【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:ユメと言う名の姫君の物語 第二十三話-ユメ-通じた想い
前話
「本当にお泣きになるなんてびっくりしたわ」
遅い、土産を手渡したとき、王妃殿下は今にも大声上げて泣きそうだった。国王陛下も目に涙を浮かべておられた。
「それだけ、両親には娘に見えるんだよ。俺は雑な扱いなのに。こう、繊細に扱ってもらわないといけない人間なのに……」
タイガーがぶつぶつ文句を言う。
「そういえばお二人とも『ユメ』、と仰らなかったわ。小さく誰かの名前を口になさっていたわ」
「妹の名前だよ。生きていたら君と同じくらいの年だった……」
「タイガー……」
それしか言葉に出来なかった。かけた手をぽんぽん、タイガーは叩く。
「君は妹の代わりじゃない。俺の『ロッテ』だよ。俺には妹に見えないからね。君には大人の聡明さが備わっている。ただの子供じゃないよ」
「そう。そうね。でも、逆に私が嫁ぐ事で思い出させるんじゃないかしら?」
「最初はそうかもしれない。でも、俺がただの縁談相手から思いを告げることの出来る女性に変わったように、両親も目を覚ますさ」
思い? 私はタイガーから恋人になってくれも、愛いしてるも言われてないわ。私の思考が読めたのか、タイガーは苦笑いする。
「男の心情も察してくれ。そうそう好きだ、と言って回る事なんて恥ずかしくてできない」
好き?
「好き、なの? この私を? 友人として? 婚約者として?」
信じられないという感じの私にさらに苦笑いする。
「幸せにする、じゃ、通じないかい?」
「ああ。そういえば、そんな言葉があったわね」
がくー、っとタイガーは肩を落とす。そして私を見つめる。
「君はどうなんだい? 母のためだけ?」
あ。私も言ってなかった……。
「私達、大きな行き違いをしてるようね」
「たぶん、ね」
「せーの、でいきましょうか?」
「そうだね」
私とタイガーは声をそろえてせーの、と言う。
「好きよ!」
「愛している」
ん? 今、多少の温度差があったような。
「タイガー、今『愛してる』って言った?」
「言ったよ。君は『好き』だったね。悲しいよ」
おどけてタイガーが言う。
「私も『愛してる』わ。多分……」
「多分、って」
タイガーが突っ込む。
「だって、いつ恋したのかも、愛するようになったのか、かもわからないんですもの」
「たぶん、最初からじゃないか?」
「そうなの?」
そう思って縁談の日を思い返す。確かあの牡鹿を見た日。アビーをもらった日。ああ。確かに牡鹿はタイガーだったわ。
「一人で納得しないでくれる?」
ちょいちょい、と言う感じでタイガーが言う。
「とにかく。思いは通じたわね。これからどうすればいいの? 恋人同士って何をするの?」
「そりゃ、『ちゅー』だろ?」
「いたしません!」
それを合図にアビーが膝に乗ってくる。
「なんとまぁ、ご主人を守る猫だ。これじゃ、また妨害されるな。『ちゅー』は」
「当たり前でしょう?」
その時、ふいに扉を叩く音がした。
「失礼いたします。アレククス王子、エリザベス様がお見えです」
「また、か」
「誰?」
「君の恋敵だよ。俺に恐ろしいほどご執心でね。困ってるんだ。これから恋人として会ってくれないか? そうすればわかるだろう」
なんですってー! 愛の告白から一転、ライバル登場に私は驚愕したのだった。
あとがき
これも良いところでぶつ切りなんですよねー。スピンオフストーリーはありますが。そして必ずライバルが登場。これは恋愛物語上当たり前の展開でしょう。これなかったらただの色ボケもの。いてもいなくても色ボケかもしれないけれど。ほんとアリアーナの話はきわどかったわー。Kindle化再版考えているヤツを見ていたら危ない言葉がビュンビュンと飛び交う。露骨ではなくて、オトナなら想像できるでしょ、範囲の文字なんですが、低年齢が読んだらこれなに?になる。そして親は説明に困る。どれだけ幼い子が読むかもわからないんですけどね。小学生ももうすごいですから。恋愛物語ワンパターンとかしている気がするのは気のせいではないと思う。何か新たな展開を求めないと。で、チューブで床材の汚れを取ることを言われてやったけれど、結局、水槽の水を飲み込みかけて口の中に砂が入るという悲劇が。まぁ、汚れは取れたのかもしれませんが。二メーターじゃ足りない。砂変えたい。ソイルを。かと言ってちびちゃんがいるのでリセット為てる場合ではない。ひたすら掃除。はぁ。なんとまぁ。恋愛は大変なことやら。ユメは肝心のユメ姫とのところでぶつ切り。すみません。その内続き書きます。一日で書いていた代物なので書けるはず。指の赴くまま書いてたので。緻密な設定はないんです。全部頭の中。なので、書けるはず。お待ちくださいね。その内なくなるので。ここまで読んで下さってありがとうございました。