② 生まれる赤ちゃんの健康リスクが少ない胚
An evidence-based scoring system for prioritizing mosaic aneuploid embryos following preimplantation genetic screening. F. R. Grati et al. Reproductive Bio Medicine Online Vol. 36Issue 4p442–449 Published online: Fe
PGTⅩ. モザイク胚の移植優先順位をどう決めるのか(その1)
正倍数性胚が獲得できていれば、正倍数性胚の移植が第一選択です。なかなか正倍数性胚が得られない、あるいは正倍数性胚を移植したがうまく育たなかったという場合に、モザイク胚の移植を考えます。複数の移植可能胚があるならば、どれを移植するのか、移植の優先順位をどのように決めればよいのでしょう。
移植優先順位を決める重要なポイントは、妊娠、出産できる可能性が高い。生まれる赤ちゃんの健康リスクが少ないこの2つです。
① 妊娠、出産に至る可能性が高い胚
PGTは体外受精の補助的な検
PGT Ⅸ. モザイクの結果は胎児の情報と一致しているのか?
PGTは胚盤胞の将来胎盤になる部分、栄養外胚葉(TE)の細胞を採取して検査をします。将来胎児になる(内部細胞塊 ICM)の細胞を採取するわけではありません。TE細胞で行った検査の結果が、ICMの情報と一致しているのだろうか? みんなが疑問に思うことです。それを確認しようと行った研究について紹介します。
モザイクの分類方法
A. モザイクの程度による分類
検査の結果、混ざっている異数性細胞の割合(モザイク率)が20%(検査会社によっては30%の場合もあります)未満のもの
前回まで私の発表した論文について解説してきました。
論文で以下の2点が明確にできたと考えています。
① 初めてIVFを受ける患者さんであれ、事前にIVF不成功経験のある患者さんであれ、背景にかかわらず、全年齢にわたって、PGT-Aを受けた患者さんは受けなかった患者さんと比較すると、移植あたりの臨床妊娠率は有意に高く、臨床妊娠後の流産率は有意に低い。
これは海外の大規模RTC(後方視的ランダム化比較試験)では確認できなかったことです。技術力が一定以上に達していなければ、この
アメリカ生殖医学会の学会誌 Journal of Assisted Reproduction and Genetics 2023年1月号にPGT-Aについての論文を発表しました。
私は神戸の大谷レディスクリニックで長年PGT-A・SRにかかわっていました。大谷では2004年よりPGTを行っており、多くの患者さんの貴重な治療成績が蓄積されていたのですが、学会などで発表しようとしても、産科婦人科学会の取り決めに反して実施している検査、治療については、日本ではどの学会でも発表する