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AO入試出願前最後の自由時間:夏休みの賢い使い方

はじめに


この記事はSpotify Podcast "クリエイティブな予備校講師がコッソリ教える!AO推薦入試(総合型選抜入試)のウラ話 by 光村映吾"、又はYouTube "光村映吾(旧・ゆるゆる話すAO入試のウラ話ラジオ)" を聴きながら(orながら聴き)閲覧することで理解しやすい内容にしております。

前号はこちら

『3分プレゼンや自由記述書類の考え方|出願直前に何をするか』


■ 7月下旬〜8月:限界把握期

□ 最後の現地リサーチのチャンスはこの期間のみ。ここで国内外の視察・観察に出かけられるように書類のベースとなる部分は7月末までには整えておきたい。

・ 飛行機や新幹線など移動の合間に進められる作業(任意提出資料や志望理由書の文章推敲など言語表現系を推奨)と、ホテルなど宿泊先でじっくりと向き合える作業(絵や図を描く、映像を編集するなど、主に非言語表現系を推奨)のように、時間と空間によって集中力を切り替えられるようにしておく。

□ 期末テストが終わると解放的な気分になるのは理解できるが、一般入試で言えば年末年始にあたるのが7月末。

□ 期末テストの成績次第では高校の補修対象になる学校もあります。学校の成績を意識するのは夏休みまででいいのに、時間が奪われることのリスクは大きいです。

□ お盆休みなどの誘惑には負けないように。ただし、久々に会う親戚に、研究テーマに関して必要な知見を持った方がいるのであれば、ぜひ話を聞きましょう。

□ ほとんどの予備校や塾が、2000文字の書類(”学部の”志望理由+入学後の学習計画+自己アピールの文章表現のみ)を完成させた後に、A4二枚の自由記述に移らせる指導をしている。これが実に勿体無い。

・ 生徒の得意不得意によっては、自由記述の作成を通して2000文字の文章表現が活性化することがよくある。

・ また、図解を用いて学習計画(=4年間の研究計画)を練ることができる為、「なぜSFCなのか?」の必ず聞かれる面接の対策をこの時点で出来る。

□ 2000文字の書類とA4二枚の自由記述は、相互に補える表現や内容が理想的。そのトレーニングを7月末までに任意提出資料の作成でできているかが、やはり重要。小学生の自由研究レベルの酷い自由記述を何百枚と見てきたが、慶應SFCのAO入試におけるデザイン力は高くない。だからこそ、少しでもデザインを勉強するだけで、ライバルをごぼう抜きするほどの表現力が身につく。

・ 私どもがあらゆるリサーチや潜入捜査をしてきた中で、デザインの伝達効果を高校生でもわかりやすく、根拠を伴って説明できる予備校や塾は、我々以外に見たことも聞いたこともない。

・ それ故に、デザイン系・クリエイティブ系, アート系志望受験生の合格実績が圧倒的に多い。例)4年前には、同じ高校からデザイン系だけで3名のSFC合格者を輩出している。

・ また、未来構想キャンプ(慶應SFCが主催する高校生向けワークショップ)の参加定員75%が、私どもの担当生徒だった年度もある。それくらい、SFCのレベルに達するデザイン力や表現力を解釈しているということの証左でもある。

□ 自由記述や任意提出資料は、言語情報をどれだけ非言語情報に変換・翻訳できるか。この能力や資質が加点対象にもなっていると予想できる。もちろん文章表現力や構成力も総合的に必要。

□ 慶應SFCでは2020年度以降、COVID19の影響で、面接試験の実施がなかったこともあり、3分間のプレゼン動画の提出が必須となった。この動画は、編集に時間をかけず、構成に時間をかける。
(※2022年夏秋入試からは3分プレゼン動画が廃止となりました。)

・ 3分間=180秒の中で、10〜15秒で一要素程度と考える。2000文字の書類の構成ができたら、3分動画の構成も考えて良い。早めに構成を練っていて損はない。得しかない。

・ 3分動画の厄介なところは、ファイル容量が規定の50MBをオーバーしてしまうこと。この圧縮は無料のオンラインサービスでもできるのだが、そのリスクを把握しておかないと、出願時間が来てもアップロードできず出願未遂で涙を呑む受験生も毎年いる。これまで作成した全ての資料が無意味なものとなってしまうので、それは避けたい。

