【コラム】国際栄養士の仕事
日本人の栄養士はどんな国際支援の仕事をしているのか
現在、開発途上国における栄養改善への取り組みを拡充すべきという声が世界的に高まっています。そこで今回は、一体どんな日本人が国際支援に従事し、日本人の栄養士はどんな国際支援の仕事をしているのかに焦点を当てて紹介したいと思います。
日本には精密な研究器具があり、優秀な研究者もたくさんいます。また、政府や企業の努力によって、各種栄養素に係る知識や技術、日本独自の予防学や食育の仕組みの国際展開などが活発に行われるようになりました。それは日本側からの一方的なものに留まらず、途上国側からも日本のODA を利用したJICA 専門家、JICA青年海外協力隊、外務省の国際支援員などの要請が増加し、多くの日本人が世界各地で国際支援に従事しています。一方、NGO・大学・各種団体の他、民間ではコンサルティング会社や、企業の海外事業部門、CSR 部門に所属する社員の方などが活躍されています。
では、国際支援を行っている栄養士はどんなことをしているかというと、所属する組織の人事構成や事業の規模、位置付けにもよって変わるため、一概にはいえないのですが、栄養の専門家という役割に加え、事業の予算の枠組み、人員配置、スケジュール管理なども業務に含まれ、あらゆる場面でファシリテーターやコーディネーター、プレゼンテーターやカウンセラーなど、様々な役割を担っています。
これらの業務を、地理的条件、経済的条件、使用可能な設備や機材、事業実施地の組織の中での位置や役割、地域住民のモチベーション、教育水準、ジェンダー問題など多種多様な環境条件の中で、適切に計画し、指標を元に事業を評価しながら展開していきます。
「栄養士」である以前に求められる能力
国際支援をしていると、私は「栄養士」である以前に、一人の組織人であることを思い知らさらされることが多々あります。もしかしたら、私たちが日本にいる時に求められる栄養や疾患に関する高度な知識や技術とは異なり、それまであまり求められることがなかったような、プロジェクトの遂行力や組織のマネジメント力など、別の技術が必要となることの方が多いかもしれません。
栄養士を英語でいうと?
ちなみにですが、私は国際保健よりの業務を行っているので栄養士有資格者なので、栄養士=Nutritionistと訳しています。これが、病院や研究機関に所属をして臨床栄養に従事していると、栄養士=Dietitianと訳されるでしょう。資格の無い栄養士はHealth or Nutrition officerなどとなるでしょうか。その国々で名乗って言い名称や定義があり、それにともなって業務範囲を示されることもあるので注意しましょう。
Posted by 太田旭