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【大西克直さんインタビュー後編】すごい人にならなくていい。オモロいこと、変なことしようよー ”強い文脈”に流されない、自分の納得できる生き方|ALiveRallyインタビュー#15

前回の記事では、克直さんのAIU入学から現在までの歩みを追ってきました。後編では、その歩みに潜んだ克直さんの哲学を存分に語っていただきます!お楽しみください。

(*今回はインタビュアーがそれぞれ熱くなってしまって少々収集がつかなくなった部分があるため、ALRメンバーの名前付きでお送りいたします(ジロー)(キョウコ)(ハナ))


「自分で決める」を大事に。

―― (ハナ)克直さんって、頭の切り替えと行動がすごく早いのかなって思いました。フィジー行きを決めたり、勉強の路線を変えたり…。

A. でも、個人的にはそんな早く動いてるとは思っていないかな。たとえばさっき話した、「幸せとはなんだ」みたいな問いに答えられるようになるには時間がかかるよね。思想とかは置いといて1回ビジネスをやってみるっていう道もあったと思うけど、 俺はそれがあんまりやりたくなくて…やっていくうちに疑問に思ったことにちゃんと立ち返って、またやってみて、さらに思ったことを追求していくってことを地道に続けてきた。

—— (ハナ)なるほど、疑問に丁寧に向き合っているからこその選択たちだったんですね。

A. 型とか何にも知らない勉強不足のまんまやっているから、ずっと行き当たりばったりかもしれないけど、俺もちゃんと「自分の納得の行く道を自分で選んで進んできたんだな」と今となっては思うよ。自分で決めるってことを大事にしてきた気がする。

—— (ハナ) それってすごいなあ。本当に自分の意志で選んでいくって、意外と難しいことかもしれないなと思ったりします。

—— (キョウコ)AIUにも、「何か自分もすごいことやらなきゃ」みたいな脅迫観念ってあるよね。SNSなんかでもすぐ他の人の活動が見えちゃったりとかして。それって常に自分と誰かを比べることにもなるじゃないですか。私は結構そうなりがちで、いまだにFacebookを覗いては落ち込んだりしてしまう…。

A. そうだね。俺もこんなことしてて大丈夫かなとか、周りと比べちゃう時期はあった。結構、周りで色々やってる人とかさ、たくさんいるじゃん。確かにプロジェクトやったりしてたら目立つし、勉強めちゃくちゃできる人がかっこよかったりとか、部活のリーダーをやってる子が輝いて見えたりとかする。結局どのコミュニティでも、何かしら崇められているものはある気がしてて…。でも、「自分もそうしないと」みたいな焦りに囚われちゃうと、自分が納得できる生き方からは逸れてしまう。

—— (キョウコ) 自分の納得できる生き方、ですか。

A. そう。自分やりたいことなんだっけとか、逆にやりたくないことなんだっけとか…その人によってあると思うんだけど、そういう自分らしさとか、 自分が大切にしてることに本気で向き合ってる人がいちばんかっこいいっていう世界線の方がみんな楽しいって思ってる。

—— (キョウコ) ほかの人と比べたりしないで、自分の本当に思っていることに向き合うっていうことですね。

A. 全部正解だよねみたいなふうに思えるのが、 リベラルアーツの良さかなって思っているんだよね。

さとやまコーヒーで取り組んでいるダイレクトトレードも、コーヒー業界の常識からしたら、多分あまりやらないんだよ。でも、経済合理性からは決して生まれ得ない良さみたいなのを社会実装していくのが面白いよね。業界の常識ではやらないようなアイデアは、やっぱりリベラルアーツとか、自分軸で考えたところからしか出てこないじゃん。誰でもできることをやってメインストリームにいることよりも、自分で決めたことを自分でやることの方がよっぽど楽しいよ。

—— (キョウコ) たしかに!

A. で、多分そっちの方がエネルギー出ると思ってんの。俺は。それこそ、好きが努力に及ばないみたいな…忘れちゃった。

―― (キョウコ) “好きこそものの上手なれ” ですか?

