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4年連続!年末のお楽しみ!杉江松恋×倉本さおり×豊崎由美「あのとき紹介したかった本、2022」

2022年最後の月刊ALL REVIEWSフィクション部門は、4年連続で、杉江松恋×倉本さおり×豊崎由美の「あのとき紹介したかった本」。今回はPASSAGEからの中継で、現地には観客も。思えば2019年の第1回はコロナ前。その後2回は無観客でした。
通常より30分長い2時間スペシャル。会話の楽しさはアーカイブ動画で。ここでは、昨年同様、紹介された本のタイトルをご紹介します。
※対談はアーカイブ視聴可能です。
※対談は2022年12月14日に行われました。

()は紹介した書評家さんの名前です。

チェレンコフの眠り(杉江)

主を失ったヒョウアザラシのヒョウの冒険。作者の一條さんは動物好き。

タワー(倉本)

超巨大タワービルの中の人間模様。韓国からは多様な作品が紹介されるようになっています。

ユーモア・スケッチ大全(全4冊)(杉江)

今は亡き浅倉久志の名シリーズを復刊。ジェローム・K・ジェロームなど懐かしい作家の名前がいっぱい!

アドルムコ会全史(倉本)

今年は木下古栗の新作が発表されず、「古栗枠」として紹介。「佐川恭一は古栗より出世すると思う。応援したくなるキャラ(豊崎さん)」

不死鳥と鏡(豊崎)

今は亡き殊能将之が絶賛していた作品。

文字助のはなし(杉江)

立川談志の一番弟子の話を立川談四楼が書く。本を書く落語家の方を「本書く派」というそうですが、談四楼師匠は「本書く派」の代表です。

フィールダー(倉本)

色々な要素が詰め込まれた小説。倉本さんはソシャゲの部分だけでも2時間語れるそうです。

ひどい民話を語る会(杉江)

柳田國男や松谷みよ子が採択しなかった民話の世界。

私の盲端(倉本)

著者は現役医師。表題作は直腸の腫瘍を取る手術で人工肛門になった女子大学生が主人公。なぜ、芥川賞候補にならなかったのか。

キリンの首(豊崎)

作者が書く主人公はとても嫌な女だが、教師である主人公が行うキリンの首についての授業は生徒にとって忘れられない授業となると思う。

池田得太郎 異端小説集 (杉江)

作者の池田得太郎は現在行方不明となっている。昨年紹介した岡田睦と同様、宮内書房が「文化庁の著作権不明等の場合の裁定制度の許諾」をとって出版。第二版が販売中。欲しい方は急いで。

スモモの木の啓示(倉本)

イランから亡命し、現在は豪州に暮らす作者で、ペルシャ語で書かれた本。政治的な理由から英訳者が身分を明かせないという本書だが、マジックリアリズムの魅力もあり、純粋に小説として面白い。
国際情勢を知るためにはどうしてもノンフィクションを読みがちだが、小説にこそ、その国のリアルが書かれていると思う。もっと色々な国の小説を読んでほしいと豊崎さん。

杉江さんよりおまけでこれから紹介したい本が紹介されました。


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行方不明作家の作品や、イランの作家の作品が紹介されるなど、多彩ながらも、オーソドックスな小説が紹介されました。年末の読書の参考にしてください。そして、対談時には『フィールダー』、直木賞候補になればよいと語っていたのですが、直木賞候補には残念ながらならず。

【記事を書いた人:くるくる】

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2022年9月には、ALLREVIEWS友の会から2冊目の本『多様性の時代を生きるための哲学』が祥伝社より刊行されました。
そして2022年3月に開店した共同型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」では、棚主になる会員や、運営を手伝う会員も。
もちろん、オンラインイベントを楽しむだけでもお得感があります。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください。
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