【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第十三話後編 マリアとゾフィ
前話
四人が一斉に座る。マリアは手をすりあわせて落ち着かないようにしていたが、口を開いた。
「気づけば……川の岸辺に倒れていて……手や足が痛くて……見ればかすり傷がありました。頭もガンガンと痛みがあって、私が誰かも名前も何もかもわかりませんでした。その中でライアン様とカテリーナ様に助けて頂いて、この城に。手首に三つの星座のようなほくろがあります。女神の星座と同じ並び、という事で皆様にマリアと名前を頂きました。こんな所なのですが、お役に立てたでしょうか?」
フィーネペルルが大丈夫よ、と言う具合に手に手を重ねる。
その瞬間、フィーネペルルは目をパチパチした。
「フィーネ?」
異変に気づいたヴァルターが声をかける。
「今、いいえ。マリア。もういいわ。大方のことはわかったから」
「はい……」
マリア自身も狐につままれたような表情をしているが、その場を去った。去ったのを見納めてからフィーネペルルは言う。
「ヴァルトのお姉様、ゾフィよ。手に触れたとき、あなたやマリアやおそらくお父様が過ごしていた時間の事が流れてきたわ。小競り合いに巻き込まれて川に落ちたみたいね。誰かにさらわれかけて、誤って川に落ちたみたい。どうすれば、記憶は戻るかしら。刺激がダメなら、お薬とか……かしら?」
「藥?」
カテリーナとヴァルターが同時に答える。
「私には治癒の力は持っているけれど、何かの衝撃で記憶を失ったのを治す力はないわ。試してもいいけれど、薬に詳しいお母様に聞いてみるわ。それに、私の異端の力を目にしてマリアが心を閉ざしてしまうといけないわ」
そうか、とため息をはきながらというか押し殺していた息を吐いてヴァルターは言う。
「姉上なのか。それだけでもよかった。フィーネが使いたくない力を使う必要はない。無理はさせたくない。フィーネにも姉上にも……」
「とりあえず、薬ということで探しましょう。私には薬なんて思い付かなかったもの。やっぱりフィーネね」
カタリーナが褒めるとフィーネペルルは恥ずかしそうにする。
「恥ずかしそうにする必要はない。姉上と、わかって薬まで考えてくれた。やはりフィーネは私の一番の姫だ」
「ヴァルト」
二人で見つめ合っていると、カタリーナがコホン、と咳払いをする。
「あ」
二人がはっと我に返る。
「カタリーナ。あなただってライアン様と会っていたのでしょ? 言えない立場よ」
「ライアン様はただの護衛よ。あなたの様に。ああ、ただではなかったわね」
「カタリーナ!」
「カタリーナ様!」
二人が立ち上がる。
「執務がたまってるわよ。フィーネ」
「あ。いけない。今日中に片付けないといけない執務があったわ。行くわよ。ヴァルト!」
「ああ」
すでに臣下の立場を越えた会話だが、水を差すのもどうかとカタリーナは見過ごした。それにしてもライアンと自分が……。今では違うが、マリアを見つけたときは本当にただの護衛だったのだ。自分もフィーネペルルのように変わっていたのかしら、とカタリーナは頬杖して考え込んだのだった。
あとがき
書いている内に話の辻褄が合わないことに後から気づいて書き換えた部分も時々ありました。載せるまでよかったーと何度思った事か。「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」もなんやら変わってきてるし、「氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子」なんて、当初考えていた話と随分かけ離れてユングどこ? になってます。影はまだまだうっすらと影があるものの、しかも死と再生がしっかり入ってきてる分内容は元に戻ったけれど。「氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子」はファンタジーはファンタジーだけどなんだかユングがない。占星術もなくなっている。終わってから、うーんと見直しても変えるところが見つからず……。第二部へ突入したのでした。これから「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」のイメージしていた所を執筆しますが、疲労がありすぎて、キーがろくに打てない。座骨神経痛め。これさえなければいいのに。明日は週四の日の最後。今日でお休みじゃない。それを考えると漢検と野球とこれの両立が難しい。ただ、野球中継がほぼ真ん中の時間だけ。おそらく向こうでするのでしょう。ネットには開始から終了までとありますが、テレビ欄にはない。真ん中にぽんとあるのでこれは甲子園じゃない、と思ってます。これ更新したらとりあえず、休憩して頭痛だけマシになれば執筆します。頭痛もするのです。痛み止めが一日二回のため、昼間は飲めないんです。仕事の朝と、寝ると気にいたいいたいと言わないで済むように晩の二回しか飲めません。でも社員の人に聞くとやっぱり私にイブプロフェンしかなかったのでした。胃は荒れるけれど。
とにかく取りかかります。なんだか休むやらやるやらごたごたになってますけれど。
それだけの疲労が……。過酷。エッセンシャルワーカーって。しかし、この仕事しかない。でも英語勉強した方がいいのかもしれないという外国の方の接客があって、ちょっと英検また考えてます。それは違う記事で。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
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