『愛赤』
ふと見えた閉店間際の花屋。赤い薔薇が見えた。
寂しそうな姿が自分と重なり、買ってしまった。
花瓶に挿して眺める。 殺風景な部屋の彩り。
少しずつ花開き、絶頂後はしっとりと枯れた。
次を迷っていた時、家の前に赤い服の女がいた。
「ねぇ、私、戻ってきたよ!もう棘もないし、
毎日、お水飲まなくても大丈夫だから」
棘?水?…薔薇?馬鹿な妄想が、頭を駆け巡る。
ま、いいか。二人で家へ入る。そんな大晦日。
皆さまもどうか良いお年を。来年もよろしく。
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