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太宰府天満宮|今だけの特別な仮殿(藤本壮介設計)、境内から天開稲荷社
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天神様といえば菅原道真公。
学問の神様として受験シーズン前にはとりわけ参詣する人が多くなります。
日本全国の神社8万社のうち3番目に多い神社が天神さまです。神社本庁「全国神社祭祀祭礼総合調査」(1990〜1995)では3,953社。8万社に数えられない小さな社まで含めると12,000社程あるとも言われています。
実在の歴史的人物が神となった最初期の例(?)
御祭神は菅原道真公(承和12年〜延喜3年/845年〜903年)。平安時代前半に実在した人物です。
祀られた当初は恐ろしい祟り神と認定され、これを鎮めるためでした。その後、歴史が下ると学問の神様として祀られるようになりました。
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「杉本博司 本歌取りー日本文化の伝承と飛翔」展(姫路市美術館)に出展時のもの
*太宰府天満宮には展示されていません
神様に祀られるまで
異例と言われた大出世でナンバー3である右大臣に昇ります。しかしその直後に突然太宰府に左遷され、数年後には失意のうちに亡くなってしまいます。
ライバルだった藤原時平は政権を掌握するも、その後若くして亡くなります。さらにその後皇太子も亡くなり、疫病も流行りだします。
紫宸殿に落雷があり公卿が亡くなり、そのショックか醍醐天皇まで崩御してしまう。
大事件がつぎつぎに起こり、そのたび道真公の怨霊認定が深まり、雷神まで操ると噂されるようになります。
このようにして怨霊を鎮めるため、左遷は取消、高位を追贈されました。
太宰府近くの墓所には社殿が造営され、やがて現在の太宰府天満宮が成立しました。
生前は歌や詩文に優れた能書家で、大陸の動向にも詳しく遣唐使廃止を決めた有能な行政官であった。それなのに無実の罪に陥されたというストーリーが出来て、神様として崇められるようになりました。
実在の人間が神様となった最も早い例ではないでしょうか。
こうして、平安時代末には学問の神として、貴族から庶民まで信仰されるようになりました。
江戸時代には寺子屋の神様として祀られるようになりました。
ちなみに京都の北野天満宮は道真公以前から在り、雷神を祀っていたことから、雷神を操るとされた道真公と習合したようです。
飛梅
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御本殿に向かい右側にあるのが、道真公を偲んで京から一夜で太宰府まで飛んで来たと伝わる「飛梅」です。天満宮の社紋は「梅紋」を用いています。
道真公の子孫だという加賀前田家の家紋は「加賀梅鉢」を使っています。
ちなみに梅だけでなく、桜も松の伝説もあります。
桜は寂しさで京で枯れてしまい、松は飛ぶ途中で力尽きたと言われます。
人形浄瑠璃や歌舞伎で人気の『菅原伝授手習鑑』の登場人物、梅王丸、松王丸、桜丸はこの伝説をもとにしたものだそうです。この物語では道真公は菅丞相、敵役の藤原時平の呼び名は「ときひら」ではなく「しへい」と呼ばれます。
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臥牛
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ここで記念撮影する団体さんが多いので混んでいます
道真公の埋葬行列の途中で、急に牛が臥せて動かなくなった場所に道真公を葬った場所が現在の太宰部天満宮の場所だと伝わります。境内のあちこちにある臥牛の像はその時の横たわった姿と言われています。
菅原道真公は、生まれた日も亡くなった日も丑の日だったそうです。とりわけ命日とされる2月25日には「梅花祭」が行われます。
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仮殿
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2023年から3年間限定の仮殿
令和9年(2027)に、菅原道真公薨去1125年の式年大祭を予定しています。そのための御本殿「菅聖庿(かんせいびょう)」を124年ぶりに大改修しています。
2023年から3年間限定の「仮殿」が建てられていますが、これが大変素晴らしいです。
屋根の上に森があるような、背景の木々との風景と自然に溶け合うような、神社以前の原初的な聖地の佇まいを想像させる建物です。
この素晴らしい仮殿の設計は建築家の藤本壮介さんによるものです。
藤本壮介展(宝物館)
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天満宮宝物館では2025年8月31日まで「藤本壮介展」が行われています。関西・大阪万博(EXPO2025)の会場デザインをプロデュースし、2025年7月から東京の森美術館で「藤本壮介展」も開催される大注目の建築家です。
御本殿(改修中)
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心字池と3つの赤い橋
3つの橋は「過去」「現在」「未来」とされています。
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次の現在の橋では脚を止めないこと
3つめの未来の橋ではつまづかないこと
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お石の茶屋で梅ヶ枝餅
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さだまさしの「飛梅」の歌詞そのままです。
天開稲荷社
お石の茶屋から天開稲荷社へ向かいました。
特に奥の院は福岡最強のパワースポットとして人気です。
金運と商売繁盛のお社とされています。
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少し空気が変わった感じでした
稲荷社から尾根筋を下りそのまま抜けると「だざいふ遊園地」と「九州国立博物館」方面に通じています。
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今だけ特別な景色が見られる太宰府天満宮について書き留めました。