「玉豊(タマユタカ)」干し芋(ほしいも)品種紹介
干し芋選びのヒント
茨城の干し芋を日本一にした最大の功労品種が「玉豊(タマユタカ)」
昔ながらの「干し芋の味」といえばタマユタカ
2010年以降は、「紅はるか」をはじめとした柔らか系で色鮮やかな干し芋が主流になりました。
それまでは「干し芋=冬の保存食」という側面もありましたが、今では完全に高級な嗜好品・高級食材というイメージですね!
戦後から最近まで、「茨城と言えば干し芋」というイメージを支えた品種が今回ご紹介する「玉豊(タマユタカ)」です。
古くから干し芋を食べて来た方に、根強く支持される品種です。
残念ながら最近では天候不順の影響を大きく受けることがあるため、栽培する農家は大きく減少しています。
しかし、出来立ては柔らかく、こんがり炙っても芳ばしく
そして、噛めば噛むほど「お芋本来の味」を実感できる品種です。
まさしく「飽きの来ない味」、そんなタマユタカをご紹介します。
玉豊(タマユタカ)の特徴 昔ながらの懐かしい風味って?
このタマユタカ、茨城県での栽培は1960年頃(昭和35年頃)からと言われていますから、 かなりの歴史と実績を持つ品種です。
私も北茨城市出身ですが、幼少時の昭和50年代の冬のおやつと言えば、「干し芋」「干し柿」「スルメイカ」の3つと決まっていました。
当時の干し芋は、保存食品という扱いで段ボール箱10キロの干し芋をひたちなか市(当時は勝田市)の農家から直接購入し、12月~3月頃まで食べていました。
年が明ける頃になると、干し芋と干し柿の表面に「白い粉」が吹き始めます。 これが甘くなったサインとばかりに、喜んで食べていました。
実際は含まれている糖分が乾燥して表面に出て来ただけですが、すぐに甘さを感じるので子供には嬉しかった記憶があります。
また、時間が経つと固くなって、色もグレーというか灰色掛かった茶色になります。 しかし、ストーブやオーブンでこんがりキツネ色に炙ると、カリカリで芳ばしく焼き芋よりも美味しかったのを覚えています。
(私の場合は、ネットリしたいずみ13号をストーブに乗せたら、そのまま張り付いて焦げてしまい、母親に怒られた記憶もあります)
こんな記憶が一定以上の年齢の方には必ずあると思います。 それが「タマユタカ」であり、「懐かしい風味」という表現の理由でしょうね!
「これが干し芋!」を体験したい方は、タマユタカです。
このタマユタカ、原料芋は結構な大きさがあります。
これを10月頃までに収穫し、寝かせて糖化させます。
ちなみに収穫してすぐのタマユタカの原料芋をもらって焼き芋にしたことがありますが、まったく味が無かったのは驚きました。
そんな原料芋をじっくりと約1か月ほど寝かして加工作業へ
原料芋を蒸かす作業も、じっくりと時間を掛けて温めて行くと驚くほど甘くなります。
そして、最後の仕上げは乾燥した寒風と太陽の光で時間を掛けた「天日干し」
天日干しすることで、色もキレイになり甘さも凝縮されて行きます。
ざっと、かつてはこんな工程でタマユタカの干し芋を加工していました。
共通しているのは、「じっくりと時間を掛けていること」
こうすることで、デンプンがジワジワ熟成し、甘さと風味が増して行きます。
こんな工程を経て出来上がったタマユタカの干し芋、かつては当たり前でしたが 今となってはなかなか難しいですね。。。
2015年頃から天候が約1か月程度後ろへ、ズレてしまった印象です。
最近は10月でも気温30℃は珍しくなく、台風もやって来ます。
こんな環境と時代の変化で、今では「干し芋乾燥機」の導入はどんどん進んでいます。
となると、じっくりと時間を掛けることで美味しく仕上がるタマユタカは、今後ますます希少な存在になってしまうと感じますね!
でも、この昔ながらの手間を掛けて作る干し芋こそ、「本来の干し芋」と言えます。
まだ食べたことの無い方は、ぜひ他の品種と食べ比べてください!
どこで買える?
干し芋の品種が豊富に並ぶ「JA常陸 長砂直売所」で探してみてください。
玉豊(タマユタカ)の干し芋ギャラリー
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