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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第二十九話 戦の終わりに

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 体が硬直して動けない。剣が振り下ろされようとしていた。反射的に目をつむる。だが、剣は降りて来なかった。そのかわりばさり、と大きなものが近くで倒れる気配がした。そっと目を開ける。ヴァルターが一刀両断していた。
「フィーネ。姉上と部屋の端に言って目を閉じるんだ。見ていいものではないが、討ち取った証として首をさらさないといけない」
「わかったわ。ゾフィー。さぁ」
「ええ」
 耳を塞ぎ目をつむる。だが、部屋の中は血のにおいで一杯だ。気分が悪くなる。しばらくして部屋の人間の気配が消えた。どこかでヴァルターの声が聞こえる。討ち取った事を知らせているらしい。聞き覚えのあるエルフリア国の騎士団の声が聞こえる。
「勝ったのね……」
 フィーネペルルはずるずると床に座り込む。
「フィーネペルル様」
 ゾフィが手を差し出す。
「あなたは強いのね」
「フィーネペルル様こそ。よくあの男を刺して」
「必死だったのよ。これからこんなことの連続だわ。なんたって女王らしいから」
「まぁ!」
 慌てて臣下の立ち位置を取ろうとしたゾフィーをとどめる。
「あなたは姉よ。堂々としていて。故郷に恋人は?」
「もう、五年近くになります。私の事など……」
 哀しげなゾフィーにそれなら、とフィーネペルルは立ち上がって肩をぽん、と叩く。
「エルフリア国で婚活しない?」
「婚活?」
「結婚活動よ。我が国の騎士は美形ぞろいよ。お見合いしていい結婚をなさい」
「姉は嫁に出さない!」
 急にヴァルターの声がする。
「ならあなたは一生私と結婚できないわよ。姉から嫁ぐのだから」
 ヴァルターは声を詰まらせる。
「即位式と婚礼の式だな。その前に挙げてしまいなさい。ゾフィー」
「お父様!」
「フィーネは王の証を綺麗に折ったな。直すのに相当時間がかかるぞ。腕自慢の騎士なら山ほどいる。平和の証としてエルフリア国に滞在して欲しい。ゾフィーが我が国にいなければヴァルターはこの国に来ず、フィーネはこれほど成長しなかった。王族の身分を授与し、幸せな人生が送れるよう取り計おう」
「お父様。大好き!」
 フィーネペルルがゲオルグに抱きつく。それを面白げなく見るヴァルターである。
「ヴァルターは一度故国へ帰るか? 此度のこと父君に報告したいだろう」
「もう。争いが起きない世であれば、一度報告に。姉上と共に」
「ヴァルター」
 切ない声でフィーネペルルが名を呼ぶ。
「帰ってくるの? 私の事嫌いになってない? 血で汚れた手の持ち主よ」
「嫌いなもんか。愛する妻だ。血でと言ったが、致命傷を負わせたのは私。フィーネの手は汚れていない。これからこんなことが何度もある。それを私とともに乗り越えて欲しい。春には戻ってくる。来年の春には」
 もう、この辺りの季節は冬に近かった。春。命芽吹くとき。フィーネペルルはその言葉を胸に抱く。
「じゃぁ。それまでにうんと女を磨いておくわ」
「磨かなくていい!」
 父と婚約者の声が重なる。集まってきていた騎士団長達とともに笑い声が上がったのだった。
 
 それから数日後、ヴァルターはゾフィとともに馬上の人となった。フィーネペルルは姿が見えなくなっても手を振り続けた。
「さ。フィーネ。ドレスにつけるレースを編みますよ」
 涙を浮かべて別れを惜しんでいる娘の手をひっぱて母、エレナが言う。
「カテリーナの方が得意よ」
「他人のレースなんて編むものですか」
「そうね」
「編んでいる内にあの二人は帰ってきますよ」
 母はそれで気を紛らわせろと言っているとわかるとフィーネペルルは顔を上げる。
「私の新しい力は勇気。この力ともに生きていくのね」
「わかったら、さっさと来なさい」
「はい」
 フィーネペルルは編み物が得意なカテリーナに教わるためにカテリーナの元へと向かった。


あとがき
あとラスト1です。長かった。まともなファンタジーで戦いのシーンなど書いた事ろくに無いのになんとか書いた。私の戦いはつねに鎧があったので(アニメの二次)。道具は準備済みでした。ですが、オリジナルは最初から作らないと行けないため、ChatGPTさんと共同開発。まぁ、この作品を書いているときは使いもしませんでしたが。今では丸投げして納得がいくまで考えてもらってます。でも、「氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子」と「影の騎士真珠の姫」は本当に使ってないです。「風響の守護者と見習い賢者の妹」はかなり使いましたが。類義語探しに。風を使ったファンタジーっぽい言葉を散々探しました。国の名前はイメージがあっても言葉が重なったり。大地使ったなぁ。土の国どうしよう? とか。ギリシャ哲学のエレメントをお借りしてるため、四大元素とか関わってきます。と、ここは「影の騎士真珠の姫」だった。これは影を統合するという名目で作られました。すでにそれが終わっていますが、影は色々な所に出てきます。一回で終わることはありません。それでも人は影を受け入れ成長していきます。フィーネの成長もとどまることを知りません。第二部が書ければ書きたいです。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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