【コラム】国際栄養士が強化したい6つの力
国が変われば言語や政策だけでなく、栄養士の役割や求められる技術も異なります。今回は、途上国を舞台に働くために、日本人栄養士がぜひ強化しておきたい技術・能力について紹介したいと思います。
日本の学校で栄養士の資格を取得し、日本でしか働いたことがなかった私もそうでしたが、国際支援の道を志し、スキルアップをしようとした時、どんな技術や知識を補強するべきなのかについて、適格な答えを見つけられる人は少ないでしょう。そこで、私が国際支援の道へ飛び込もうと準備をしていたころに、その道の大先輩から教えていただき、とても役立った6つの力について紹介します。
【日本人栄養士が強化したい6つの力】
① 食の営みを「生産・加工・流通・調理・食卓づくり・保存・廃棄」という一連のつながりで捉える能力。
② 過剰摂取と不足の両面から栄養状態を把握する能力
③ プロジェクトの予算取り等の仕組みや方法を理解する能力
④ プロジェクトを立案し、実行する能力
⑤ 組織の構造的観点、ジェンダー等の社会学的観点、地域の環境などの生態学的な観点から総合的に戦略を立てる能力
⑥ プロジェクトを評価する能力(特に経済評価)
実は、私が国際支援を行う上でぶつかる苦労の多くは、ここに挙げた6つの能力不足が原因であると日々痛感しています。これを自分の弱点として受け止め、日々補強するべく努力をしながら、国際支援に従事してきました。
これらの能力を伸ばすために、明日からでもできることとしては、沢山の色んな人と対話をすることだと思っています。特に④に直結する能力になると思うのですが、話をきく力(ヒアリングや傾聴力)や提案する力、交渉する力などは会話の中で育まれていくと思うからです。
途上国では日本人の栄養士派遣要請のニーズが多くあります。私たちが日本の栄養士・管理栄養士養成課程で得た専門分野・専門ライフステージ での豊富な知識や経験に加え、途上国で求められる6つの能力をより高められたなら、日本人栄養士の国際支援での活躍の場は、もっと広がるはずです。
Posted by 太田旭