの手を握ってゆっくりと歩き始めました。
おわり
小牧幸助さんの1分マガジンに参加させていただきました。よろしくお願いします。
FUMIEさんの蝶々のトップ画像使わせていただきました。この蝶々の名前もFUMIEさんに教わりました。ありがとうございました🦋