【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第十八話 家族ごっこ
前話
遠くでアデーレの泣き声が聞こえる。手には冷たいユレーネの手。いや、母上なのか……。
レオポルトは過去と現在を行き来していた。不意に冷たい水滴が落ちた。
「ユレーネ? 泣いてるのか?」
うっすら目をあけると、ユレーネが手を重ね、アデーレはわんわん泣いていた。
「アデーレ。いや、リリアーナ。兄ちゃんは少し気を失っただけだ。急に思い出が飛び込んできて意識が混濁しただけだ。もう。大丈夫。フロリアンと料理を作って夕食たべよう」
起き上がって帰ろうとするレオポルトをユレーネが黙って押さえる。
「今日はここにいて。心配でついてっちゃうわ。カールとニコがフロリアンに伝えてもらったから、今夜はここにいて」
ユレーネの小さなわがままに思わず抱きしめたくなる。心配させてしまった。空いた片手をユレーネの顔に添える。
「わかった。ここで未来の両親と語らうことにするよ。ユレーネも用事があるだろう? 出て行っても大丈夫だ。ついでにこのリリアーナをなんとかなだめてくれ。俺が起きただけでもまだあの泣きじゃくり様だ。ユレーネと母さんで泣き止ませてくれ。俺の手に余る」
「リリアーナ。お母さんのところへ行く?」
ユレーネが聞くとぶんぶんと首を振る。それを見てユレーネは言う。
「私も嫌よ。レオの側にいて良いのはリリアーナと私だけだもの」
「あらあら。お母さんは入れてくれないの?」
「父は?」
「陛下。妃殿下」
「それは辞めなさいと言ってるだろう。気分はどうだ? ココアが引き金になったようだな。何か思い出したのか?」
「ええ、ココアを作ってくれた母上を思い出しました。すると、急に忘れていた思い出が飛び込んできて意識が混濁しました。母も、この国の女性でした。ユレーネと同じ冷たくて気持ちいい手の持ち主……」
「デボラのことを思い出したの?」
「ひ……母さん! 知って……」
「私達は姉妹のように育ったわ。舞姫同士として競争しながら。そのデボラの息子なのね」
エレナが涙ぐむ。
「母を知っているのですね。今夜はその思い出を話してくれませんか? 俺にはあまり思い出は残っていないので。また記憶は心の底に沈みましたから」
「レオ。心が凍っちゃってるのね」
ユレーネが抱きつく。泣いているようだった。どうして、自分の事でもないのに泣くのだろう。ぼんやりそう思っているとベッドの上にアデーレが乗っかかってきた。ユレーネとレオポルトの間に割り込もうとする。
「リリアーナもー」
「ぐえ」
「まぁ。レオ。リリアーナ。お兄ちゃん押しつぶしちゃダメよ。おねえちゃんも離れるから」
ユレーネが離れるとアデーレも降りる。どうやら兄が恋しいようだ。
「今夜は家族全員で寝ましょう。キングベッドをいくつか並べればできるわ」
エレナの壮大な計画にレオポルトは真っ青になる。
「そんなに人手を割くことなど」
「リリアーナのためよ」
そう言われると致し方ない。押し黙ったところでエレナは手を打つ。
「決まり。あなた、手配してきて」
「はいはい」
王妃のエレナの方が身分が上なのかと見まごうばかりである。レオポルトはおかしくてくすり、と笑う。するとアデーレも笑う。
「リリアーナは兄ちゃんの一番大事な妹だ」
「ちょっと、私は?」
「ユレーネは奥さん」
「じゃ、私は?」
エレナも入ってくる。
「大事なたった一人の母さんですよ」
こうして、にわか親子三先代で夜を過ごすことになったのだった。レオポルトはこの日が一番楽しい日だったと後にも先にも思った事はないのだった。
あとがき
入れるの忘れてました。昨日からまともに寝れてません。足が痛すぎて。やっと収まって三時間の睡眠。そして休むときに限っている社員さんの日なのでまた休むわけにも……。無理して行ってきます。途中で帰るかも。
とりあえず。朝の時間が空いていたのでストックを入れておきました。
あと二話か三話はあったかと。
そういえば、Wordpressに来られたような気がします。あれ? と久しぶりに更新に来るとあったので。足跡が。やっと「影の騎士真珠の姫」はNOVEL DAYSに追いつきました。後の話も入れないと。いろいろあるんです。見ればわかります。誰かっていうのが。代表作でわかるかと。偉そうですが、延々と170日連載していたものがあります。それを再編集版にして載せ治しています。Wordpressは題名がないですがNOVEL DAYSには載せてたりする。臨機応変です。適材適所。題名がいるところでは入れた方が見てもらえるので。
なろうも書いてましたが、三話ぐらいで止まってる。PV数をどう見ればいいかわからないのでほったらかしです。いかんけれど。おお。時間が……。
今日は朝アイス食べれるかしら。体調不良過ぎて寝てるかも。
今日も交流戦。勝ちますように。