A. そう。ちょっとアホやねん、俺(笑)

—— (一同) (笑)

A. でも、このリベラルアーツの大学に所属しながらこうやって世界を色々見てきたから、その手段を取るっていう覚悟ができたんだと思うな。

だから、「みんなが自分の好きなことやっていて、尊い」で良い気がしている。「この考え方もある。この考え方もある、こういう人たちもいる」っていうのをすごく尊いって思えるようになったのはすごくよかったし、そうするとたぶん優しい人間になれるんだと思う…。

—— (ジロー) なるほどね。でも、そうすると、今度は自分の意志を貫き通しにくいこともきっとあるよね。自分にとっての正解だけでなくて、他にもいろんな正解があることを知っているから。

A. うんうん。

—— (ジロー) 他の人の意見を聞いた時に、確かに納得はするんだけど、同時に自分の言っていることへの確信みたいのが揺らいでしまったり。

A. そうだね。だから、 「彼は、彼のロジックでやってる」「彼女は、彼女のロジックでやってる」「自分は、自分のロジックでやってる」みたいな感じで考えられると、ちゃんと自分のことを認めてあげられるようになるというか…。「いや、俺も正しくね」みたいな。

—— (ジロー) 確かに。

A. そうすると、例えばちょっと思うように手が動かなかったりとか、ちょっとダラダラした時とかも、それが自分にとって大事な時間だったからそれを選んだっていうのは変わらないと思ってて。その間に誰かがめちゃくちゃ努力しているかもしれないけど、自分の意志で選択をしてその時間を過ごしたっていうのは、長期的に見てそれはそれで大事な時間だよねみたいな…。努力してたあなたも偉いけど、一休みした俺だって間違ってない。

—— (ジロー)自分の意志で決めるってことがやっぱり大事なんやね。

A. 自分で決めたら自分の人生に自分で責任持てるから楽しいし、多分振り返った時とかに、あーよかったって思うと思う例えば新卒でこんくらいの会社に入って、いくつぐらいで結婚してとかっていうのと比べちゃうっていうのは、きっとずっとついてくるし、メインストリームに乗ってない不安っていうのは絶対にあるけど…でも、その代わりにすごい納得感のある人生は過ごせると思う。

―― (ジロー) 誰にも文句言わせへんしね、そうやったら。

A. 語れるからね。自分の人生について。


お前ら自分でいいと思ったものいいって言えー!

A. 世の中には、”強い文脈”っていうのが存在するじゃん。わかりやすかったりとか、 権威があったりとか。で、わかりにくいけど確かにうなずけるような、”弱い文脈”もあるよね。でもそういうものって、見逃されてしまったりする…。俺はそれ、結構イヤかも。

―― (ジロー) 世間一般の常識やメインストリーム(強い文脈)から外れた、独自の視点や価値基準を大事にしたいってことかな。

A. うん。たとえば自分の考えていることは、社会にとってはどうでもいいことかもしれない。もっと社会がもてはやしていることやわかりやすいものがあったりする。でも、人に気づかれないようなこととか、ほんのちっぽけなことでも、 もっと同様にすごいねって言ってあげられたら…。

いいねひとつしかついてないけど、お前やってることやばいぜ、最高だぜって言える方がいいよね。そっちの方がイノベイティブだしオモロいことも起こりやすい!

—— (ハナ)こういう話をここで聞けたのはすごく面白いし、嬉しいです。たぶんALiveRallyの記事には、メインストリームで輝くいわゆる“すごい人”の活躍を書いてある、みたいなイメージを持っている人もいっぱいいるんじゃないかなって思っていて…。

A. 面白いことやってる”風”で、メインストリームに載ってる人が目立つしカッコよく見えやすかったりする。それがね、解せない。俺は。バカー!って思ってる。お前ら自分でいいと思ったものいいって言えー!って(笑)

—— (ジロー) その社会に対する反骨精神みたいなのってかっちゃんすごくあるよね。

A. そうだね、それは割と常にあるかもね。

—— (ジロー) そうだよね、それぐらいの気持ちがないと、ただオモロそうっていうモチベーションだけではこんな真剣にやってないよね。

A. あー、そうね、ものすごい怒りみたいなのは多分あるんだと思うよ。

—— (ジロー)「メインストリームに流されてたまるか」みたいな?

A. 「すごい風」がいちばんダサいよって思う。何者かになろうとしてるのってダサいよね。いや、とか言いつつ俺もすっごいその気持ちはある。てか、あるからこそ言ってる。

—— (キョウコ) 世間で「すごい」とされている人をついつい目指してしまうんですよね。

A. 俺が別に何者かになろうとしてないわけではないし、自分なんもできてないなって思っちゃうこととか、他の人と比べちゃうこともめちゃくちゃあるし、 悔しいなとか思うこともあるんだけどね。でも、すごい人になりたいわけじゃない。オモロいことやりたい、変なことしようよみたいな感じかも。

―― (ジロー) 最高だね。そのオモロいことやろうぜっていうマインドセットを作るのに必要なことって何やと思う?

