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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:正直な王子と正直じゃない姫君(3)食べ物の威力はどこでも一緒

前話

ふっ、と意識が戻った。食べ物の匂いで。で、その食事を見てまた凍り付いた。

「これ、なんなのよ!」

 あたしの生きていた時代、いいえ、今も生きてるけど干し肉とかそんなものだったわ。あの白いパンみたいなのは何?! 食べられるの?! パンとパンの間に何かが挟まっている! 毒入りじゃないでしょうね?

「サンドウィッチ、だけど。姫はタンパク質も取ってないだろうから鳥の照り焼きと野菜をサンドしたものを用意したんだけど、お気に召さなかった? 一口だけでも食べれば解ると思うけど。はい。あーんして」

あーん?

 驚愕しているあたしに、さらにエルンストは言う。

「口開いて。サンドウィッチ入れてあげるから。なんなら一口サイズに切ろうか?」

「一人で食べれるわよ!」

あたしはむんず、とサンドウィッチなるものをひったくると口に入れる。甘辛い味が口の中に広がる。そして鶏肉の柔らかさに驚いた。

「これ、トリ、なの!?」

サンドウィッチをやっと喉から胃袋に送ってあたしは言う。

「そうだよ。トリ肉嫌い?」

「いいえ、好きだけど、こんなに柔らかいのは初めてよ」

 ここへ来てやっと異常事態だった思考が回り始める。

「今の暦は何月何日なの? 時間は? 今はどこの国が宗主国なの??」

「えっと~」

「えっと?」

「よく知らない」

 あたしは一気に脱力する。この食事ののった銀のお盆で殴りたい。

「エルンストの言葉の意味は知ってる?」

 逆質問されてあたしの忍耐力がキレそうになる。

「しらないわよ。馬鹿とかじゃないの?」

「正直、という意味。姫君には嘘はつかないから安心して」

「姫君はやめて。エリアーナよ」

「エリアーナ。この食事終わったらゆっくり眠るといいよ。びっくりの連続だったと思うから。じゃ、俺、父王に報告してくる」

「ちょ・・・。エルンスト!」

 急に一人にされてあたしは不満を覚えながら、サンドウィッチなるものにぱくついた。



「はぁ~。食った食った」

 久しぶりの食事に腹包みをぽんぽん叩いているとエルンストがやってきた。

「じゃ、明日からはこの服でね」

「サイズあってるの?」

「うん。姫君・・・エリアーナのスリーサイズは古文書に載っていたから」

 そんなものに載せるなー!

 あたしはまた銀のお盆でエルンストを殴りつけたいと思いながら、質問する。

「古文書って・・・二千年前のものなんて残ってるの?」

「うん。電子書籍で」

「なに? で・・・でん・・・?」

「電子書籍。古文書を一ページごとに画像撮って文字起こししてあるんだ」

 あたしの国でも複写ということはあったけど、画像? 電子書籍?

「エリアーナ。頭から湯気がでてるよ」

 エルンストの言葉にあたしは慌てて頭を押させる。

「嘘だよ。エリアーナはさっきから驚いてばかりだから、今日はもう休んだ方がいい。お休み」

「嘘つかないんじゃなかったの?」

「ただの冗談だよ。嘘とは違う。俺はエリアーナには嘘をつかないよ」

 ほんとにぃ~?

 疑いの眼差しで見るあたしをエルンストはベッドへ行くように視線で促す。確かにさっきから眠い。あたしはふらふらとベッドに横になるとあっというまに眠りに落ちていった。

翌朝、聞いたことのない小鳥の音であたしは目を覚ました。

「確か、これに着替えるのよね。あーコルセット外し忘れていた」

「姫君、おはよー」

 扉を開けかけたエルンストに枕を命中させる。

「着替え中!」

「お嫁さんなんだからいいじゃないか」

「次、ナイフ飛ばさせたい?」

「ひえ~」

 わざとらしい声を出してエルンストは逃げる。

 あたしは息苦しいコルセットを外して用意された服に着替える。とたん、またカルチャーショックが起こった。

「なになのっ? この服、足が見えるじゃないの!」

「今、女の子の中でミニスカートが流行ってるんだ。エリアーナにも用意したんだよ」

「却下。長い裾のものを用意して!」

 扉越しにケンカを始めるあたしとエルンストだ。

「しかたないなぁ。母上に掛け合ってくるよ。娘ができたと大喜びだから、すぐに用意できるよ」

 しばらくして召使いが入ってきた。

 これも話す金属じゃないでしょーね。疑ってみると召使いはにっこり笑う。

「ちゃんと。人間ですわ。姫様。城下町でミニスカートが流行っていますから気を遣ったのでしょうが、姫様がびっくりするのは当然ですわ。こちらをお召しになってください」

「あなた、名前は」

「エミリア。エミリーと気軽にお呼び下さい。下着もご用意しました。昔の元はかなり違いますが原理は一緒です。外へ出ていますからお召し下さい」

「ありがとう。エイミー」

あたしが礼を言うとエイミーは部屋を出て行く。


あとがき
神様ご光臨、ここに持ってきた方がいいかしら。羽の生まれる街もプレリュードで終わってるし。過去作格納庫も消したので、載せられないんですよね。財政難でして。安定した収入が得られるようになれば、また考えますが。明日は羽の生まれる街を二、三載せましょうかね。でもどうもまだ納得のいってない話なんです。文章として成り立ってないような。改稿しながらの掲載にしたいと思ってます。書いた時期と今の意識が全然違うので。作品に向き合う姿勢が二次創作を量産していた頃とは違うんですよね。二次創作は悪くないんですが、借りてる、という意識があるので罪深いんです。一時創作は自分で考えているから思った通りにかけるし、真摯にもなる。きゃいきゃい書くことはない。かっこいい台詞を言わせたいとかないんで。今回の星の誓い悲恋になりそうでした。ラストが決まったので、星の誓いはなんとか完結させます。また、忘れかけているけれど。この話は完結してるのでご安心ください。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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