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先生から受けた心の傷の癒し方

学校の先生って、子どもにとっては親の次に強く影響を受ける大人。
それほど大きな存在である先生に、小さな心を傷つけられたとしたら、その傷の深さははかり知れません。

だから、先生との思い出は、大人になってからも色濃く残っているものですが、この記事は、心の傷として残っているほうの思い出の扱い方・癒し方についてのお話です。





先生から受ける心の傷が、深いワケ


①親から受けた心の傷と絡んでいるから

もともと、その子が持っている親から受けた心の傷があり、その上にさらに先生から受ける傷が重なって、深くなるというケースは多いです。
親から虐待されていたり、愛着が形成されていない子が、さらに学校でも先生からいじめられる、など。

親と同じ大人である先生に対して、緊張感や身構える感覚などが、無意識に反応する結果、先生側もそれを無意識なりにも受けとって、「なぜだか気になる子」になってしまいます。
さらに言えば、先生からすると、なんだか反抗されてるような、嫌われてるような感覚。

ただ、子どもにとっては無意識なので、その子が悪いわけではありません。心の防衛反応です。

②不平等感からくるアイデンティティの崩壊

学校にいる時間は、先生は親代わり。
その存在は、大人が考えているよりはるかに大きいもの。先生はみんなを平等に大切にしてくれるものだと期待しています。
だからこそ、子どもは不平等に非常に敏感。自分が先生から受け入れられないと感じると、自ら、アイデンティティを簡単に崩壊させてしまいます。

③その後の人生にも影響していく

自分が先生から虐められていることを、同級生に話せない場合もあります。
みんなに嫌われている先生なら、一緒に盛り上がる話も、自分だけイヤな思いをしていた場合などは、反対に自分だけが疎外感を感じる結果に。
あの時、先生という立場だった人が悪かったとしても、先生から虐められていた事実は、何となく自分のほうが悪かったような、どことなく恥じてしまうような、いけないことをしたような気になってしまうものです。
同窓会などの機会にも、そうしたことが影響していきます。



大人になった今の自分なら癒せる:
先生から受けた心の傷



①無理に、人前でさらけ出さなくてもいい。

話すなら、信頼できる人に。
話すことが怖いと感じるなら、同級生には話さなくてもいい。
信頼して話した時、傷ついてしまう言葉を返されたとしても、真実を知っているのは自分。だから傷つかなくていい。


②まずは記憶をたどっていく。

先生とのイヤな思い出が起きた、あの時。自分は悪くなかったこと、そして、小さな子どもだった自分には、何もできることはなかったことを認めていきます。「なぜ、あの時自分は何もできなかったんだ」と、人は過去の自分を責めてしまうものだからです。

子どもだったから、何もできなかった。だけどもし今、大人の自分があの瞬間にタイムスリップしたら、何をしてあげようか。
それを記憶に付け加えていきます。

何も悪いことをしていない当時の自分を、先生は殴った。
自分は、友だちをかばって本当のことが言えなかっただけ。
 ー大人になった今の自分がもし、その場に行けたなら。あの時の自分を助けられる。先生と同じ大人として、先生と対等に話せることがある。
そんなシチュエーションを、ありありとイメージしてみます。


③今ある安心感が強くなっていく。

あの時は、怖かった、悲しかった、悔しかった。
でも今はもう、安全で穏やかな世界で生きています。
今ある安心感のほうをリアルに感じて、強化していけば、先生から受けた心の傷も、その記憶も。思い出しても、何の反応もしなくなります。

同時に、他の先生とのあたたかい記憶が、実は自分の中に埋まっていることに気づいていくかもしれません。
一人の先生に対する恐怖が、先生という存在全体に浸透していっているだけで、それが薄くなっていけば、他の先生との心の交流が思い出されることは、よくあります。

そして、イヤだった先生も、一人のちっぽけな、不完全な人間だったということにも気づくのです。



最後に。先生に気づいてほしいこと



先生から受けた心の傷は、その子が大人になれば自分自身で癒す力を持つ。
とはいえ、子ども時代には、先生は重要な登場人物。
特に、「あ、この子なんか合わない気がする」そう感じた時にこそ、素直にその感情に気づいていただけたなら。その子にとって恩師になる可能性さえあります。先生も、人間。自分自身に起きる《投影》についても敏感でいれば、一人の子どもを人生ごと救えるほどの影響力を持っています。

子どもたち全員から好かれ慕われるような理想の先生であろうとすれば、子どもを否定することにつながります。こうあるべき、という枠組みから外れた子どもたちを排除したくなるものです。
あるがままを受け入れてくれる大人が一人でもいれば、子どもは必ず自分の力を信じて生きていくことができます。


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