![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/151346495/rectangle_large_type_2_35bfbbdf04153e81f73a469b6dc11d9e.jpeg?width=1200)
アナ・リリー・アミールポアー『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』2022 抵抗する女たちの奇妙なお伽話。
赤い月と笑わない女。抵抗する女たちの奇妙なお伽話。
イラン系アメリカ人のアナ・リリー・アミールポアー監督長編3作目。宣伝に〈次世代のタランティーノ〉と謳われていたのでグロいのかな〜と思っていたらぜんぜんそんなことなかった。タランティーノという男性監督の名前を冠にするのもどうなんだろう?そもそもタランティーノのどの要素を?とか思っちゃった。
笑わない女こと主人公のモナは統合失調症により精神病院に隔離され、看護師からも虐待され、不当な扱いを受けている。そんな彼女が赤い月の夜に人を操る超能力を手に入れ、支配と被支配が反転していくという物語。北朝鮮からの亡命者としてアメリカにやってきたものの10歳のころから隔離され、アメリカの街はおろか世間のルールさえもわからないモナが超能力を使って成し遂げることが気に入ったスナック菓子を食べること、理不尽に殴られていた女(ポールダンサーのボニー・ベル)を助けること、自分を捕らえようとする警察官から逃れること、ボニー・ベルの息子チャーリーをいじめっ子から助けること、など社会の周辺に置かれた自分、ひいては自分を助けてくれた大切な人を助けるためだけにのみ行使されていく。スナックを食べて、映画を見て、メタル音楽で踊り、最後はこの街から脱出する。物語の最終局面にいたっては、いっさい能力は発動されず、コワモテだけど親切なファズの協力とチャーリーの決意によって街から逃れることができるというヒューマンドラマだった。生きづらさに対する反撃としての超能力というところが気に入った!
![](https://assets.st-note.com/img/1724122978880-EHyFjDvQkm.png)
Mona Lisa and the Blood Moon|2022|106分|アメリカ|
監督・脚本:アナ・リリー・アミールポアー
撮影:パベウ・ポゴジェルスキ
出演:チョン・ジョンソ、ケイト・ハドソン、エド・スクレイン