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なぜGoogleはnoteと手を組むのか? 生成AIでのGoogleの戦略を考える

「なぜ、noteなんだろう?」

Googleとnoteが資本業務提携を発表したニュースを見たとき、最初は「熱い話だなー」と単純に盛り上がっていました。
でも、その一方で、ふと疑問が湧く部分がありました。

Googleが日本企業に出資する事例って過去にもあまりない中で、何故noteに注目したのかと。

それで、Googleの狙いを色々と考えていった結果、幾つか戦略的な狙いをもってnoteに対して出資したんじゃないかと思ったので、今回はそれを書いていきたいと思います。




✅noteにとってのメリット:AI技術と安定した経営基盤

まず、note側の視点から。
noteにとっては、この提携のメリットは分かりやすくて、大きいものですよね。

プレスリリースを見る限り、Googleは生成AI「Gemini」を提供し、それをnoteに「創作支援ツール」として統合するようです。
おそらくは、下記のような機能が想定できるかと思います。

  • 文章のアイデア出し:記事執筆時のアイディアのヒントを提供してくれる。

  • 文章構成についての提案:どういう記事構成にするかが良いかを提案してくれる。

  • 表現の改善や校正:より伝わりやすく表現をブラッシュアップしてくれたり、誤字脱字を修正してくれる。


こういった機能が記事編集する画面に追加・統合されたりすると、書き手にとってはかなり利便性が高まってくるでしょうね。
そうすると、初心者にとっても、より手軽に記事が書けるようになるので、執筆するハードルが下がってくるかと思います。

このように、noteとしてはクリエイターをより支援することによって、今以上に活発なプラットフォームを目指すという狙いがあるかと思います。

さらにGoogleから得られる約5億円の出資は、noteにとっては経営基盤の安定化を図る上で重要なはずです。
これらは、新しい機能開発や人件費に充てるとのことで、いわば「次のステップ」に向けた大きな元手になってきます。


✅Googleの狙いって?

で、ここからが本題になります。
じゃあ、Googleにとってnoteの何がそんなに魅力だったのか?

これについては公式発表がないため、推測するしかありません。
どこまで合っているかは分かりませんが、下記3つの狙いがあるものと個人的には考えています。

「①日本語の良質なトレーニングデータの獲得」
「②コンテンツの多様化」
「③収益モデルの多角化」

1. 日本語の高品質なデータが欲しい

Googleは、ChatGPTやClaudeなどと競争していく中で、今後も生成AI「Gemini」のバージョンアップを積極的に進めていくことが予想されます。

ただ巷で言われているように、大規模言語モデル(LLM)において、いずれデータセットの枯渇が問題となる時期が近づいています。
そこで、一定量の高品質なデータを確保することの重要性が増してきています。

また、日本語は他言語とは違い、特殊さがありますよね。
文法も複雑だし、主語や述語が省略されることも多く、ちょっとした微妙なニュアンスを正確に伝えるのって難しいです。
この課題を解決するためには、質の高い日本語データが必要です。

この質と量の点において、noteはかなり有用なデータソースとなり得るはずです。
個人的な日記、小説、技術に関する解説記事、さらには企業の広報記事まで、幅広いジャンルのコンテンツが大量に存在していて、今後もそのデータベースが拡大していく可能性が高いためです。

もちろんGoogleのクローラーが及ぶ部分は既にトレーニングデータとして活用済みかもしれませんが、noteが持っているデータは恐らくそれだけではないでしょう。

更にいえば、Googleがnoteと提携することで、データ取得時に発生しそうな問題を回避しつつ、継続的に高品質なデータを得られる環境を構築する狙いもあったりするんじゃないかと。

これらは、Googleが以前にRedditと生成AIのデータについて提携を結んだことも踏まえると、そこそこ有りそうな話かなと考えています。


2. コンテンツを多様化したい

続いて、Googleには「扱うコンテンツの多様化」という狙いもあるように感じます。

一昔前は、何か調べるときにはGoogle検索ほぼ一択のときがありました。

でも、最近は各SNSで情報を探す人も多いですし、YouTubeやTikTokで情報収集する人も増えてます。更に、生成AIに検索機能が追加されて、それだけで完結するようにもなりつつある状況です。

こんな感じで、ネット上での情報収集の手段って、もはや検索エンジンだけでないですよね。今後も「検索エンジン」だけの価値はなくなりはしないものの、相対的に地位が低下していく可能性が高い。

Googleもかなり以前からそれを認識しているから、検索した先の「情報への付加価値」を模索してきた経緯があります。

例えば、SNSの観点で、Googleもかつて、「Google+」というSNSを立ち上げ、検索以外の価値を模索してました。結果的には頓挫してしまいましたが…。
その後、SNS的な方向での拡張は諦めて、コンテンツ拡充に注力する路線に切り替えています。

その最たる例がYouTubeであり、動画コンテンツを軸とした情報の消費を支えてますよね。

そう考えると、多様で長めの文章コンテンツをメインで扱っているnoteは、Youtubeに対して補完しうるので、投資対象としては理にかなっているように感じます。


3. 収益モデルを多角化したい

最後は、収益モデルの観点です。

Googleの収益源は広告ビジネスに大きく依存しているのは有名な話です。
しかし、昨今のプライバシー保護の流れがあって、ターゲッティング広告の効果にも限界が出てきています。

また、前述した通り、検索エンジンの地位が低下してくると、Google検索経由での広告表示は減少してきます。

こういった背景から、Google的には広告ビジネスだけではなく、収益源の多角化を図っています。クラウドサービスや、Playストアもそうですよね。

その中でコンテンツベースの収益モデルに力を入れている節はあります。
またYouTubeの例になりますが、広告収益に加えてスーパーチャットやYouTube Premiumのような複数の仕組みで収益を生んでいるわけです。

一方のnoteも、すでに有料記事やサブスクリプションモデルを展開しており、一応黒字化もしています。
そうすると文章ベースのコンテンツを収益化させたモデルとして、Googleにとっては有用な情報である可能性があります。

例えば、ユーザーが購入行動に至るまでの動線や、興味関心のパターンを収集する可能性はあるかなと思っています。


✅まとめ:Googleとnoteの提携の意味

ということで、今回はGoogleとnoteの提携についてでした。

Googleの狙いの部分については、あくまで見立てです。
単純に、noteというコンテンツ作成の場におけるユースケースの確認、つまり「Gemini」が創作活動の中でどのような使われ方をするのかデータを取って、今後の改良に生かすためだけっていう可能性もあります。

ただそれだと別に出資する必要があるのか?と思うので、何かあるんじゃないかと勘繰っています。

いずれにせよ、今後どうなっていくのかは楽しみなところですよね。

それではまた。

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Alpaka
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