【連載小説】恋愛ファンタジー:最後の眠り姫(88)
前話
まるで、避けるように猛スピードを上げてクルトは帝都から車を出した。私は痛む傷に気を取られ、ただ、クルトのハンドルさばきをボーっと見ていた。心はなんだか空虚だった。
「エミーリエ。もう。帝都から出たから、どこかの宿に泊まろう。ヴィーに一族の村を教えてもらわないとね」
明るいクルトの声に上の空で答える。それを隣のヴィルヘルムが肘でつついて注意を促す。
「あ。ごめんなさい。クルト。気がまだ動転していて」
「わかってるよ。そんなこととっくに。一度、休んだ方がいいというのもそこからなんだ。側にいるから少し眠るといいよ。その前にお風呂も入ろう。フリーデ、よろしくね」
「はい。エミーリエ様。少し落ち着きましょう。アールグレイの茶葉は持ってきていますから飲み物も飲みましょう」
「フリーデ」
涙がじわーっとにじむ。
「おつらいですね」
フリーデが頭を抱き寄せて抱きしめる。
「クルトが助けてくれたから」
か細い声しかでなかった。いつの間にこんなに弱虫になったの? 私。
「弱虫じゃないよ。当たり前の反応だよ。あんな体験したら誰だって怖くなる。男をね。俺を避けるかもしれなかったのに、それすらないなんてエミーリエは立派だよ。男性恐怖症になっておかしくないんだから」
「クルトは夫よ。どうして怖いの? ヴィーは弟だし。フリーデはお姉様だわ。家族を避ける理由はないわ」
「そこが、ありがたいんだ。普通の女性は男性すべてが怖くなる。だけど、君は俺たちをまだ受け入れてくれている。強い女性なんだね。さすがは魔皇帝が最後の眠り姫にしただけはある」
「最後の、眠り姫……ね。そうだといいわ」
「エミーリエ?」
エミーリエの意味ありげな言葉に周りが不思議そうにする。
「また、眠り姫が生まれるような気がするわ。何年も後に……」
「平和の道は険しいんだね。俺たちだけでは課題があるんだろう」
「そうかもしれないわね。人の手による和平を選んだんだもの。まだ、引き返せるけれど……」
「いや、この宝物の存在は恐ろしい。東に渡すわけにはに行かない。さぁ、着いたよ。うちの遠縁が営んでいる宿だよ。エミーリエは一足早くお風呂できれいにしておいで。あったまったほうがいいだろうし」
「ありがとう。クルト」
私はシートから降りると運転席の窓からクルトの顔を引き寄せると頬にキスする。
「気を配ってくれるあなたが大好きよ」
「俺も。強いエミーリエが誇らしいよ。ちゅー」
「ちゅーはいたしません」
顔をそむけるとクルトが顔がぶつかってくる。私は小さく笑うとフリーデと宿に入っていった。まだ、笑える。私は大丈夫。フリーデにも微笑みかけてフリーデはびっくりしていた。案外私って頑丈なのね。自分で驚きつつ、お風呂はどこかしら? と見回す。
「露天風呂が屋上にあるそうですよ。どうですか? 今なら誰も入っていないそうです」
うなずきかけて胸元の傷を思い出す。胸元に手を添えていたのをふっと思って下ろす。貸し切りなら誰も見ないわ。汚い手を洗い流すにはいいわね。
「じゃぁ、お邪魔させてもらいましょうよ。あの、陰湿な男の手を洗い流すにはちょうどいいわ」
「エミーリエ様……。大丈夫です。あんなヤローの手なんて一瞬で踏みにじってやりますわ」
「ヤロー……。フリーデ。ヤローって……」
「あら。本性が出てしまいましたわね」
口元を抑えてフリーデがにっこりする。
「私より強いのはフリーデだわ。ヴィーもびっくりするでしょうねぇ」
「それはそれ。あれはあれ、ですわ」
「最強はフリーデだわ。カロリーネお姉様を抑えて」
「ほら。ぶつぶつ言わないでカロリーネ様もお誘いしていきましょう」
フリーデが手を引く。視線の先にカロリーネお姉様が浴衣を選んでいた。手には三組。色とりどりの浴衣を手にとっては返している。
「お姉様ー」
「エミーリエ!」
手にしているものを落として思いっきり飛び込んだ私を抱き留める。
「さ。テルマエに行きましょ」
「テルマエ? 露天風呂と……」
「昔の言葉よ。好きなの雰囲気が。さ。行きましょ」
「フリーデー。荷物置いてきてー」
「はぁい」
女三人。気楽なやり取りをして露天風呂に入ったのだった。我ながら、現金ね。クルトの顔を見るのが、少し怖かったけれど。時間がたつにつれてささくれだった心が現れはじめていた。
あとがき
無理してよんでたんだとさ。交流していたひと。手帳のアカウント見れば続きのやけくそのつぶやきが入っていた。こっちには入っていない。ということは切られた。自分はさよならして終わったことと放り出したけれど。人の言うことも聞かない。慰めの言葉に耳すらかさない。氷のように心が固まっただな、と理解して縁を切らせていただきました。そんな泥臭いやりとり私、パソコン始めてからくさるほどしましたよ。純情坊ちゃんには恐れ入ったわ。裏切られたらもう自分しか見ない。そんなnoteやめたらいいのに。自己チューのかまってちゃん。私は待っていたのに。元に戻って帰ってくるって。それが切られてた。怒り心頭です。そんな態度でネットすんな。ネットを甘く見るな。私はマイペースに更新しますよ。50人までフォロワー増やしてみていただく場を広げる。そのあとはどうするか問題だけど、四角四面でやるのはやめた。それもその人から学んだのに。言葉を交わすだけ無駄だった人でした。あーあ。しょーもな。と怒りモードなので口調があらいです。関西人なもので言葉は乱暴です。もっとどついてもいいんですけど。するだけ無駄なのでしません。この物語はちゃんと落としどころで落としますので気長に付き合ってください。ここまで読んでくださってありがとうございました。