マガジンのカバー画像

PGTについて専門的な情報

11
PGTについて論文などから専門的な知識をまとめてみました。少し難しい内容かもしれません。
運営しているクリエイター

2024年9月の記事一覧

PGT Ⅷ. モザイク胚とは

以前に、PGT技術が進化し、次世代シークエンサーを用いることで検査精度が高くなったと述べました。しかし、精度が上がったことにより新たに生じたのがモザイクの問題です。PGTは染色体正倍数性胚と染色体異数性胚を見分けることを目的としているのに、正倍数の染色体を持つ細胞と異数性を持つ細胞が混ざっているモザイクだという判定が出るのです。モザイク胚の移植後健康な赤ちゃんが生まれた例は沢山あるのですが、正倍数性胚とは判定されなかった胚を移植するのには大きな不安が付きまといますよね。 正

PGT Ⅸ. モザイクの結果は胎児の情報と一致しているのか?

PGTは胚盤胞の将来胎盤になる部分、栄養外胚葉(TE)の細胞を採取して検査をします。将来胎児になる(内部細胞塊 ICM)の細胞を採取するわけではありません。TE細胞で行った検査の結果が、ICMの情報と一致しているのだろうか? みんなが疑問に思うことです。それを確認しようと行った研究について紹介します。 モザイクの分類方法 A.  モザイクの程度による分類 検査の結果、混ざっている異数性細胞の割合(モザイク率)が20%(検査会社によっては30%の場合もあります)未満のもの