月間ルーマニア誌2月号―2021

読者の皆様こんにちは。

さて、早速だが、一月号はとても短いものだったのもあり、今回は一月の出来事にも軽く触れようと思う。

原因は不明であるが、この月間ルーマニア誌を始めてから、膨大なショックを与える火事がルーマニアで増えた気がする。1月終盤、またしてもルーマニアの病院で火事が発生したのだ。しかも、今度は首都のブカレストの病院、コロナ専用(元々感染症専門のものだった)のマテイ・バルシュ感染症病院での出来事だ。私事ではあるが、2019年の秋、私自身そこで入院した経験もあるため、個人的にもショックだった。最終的な被害は、死者5名。全員コロナ患者であった。ピアトラ・ニャムツの事件からまだ数か月しかたっていない状況でだ。

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ルーマニアでは、病院などの管理職に就く人間の大半が「知り合い」のおかげでそのポジションを手に入れる。"Spitalele romanesti sunt politizate" - 「ルーマニアの病院は政治に左右されすぎる」、そういう認識がどんどん広まっている。そして、この認識が事実であることは、数か月のうちに立て続けに起こった火災を見れば明らかであろう。実際、ルーマニアの病院の大半は、共産主義時代の名残で国営である。私営の病院は料金が高く、普通の医療保険ではカバーされない。そのため、普通人口の大半は国営の病院に行くしかない。しかし、それらの病院は、機械の近代化もあまり進んでいないどころか、衛生面でも完ぺきとはいいがたい。そんな状況の中、昨年11月、ブカレスト市長のニクショル・ダンは、2021年をもって、病院の管理職についている人たちを「公正な試験に基づいて一新する」と明言していた。それがいつ起こるかはわからないが、衛生面、安全面のために、’できるだけ早く実現することを願っている。そしてこれらの改革は、ブカレストだけでなく、ルーマニア全土で起こるよう願っている。

もう一つ「火災」事件がここ二か月で起こっている。2月16日、ブカレスト工科大学で強い煙が観測され、10台の消防車が駆け付けた。おそらく、立て続けに起きた火事でかなりナーバスになっているのだろう。しかし、実際火が広がることはなく、地下にあった部屋が炎に包まれるだけで収束。けが人はいなかった。大学側が早期に発見し通報したこと、消防団が迅速に対応したことの賜物である。これからも同じくらいの警戒心をもち、被害者が出ないよう徹底してもらいたい。

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大学といえば、かなり反響を呼んだ政策が新内閣によって施行された。2016年から、ルーマニア人の児童生徒及びルーマニアの大学の学生(国籍関係なく)は、国内の鉄道において無料が保証されていた。しかし、それを無効にし、無料ではなく半額割引にとどまらせる新しい法案が可決。ルーマニア全土で学生がデモ活動をしたが成果はなく、結局無料で鉄道に乗れる日々は終わってしまった。個人的な意見を言うと、ルーマニアは財政的に余裕はないため、合理的な判断ではあると思う。しかし、学生として無料ではなくなったのは少し痛手である。それに、学生たちが、議会員たちは、電車の無料だけでなく、国内線は飛行機でさえ無料に搭乗できるという法が存在することを指摘しており、そこもまた考えさせられるところである。

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大学関連でもう一つ全国を震撼させたものがある。1月19日、くルージュの国立大学の大学生の自殺騒動だ。18歳の男性であった。テスト期間の重圧に押されて自ら命を絶った。この事件から、いろいろな大学の教授たちの悪行が、オンラインという特殊な状況下もあって、どんどん暴露されている。例えば、ブカレスト大学の外国語部の教授、同じくブカレスト大学の法学部の学監など。法学部の学監に関しては、筆記試験をかってに口答試験に変えただけでなく、朝の二時まで時間がかかったというのだから、かなり悪質であると言わざるを得ない。法的にも禁止されていることであるし、ちゃんとした罰を受けるべきである。

