【再掲連載小説】恋愛ファンタジー小説:ユメと言う名の姫君の物語 第十話 -ユメ-月明かりの逢瀬
前話
私が呆然としていると、とりあえず、婚礼の話はまたいずれ、とタイガーが上手く王妃様をかわして、即、婚礼準備とはならなかった。乙女の覚悟もいるから、と。それで一度、婚礼の話は横に置いて、となった。
その夜、晩餐会が行われた。両王家のものだけのものだったけれど、食事内容は見栄をはったのか、いつもより豪華だった。あまりお腹は空いてなかったけれど、食べないわけにはいかない。適当に食べて、疲れていると言って切り上げようかと悩んでいると、タイガーが言う。
「姫に庭園を案内して頂きたいのですが……」
「おお。それはよい。ユメ。案内して差し上げなさい」
父が満面の笑みで言う。父の得意気な顔を傷つけるわけにも行かず、私はたった。
「それでは、アレクシス王子、こちらですわ」
外用の猫なで声で言うとタイガーは笑いをこらえていた。周りは気づいていない。私達そんなに親しかったかしら。ちょっとした動作がわかるほど。思いながら、庭園に出る。月明かりが私達を照らしていた。庭園の迷路を歩く。もう入り口も出口も知っているはず。でもどこを歩いているのか、今の私にはわからなかった。
「ユメ、いや、シャルロッテ。この庭園の迷路わかってるの?」
「いいえ。記憶がないからわからないわ。なのに自然と入ってしまったの。きっと月が導くわ」
「君は不思議な姫だね。ひどく合理的かと思えば魔法のような気配も持っている。きっと思い出すよ。出口を」
庭園の出口だけでないような気がした。タイガーが指し示した出口は。
「あなたも不思議な人ね。そんな世迷い言を信じる人じゃなさそうなのに。獣医という理性で考える仕事もしてるわね。どっちもどっちね」
俺の国は、とタイガーが言う。
「王族は王族の務めしか果たせないんだ。幼い頃から医者になろうとして我張ってきてある日、医者への試験は受けられません、と指南役の教師に言われたよ。俺は医者になりたかったのに医者にはなれない。色んな本を読んでなる方法を探したよ。法律書から古文書まで読んで。その中に『獣医』という古い言葉を見つけたんだ。動物の医者とあった。これなら、国家資格を取る必要はない。それで俺は、医術を動物のために使うことにしたんだ。流石に周りも文句を言わなかったよ。王族の務めはちゃんと果たしていたし、その傍らで厩の馬の出産を助けた。助からないとさじを投げられた馬の出産を成功させたこともある。その実績から兼務が許されたんだ。俺の国でたった一人の獣医なんだ。民達は獣医の存在を知らない。知ってるのはごく限られた者達だけ。でも、医者になれなかったから獣医でも十分なんだ。時々、むなしさを感じるけれどね」
「それで、あんな顔を……」
え? とタイガーは私を見た。さっきまで月を見上げてとつとつと語っていたけれど。
「顔?」
「ええ。アビーを診ると行った時、少し影があったの。そんな事情があったのね。この国も獣医はいないわ。だからアビーの命の恩人なの。ありがとう。タイガー。あら。こんな散歩日和なのにアビーを忘れているわ」
「今頃夢の中だよ」
「そうね」
私も夢の中にいる気がする。誰かの夢の中のユメ。そんな気がしていた。月明かりはそんなややこしい私達を優しく照らしていた。
あとがき
阪神が中日と延長。あと一回ぐらいではラスト。あまりにも長くて、ええい、ブルーライトカットは後回しだ。予約配信しちゃえーと書いてます。今、すごいところです。サヨナラ勝ちするかどうかの瀬戸際。明日休みかな? 私。なんとなくそんな気がする。気力がそがれているというか。したいことが仕切れて無くてなんだかアンニュイ。昨夜、月曜日から様子がおかしかったのです。間違えて寝る前のクスリを夕方に飲んでから。
朝活用のアカウント作ろうかしら、と考えてます。ここで中心的にはかけないなーと思って。暇つぶしにつくろかしら。名前はかえないけれど。せめて「羽柴あやり」。まぁ。明日作っていたらお知らせします。って水曜日です。
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