A. うーん。権威から離れるようにするとか…?世間一般に良しとされていることにただ従っちゃうのって、クソだなって思ってて。だから、オモロいことをリスペクトできるコミュニティを、ちょっとずつ広げていけばいいのかもしれない。

―― (ジロー) うんうんうん。いや、実はですね。このALiveRallyを通して、AIUにまさに今かっちゃんが言ったようなコミュニティを作ろうとしてるんです。

A. めちゃくちゃいいじゃん。

―― (ジロー) ALiveRallyで何がしたいかっていうと…、AIUの価値って本当に人にあると思ってて。だとしたら、もっとAIUにアホ増やしたいよねっていうのがこの活動の目的なの。 もうアホみたいに目キラキラさしてて、「俺はこれが好きで、これがいいと思ってやってんねん」って、信念を持っている若者(=アホ)がAIUにもっと増えたら、AIUがもっと面白くなるやんっていうのが、僕の中にあるフィロソフィーなんですよ。

A. いや、ほんとにそうだな。

―― (ジロー) 別にみんなからいいねをもらえなくても、ほんまにキラキラできる人たちをもっとAIUに増やせたら。秋田っていう、何をしてもまだ新しいっていう土壌がこの足元に広がってるAIUで、そういう風にできたらいいなって。

A. めちゃくちゃいいんじゃない。
だってさ、夢をって追っかけてる時がいちばん楽しいじゃん。 これって誰にも否定できないよね。ワクワクしてた方が絶対楽しいじゃん。自分がこれにワクワクしてるって言えるときに、それにいちゃもんつけてくるやつは、そんなことしてないで、自分のワクワク探せって思う。

——  (ハナ) 自分のワクワク探せ!

A. 何をやってても前を行ってる先輩とか横を走ってる人と結局比べてしまったりするけど、やっぱり自分のやりたいことが見つかって、手を動かしてから初めてそのプレッシャーがいい刺激に変わるよね。ほんまにスイッチが入って、自分がちゃんとやってる時って、人がなんて言っててもさ、いちばん自分が楽しいから。

—— (ジロー)いや、ほんまにそうやわ。だから僕としては、かっちゃんみたいにそれをちゃんと長期的な仕事としてやり続けられるって、そんな幸せな人生ないだろうと思っちゃうの。

A. あれもこれも自分でやんないといけなくって、自分にはこれ向いてないとか、辛いとか楽しいとか言いながら、 自分の人生を進んでいる感じがする。そうしていると、いろんなことに対して本気で向き合えるようになるよね。だから、自分でやること自体に意味があると思ってる。

―― (ジロー)「アホみたいにほんまに好きなことやってたら、気づいたらこうなってた」みたいなね。

A. みんな天才!みたいな…こういうテンションになってマジで申し訳ないんだけど、本当に思う。みんな天才なんだから、自分の好きなことやろうよって。

俺、普通にただの取材だと思ってたけど、いつもの取材とは趣旨が違うのかもって思って、いっぱい語っちゃったよ。

―― (ジロー) そうそう!ALiveRallyではね、飲み会で1次会2次会終わって3次会まで生き残った勢で、朝方コーヒーを飲みながらするような話を引き出したいのよ。

A. なるほどね。いやいや、でもほんとそう俺も思ったもん、飲み会みたいなこと言ってるわとか思ったよ(笑)。こんなに込み入った話をすると思ってなかった。

―― (ジロー) よし、めちゃくちゃ時間かかったけど、むっちゃ面白かった!

—— (一同)本当にありがとうございました!




編集後記
疑問にもワクワクにもまっすぐ向き合いながら、ひとつひとつ丁寧に自分の道を選択してきた克直さん。「本質的なことがしたい」とどこまでも真剣でありながら、なんとも言えないユルい空気感もあわせもつ克直さんと話していると、”こうしなきゃ/こうでなきゃ”と固まりがちな肩の力がふっと抜けていって、そしてワクワクしてきました。好きなこと、本当に思っていることをしよう。本気でしよう。そうしたらいつのまにかオモロい世界にたどり着く、かも!

お話が大いに盛り上がり、約4時間の超ロングインタビューになってしまいました!泣く泣くカットした部分も沢山ありますが、カツキさんのこれまでを凝縮した濃い記事になったのではと感じています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。(ハナ)


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Interviewer: Shojiro Matsunaga, Kyoko Fukuyama, Hana Oishi
Writer: Hana Oishi
Thumbnail design: Iori Maeda

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