新鮮じゃない植物に虫が付く

夏は静かに終わっていくものかと思っていた。10月になっても30℃前後になる日があるのは、驚いた。さすがに真夏のような厳しさではなく、心地良さも感じられる気候ではあるけれど。

最近、へちまと朝顔に毛虫青虫が見られるようになり、ああ、もうこれらも終わりの時を迎えつつあるのだなあ、と思っている。

よく「新鮮な野菜には虫が付く」などというが、疑わしいものだと思っている。確かに自然界において、まったく虫がつかないというのは難しいかもしれないけど、虫だらけになるのは、植物が弱っている証拠ではないか?と思っている。

植物だって、できれば食われたくない。生命力があるやつは、できる限り防いでいるはずだ。

今年はへちまがよく成長した。しかし、実はひとつも実らなかった。

夏の暑さが最盛期を迎える前は、へちまの雄花も雌花もたくさん蕾を付けていたのだ。雄花はそれなりに咲いたけど、雌花はひとつふたつ、咲いたかどうかもわからないうちに枯れ落ち、ほとんどの蕾は咲く前に枯れてしまった。

そして、暑さの最盛期には、雄花もまったく咲かなくなった。蔓と葉は充分に育っているというのに。

花を咲かせるには、エネルギーがいる。子孫を残すには、もっといるだろう。しっかり花を咲かせて、子孫を残すだけの条件がそろわなかったので、そうなったのではないかと思っている。

その暑さの最盛期の頃、丸二日ほど家を空けた日があった。一日でも水をやらなければ、植物はたちまち枯れてしまうのではないか?と思われた。
そのころ、少し育ち始めた朝顔(今あるものではない)とへちまの他に、レモンバームや、果物の種を植えて育った木本の植物がいくつかあった。

レモンバームは、古い株のものは葉の色が変わり、いかにも老いて弱った感じになっていた。果物も、何年か育った林檎は、葉っぱが虫にやられたのか、黒い点がたくさん見られる状態で、弱っているな、と感じられた。

二日間、水がやれないのはしょうがない。毎日育っていて大量の水を欲しているへちまの鉢と、育ち始めた朝顔の鉢は、水を入れたビニル袋に入れ、その他はできるだけ水をやっておくだけにしておいた。

帰ってきてみると、へちまはしおれてはいるものの、かろうじて生き延びていて、朝顔、弱っているレモンバーム、弱っている林檎はみごとに枯れていた。弱っていない方のレモンバームや林檎以外の木のものも、生き延びていた。

弱っているものから斃れていく。
自然とは、こういうものなんだろうな、と思った。

9月の下旬、暑さが少し落ち着き始めた頃から、またへちまが花を咲かせるようになった。
へちまにとって、花を咲かせるのに良い気温になってきたのだろう。しかし、雌花の蕾はひとつもできていない。咲くのは雄花ばかりだ。
雄花で環境を測定しつつ、雌花が咲いても良い状態かどうか様子をみているのだろうか、と思っている。そして、条件が整わないから、雌花が咲かない。

このまま、雌花が咲かないまま、へちまの季節は終わりを迎えるだろう。朝顔も同じく終わっていくのだろう。こちらも、咲き始めた頃に比べると、もう小さな花しか咲かない。そして、虫がつくようになってきている。

元気なものは、そう簡単にはたおれない。調子が悪くなるということは、それを許すほど、すでに弱っているということだろう。それは人も同じ。

病気の予防というのは、まず健康な生活を心がけて、免疫力を落とさないようにすることを意識するべきなのだ、と思っている。


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