・ 編集力をアピールしたいのであればそれはもちろん構わないが、この動画で重要なのは撮影場所、である。


■ 9月1週目:反省期

□ 慶應SFC(環境情報学部・総合政策学部)、慶應法学部FIT入試(法律学科・政治学科)などは9月一週目の出願締め切りが予想できる。

・ 実質8月中に出願書類・提出書類は全て完成させ、最後の仕上げや漏れがないかの確認など余裕を持って出願することを念頭に置いてほしい。

・ とは言いながら、毎年ほとんどの受験生がギリギリの出願になっているので1日前に締切設定する癖をつける。

■ 9月2週目:併願校or2校目の出願期間


□ 筑波大学AC入試出願の場合、慶應SFC・法学部を出した後、休む暇はない。ほんの一息つくぐらいは気持ちの切り替えには必要だが、締め切りは数日後の可能性が高い。間髪入れずに提出書類を整え切る。

□ SFC→筑波大学の書類活用については学群や専攻次第で内容が若干異なるので、各自要確認。
(私どものサポートでは、再活用を想定したSFCの資料作成から合理的に進めますのでご安心ください。)

□ 志望理由書は800字なのでSFCの志望理由2000文字から転用できるのは500字程度。

・ 残り300文字で筑波大学である理由と、研究計画の要約的な文章は欲しい。要約力と言い換え力が求められる。

□ 肝心なのは自己推薦資料。画像や証明書などのスキャン添付も可能だが、この書類こそが慶應SFCの任意提出資料を整えておくことで質の高い書類になる。ヒントを書くとすれば、図や画像を多用した短めの論文を構成できるかどうか。
(他塾では一人も合格者のいない学群への合格実績あり。戦略的に書類を作成する必要がある。)

□ 慶應SFCで提出した自由記述書類(A4二枚)も大いに活用できる。分解と再構築の考え方次第では、あらゆる大学の学習計画を考える上でも役に立つ。

・ この自由記述の質が高ければ、二次試験でプレゼンが課される大学のスライド資料も作りやすくなる。

■ 9月後半〜10月中旬:併願3校目以降の出願期間

□ GMARCHや関関同立、近畿大学などの出願もピークとなる時期。

□ 文章表現のみで出願できる場合とプラスしてどんな資料があるかは募集要項が8月頃に出た段階で資料のボリュームを先に確認する。例えば、A4サイズなのか、指定用紙あるのか、ページ枚数が限られているのかなど。

□ 立教大学などは最近、特に女子生徒からの人気も高く、倍率が上がっている。

・ ライバルに差をつけるには、添付資料の形で出せる書類が有効。

・ この資料はまさにSFCの任意提出資料そのものであり、若干コンパクトにまとめた方が良いが活用できる。

・ 立教大は面接が年々難しくなっているが、面接を想定した志望理由書の作成をすることで、対策は十分可能。
(その他大学ごとに必要な書類の考え方や質の高め方などは、体験授業でご相談頂くことも歓迎しております。)

□ 関西、九州、東北方面の私立大学受験は、南関東圏の受験生にとっては盲点かつ狙い目である。

・ 一人暮らしの費用などの不安から保護者NGを受ける受験生も少なくないが、「なんか知らんけど東京の大学がいい」という幻想だけは捨てた方がいい。

・ 実家を二十歳前後で離れることが、何よりも自立と視野の拡張に有効である。

□ 関西有名私大では、関関同立はGMARCHよりもレベルの高さ、人気の高さはあると考えて良い。個人的には、早慶上智よりも魅力的な学部はたくさんある。関関同立の多くの学部はAO入試を実施している。定員数は早慶と比べると少ない学部がほとんどだが、勝算はかなりある。関西に四年間留学するつもりで、ぜひチャレンジして欲しい。めっちゃおもろいで、関西の学生生活。

□ ここ数年だと近畿大学も狙い目。学部が多様にあり、入試形態や準備する資料も様々。自分の得意なことを活かせる入試方式で探しても構わない。併願校として押さえておくことの安心感もある。

□ 「工学部系の大学は理系だから」などの偏見も捨てた方が良い。成城大学や成蹊大学以上に、東京都市大学など面白い分野にチャレンジしている大学もある。特に、慶應SFCでも多い「まちづくり」系や「地域活性化」系の分野に進む場合は、当然ながら「まち」「街」「都市」を取り扱う専門領域であることに興味を示すのが本筋ではないかとさえ思う。意欲さえあれば数ⅢCを履修していなくても出願と合格は問題なく可能。

□ 単科大学が狙い目な理由は、専門領域の集結度が高いことなどがある。総合大学と比べても、入学後の学習計画や志望理由が書きやすい。


女子受験生限定になるが、女子大学のAO推薦入試の多様さもここ数年で面白くなっている。例えば、建築やデザイン系志望の場合、SFCや早稲田建築、明治建築、横浜国立大学建築なども当然考えられるが、女子大の住居系、生活科学系は実技試験の対策を徹底することで、合格の可能性は一気に高まる。

