【詩】本当はもっと愛されたかった
3歳の時
妹が生まれてから
一度しか抱っこをしてもらったことがない
その頃はなんとも思わなかった
でも今思えばちょっと
愛情に飢えていたのかも
生意気な小学3年生だったある夜
テレビを見ながら寝てしまった
…ふりをしていた
父と母が
「起きてるんじゃない?」
「いや、寝てるよ」
なんて私の前髪を上げて確認してる
私は気づかれないように
精一杯寝たふりを続けた
ちょっとしたゲームのようなつもりで
「好きな男の子ができたらしいよ」
「テストで60点取って、先生に『どうした?』
って呼び出されたみたいよ」
いつも私が寝たら
こんな話をしてるんだ?
違うのにな…
あいつは好きな子なんかじゃないのに
訂正できない歯痒さを抑えていたら
私はふわっと宙に浮いた
父が私を抱き上げて
ベッドまで運んでくれた
楽しい!
寝ちゃうと運んでもらえるんだ!
また運んでもらいたい!
私はその後も何度か寝たふりをしたが
必ず見破られた
抱っこで運んでもらえたのは
あの夜一度だけ
なぜあの日だけは
起きているって見破られなかったのだろう
妹のようにベタベタに愛された記憶はない
いつも少し冷めたふりをしていた
でもきっと本当は
もっと愛されたかった
だって一度だけ抱っこしてもらえた
あの日のことを
今でも鮮明に覚えてる
©2023 alice hanasaki
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