頼むから寝ろよ
「ちょっとアンタ。ここ…ココ…こんな事初めてで」
そうだろうよ。
床にある水溜りは、明らかに貴方さまのオシッコだわ。
ビショビショのティッシュが痛々しい。
「違うのコレ…コレは名前が書いてるからわたしのじゃないのよ」
貴方に差し出したパンツは、貴方の名前が書かれてるから貴方のものなのよ。
でも分かるよ…
貴方が自宅で履いてたパンツには
名前なんか書いてないものね。
名前が書かれてる時点で、既に貴方の持ち物じゃ無いのよね。
「あら、コレはわたしのだわ」
そっか。
新しいものが自分のじゃないんだ。
下ズボンは、名前のある履き古したもんだものね。
「ちょっとアンタ、今度わたしの家に遊びに来て。手芸品あるから見に来て」
オシッコ拭いてるわたしに
今、言わなければならないのか。
いいから寝ろよ、夜の9時だしorz
他の人たちも部屋から出てきちゃうじゃん。
おばぁさまったら、お耳が聴こえない分、声が高くてヒヤヒヤもんだぜ。
とにかく寝ろ…。
認知症コミュニティでの夜勤のひとコマ。
既に出来事忘れてスヤスヤのおばぁさま…。