・ デッサンの経験がなくても2週間で実技試験をクリアし合格をした生徒もいます。

・ 昭和女子大や共立女子大など模型作成やクリエイティブな課題小論文が課される二次試験でも、題意の理解とそれに対する解答の表現方法をトレーニングすることで、短期での合格確保もできる。

・ 特に女子受験生の場合、現役進学傾向が高く、なんとしてでも年内に一枠は押さえておきたい、とお考えの保護者の方も多いです。

・ 共学の総合大学建築系や美大のデザイン系でなくとも、就職に影響はありません。

・ 差が出るのは入学後の創作意欲と視点次第、体力、持久力などでしょう。

・ 日本の女性建築家でも妹島和世さん永山祐子さんは女子大の住居系,生活科学系出身で、国内外でご活躍されています。

■ 10月下旬〜11月上旬:面接試験期間

□ この時期は一次試験の合否が発表される。二次試験が中旬〜下旬にかけて早々と始まるところもある。

□ 一次試験合格の場合は、併願校の書類準備とのスケジュール調整を意識し、志望順位によっては、「面接対策などに時間を割かない(書類作成時に意識しておくことで時間調整が可能)」ことも一つの考え方として覚えておいていただきたい。

□ 一次試験不合格の場合、後悔している時間はなく、反省と改善に時間を割いて、次の出願に活かしたい。
ただし、反省は出願後にするのがベストなので、改善にすぐ切り替えられるようにその時点である程度の修正をしておきたい。

□ 第一志望が一次試験合格・不合格だったからといって一喜一憂している場合ではない。現役生の出願はもう戻ってこない。気持ちの切り替えが大事、と周りの大人や友人は言うだろうが、それが難しい年齢であることは我々も理解している。そういった悩みや愚痴を発散してもらい、勇気付けるのも伴走するサポート側の役目であるので、メンタルが大変な時に相談しやすい講師やスタッフとのコミュニケーションが、この時期は特に効いてくる。

□ 面接の日時が確定したら、その前々日・前日・前夜・当日直前に何をすることで気持ちを整えていくか逆算してみましょう。好きなスイーツを食べるでもいいし、BTSのMV見て踊るでもいい。緊張して当然の状況ですので、余計な不安を意識しにくくするために、普段の楽しい状況を間に意図的に挟みましょう。私のお勧めはMr.ビーンを無音で見ることです。カラオケに行き喉を開くこともお勧めです。あとは、あったかい麺類(油分あり)を食べること。全ては「発話」のための準備です。

□ 面接試験は、結局のところ、言葉の組み合わせ次第なのです。小論文も同様です。質問やお題を、大学の教員側が先に出してくるだけです。決して受験生を脅そうとか落とそうとは思っていない、試しているだけ。相手の大学教授・准教授・専任講師も普通の生活を送るおじさん・おばさんです。ちょっとクセの強い、研究者っていう職能なだけです。面白がってくれる話題の接点を織り交ぜてみましょう。

*面接関連の詳しい話、面接イメトレができる動画はこちらをご覧ください。


■ 11月中旬〜12月:一般入試移行期間

□ 11月中旬に入るとほとんどのAO入試の出願は終わっている。二次試験の面接や小論文など筆記試験に備えたリサーチと勉強のみに時間を注ぐ。

□ 一般入試の方が合格の見込みがありそうなら、早々と筆記試験に備えて気持ちを切り替えるのもこの時期になる。残念ながら現実として、合格が一校もこの時点でないのであれば、現代文の勉強はしつつ備えるのが良い。

□ AO入試が全滅だったとしても、一般入試をあきらめないこと。冬休み期間は小論文・現代文読解以外の年内に時間がかけられなかった科目などを中心に進めておくのが良い。
→小論文で受験できるSFCはチャンスが十分にある。あと2ヶ月もないが諦めない。

□ 一校でも合格していて、一般入試で本命を受ける場合でも、モチベーションがうまく上がらないなら、受験終了を決断しても良いと私は思います。
入学後に必要な勉強を読書なり視察なり、有意義に使う方が健全だと思うからです。

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おわりに


だいぶ端折った説明もありますが、受験を意識し始める高校三年生の4月から、AO入試が終える12月までの目安としての考え方の例を書いてみました。

受験学科や提出書類の種類や時期、内容によっても前後する誤差はあります。概ね一昨年以降はこのスケジュール感と大きな違いはありません。

あるとすれば、大学入学共通テストの点数が必要になる国立大学の推薦入試などです。筆記試験のみを残す状況であれば、上記の12月の意識に該当します。学科試験の勉強とのバランスをどのようにとっていくかは、高校三年生の受験生活全体を見たときに、どの時期に力を入れるのかを参考にしていただけると本望です。

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