【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の 姫第二十八話 ゾフィーを追って
前話
「しっかり馬のたてがみにつかまっておくんだ!」
馬を走らせながらヴァルターは言う。フィーネペルルは必死になってたてがみをつかむ。乗り慣れない馬だが、旅で相当慣れた。一気に近くで幕を張っていたレガシア帝国の本陣に駆け込む。正面突破だ。矢が降り注ぎ、歩兵が足下にまとわりつく。それをヴァルターは一蹴して陣に飛び込んで行く。
「姉上!」
「ゾフィー!」
しかし、本陣の中には誰もいなかった。
「どういうこと?」
フィーネペルルがつぶやく。途端、ゾフィーの悲鳴が聞こえたような気がした。
「ゾフィー! どこにいるの?!」
フィーネペルルは辺りを見回しながら声を出す。ぱっとゾフィーの気配が感じられた。その方向にたどっていく。
「フィーネ。一人では危ない!」
ヴァルターが腕をつかむ。
「こっちなの! ゾフィーの危険が!」
「わかった。丸腰では危ないんだ。その剣は武器ではない。象徴だ。馬で後を追う。フィーネは気配が読めるんだね」
「ええ。ゾフィーだけは」
「では。教えてくれ」
「こっちよ」
二人はまた敵陣の中を駆け巡ることとなった。
いつしか、二人は暗い城のような建物の中にいた。
「砦だ。エルフリア国はそっと狙われていたらしい。旅の途中でやられたな」
馬を下りてゾフィーの気配を必死で追う。
「こっちよ」
階段を上がり始めた頃ゾフィーの声が上がった。
「フィーネ一気に上がるぞ」
ヴァルターはフィーネペルルを抱きかかえると階段を一気に上る。
「あの奥の部屋だわ!」
フィーネペルルも降りて二人で奥の部屋に突っ込む。そこにはゾフィーの肌がはだけ、今にも野蛮な行為をしようとする男がいた。
「姉上!」
ヴァルターが男に体当たりしてルドルフを引き剥がす。
「生意気な。この女は俺のモノだ。俺が王妃にしてやるというのに相変わらず拒否しやがって。弟ごと殺してやる」
嫉妬深いねとりとした闇を持ったルドルフが、剣を抜く。ヴァルターが男と対峙している間にフィーネペルルはゾフィーを部屋の端に連れて行く。ゾフィーは震えていた。
「怖かったわね。もう大丈夫よ。今、外に出ると他の敵に会うとも限らないから、ここで見守りましょう。あの男がレガシア帝国の王ね?」
「どうしてそれを……」
「感じるのよ。なんとなく。あの陰湿な気配から感じるのよ。残虐で非道な事を繰り返してきた男の気配として。ゾフィーも知っていたのね」
「五年前、あの男に狙われてさらわれかけました。必死に逃げようとしている内に河に転落しました。まさか帝王自身だなんて……。自分の戦ぶりを自慢げに話していました。そして王妃になれと。拒んだらこのように無理矢理……」
「ああ。ゾフィー。怖かったわね。私は剣はできないの。出て敵に遇えば一巻の終わりなの。だからもうしばらく待って」
ヴァルターとルドルフは剣を何度も交えていた。ヴァルターより剣の腕は良いらしい。ヴァルターが時々危機的な状況に陥るのを見ていたフィーネペルルはすくんだ足と手に勇気を出すように鼓舞し、王の象徴の剣を持った。
「ゾフィー。ここで待っていて」
そう言って気配を消しながらルドルフの後ろへ近づいていく。
「平和の世をもたらさんことを!」
そう言ってフィーネペルルは細い剣を帝王の心臓近くを一突きした。一瞬男の動きが止まる。だが、振り向いた途端に剣は折れた。
殺される!
フィーネペルルはぎゅっと目をつむったのだった。
あとがき
えらいところで終わりました。どうせ展開は類想ですが。二千字異常にまたがったので話数整えと同時に割ってしまったんです。これもあと二話で終わる。順調にいっている話を書かないと。当分、「魔法の遺産~運命の紡ぎ手~」と「風響の守護者と見習い賢者の妹」ですかね。あとは暇があればエッセイの勉強を。今日もモヤモヤしてノートに向かいましたが、早朝ではあまり改善しませんでした。一日の終わりに書くのが良いようです。
ただ、この人嫌いというはっきりした気持ちがでました。社員さんなんですが、この方の日に休む事が多く、電話を入れるのですが、その時の応対がどうもキツくて。理由も言えないときがあります。欠勤の時は理由もあるのですが、一度、先回りして言葉を言われるのでただ、休み下さい、になってしまった日が。
今日は一日漢検と執筆。土曜日の夜には……。も書かないと。ラストは決まってますが、冒頭や設定がまだ形にならなくて。眠気も途切れないので、考える亊ができません。寝る方がいいんでしょうね。寝るととことん寝るので布団に入らないようにしてますが。
睡眠負債がたまってます。この一週間まともに寝たのは昨夜から今日にかけて。ほぼ一週間ろくに眠れていません。なので疲れがどっと来てます。困った。
眠気が飛んだけれど、足は相変わらず痛い。おかしいなぁ。藥効くはずなんだけど。その辺のことはエッセイの勉強にて……。
ここまで読んで下さってありがとうございました。