さて、これからはもっと政治的なニュースについて語りたいと思う。まず、新内閣についてだ。予想通り、右派連合の内閣成立。PNL(国家自由党)、USR-PLUS(ルーマニアを救う会・自由団結連帯党)、そしてUDMR(ルーマニアのマギャール人連合党)から大臣たちが選ばれた。20の役職のうち(総理、副総理含む)、9つがPNL、7つがUSR-PLUS、3つがUDMR、1つ無所属の人に分け与えられた。女性の大臣が一人しかいないというのがバッシングされたが、個人的な見解を言うと、性別ではなく能力を重視すべきだから、今この瞬間、これらの党の最も有力な人物たちがほとんど男性なら、強制的に女性を選ばせるほうが問題なのではないだろうか?女性ばかりの内閣もいいし、男性ばかりでもいい。基準が能力である限り、性別というクライテリオンを作るべきなのだろうか?

話がそれた。もう一つ反響を呼んだことが、教育省の大臣に、かつてPSD(社会民主党)内閣時代に、同じく教育大臣として選ばれたSorin Campieanu(現PNL所属)という人物が選ばれたことだ。なぜ問題視されたのか?それは、ブカレスト大学が盗作と断定した当時総理大臣ポンタの博士号を、「コピー品」ではないと擁護したからだ。あらゆる方面から、この人物を教育大臣として登用する判断が激しく非難された。

最終的に、とりあえず内閣は決まり、それなりに安定した活動をしているように見える。少なくとも今の時点では。対コロナワクチンは、供給率が世界7位であるし(もちろん、EUなしではなしえなかったが)、少しずつ緊急事態宣言によって施行された制限も緩和されてきている。先月から再びレストラン内などで食事をとるのができるようになったし(席の3割までなら)、映画館や演劇場も開放された。

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しかし、一見したら安定しているように見えるルーマニアの政治に、巨大な不和音が響く。元AUR(ルーマニア統一連盟)のショショアカ議員が、妄言を吐き捨て続け、見事なほどのヒステリックな行動を繰り返すからだ。ラディカル右派のAURから追放されたほどだから、どれほどひどいか想像できるだろう。

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いくつか例を載せる。

まず、国会中にフェイスブックでライブ配信をはじめること。これはまだ序ノ口である。

次は、上院議会での発言を載せる。”femeile sunt omorâte și se distruge matricea națională a poporului român! Puteți să mă amendați, puteți să faceți ce vreți, adevărul va ieși la iveală! Omorâti România pas cu pas, vaccinând femeile, care duce la sterlitate”(女性は殺され、ルーマニアの国家的子宮〈?〉は破壊され続けている!罰金を科されてもいい、どんな罰を受けてもいい、しかし事実は最終的に知れ渡る。あなたたちはルーマニアを少しずつ殺している、女性にワクチンを接種させ、妊娠の出来ない体にしているから)。

ほかにも、色々な国家施設、特に省庁にいき、マスクもつけずにそこの責任者と話したい!とわめいたりもする。例えば、2月22日、労働省前で、スマホ片手にFacebookでライブ配信をしながら、コロナが嘘であること、ワクチンは人殺しの道具であることを語った。その三日後には、法務省前で同じことを展開。

最後にこの人物のことをリサーチしてたら見つけた面白い記事のタイトルだけを紹介しよう。”Diana Șoșoacă și-a pus mască.”ディアナ・ショショアカがマスクをつけた。12月の記事であるが、周りがどういう認識を彼女に対してしているのかがわかる一文であると思う。

ショショアカ関連のニュース以外でAURは話題にすら上がっていない。静寂を突き通している。これがいいことなのか、悪いことなのか、それはまだわからないことだ。唯一、反響を呼んだのが、AURが党として、総理大臣に映画監督のCalinescu氏を推薦したことだった。彼もまた、反ワクチン派であり、狂信的なクリスチャン保守である。ユーチューブで、神を信じればワクチンなんていらないという趣旨の動画を挙げたほどだ。(今は消されているようだが)。

ここ二か月、ルーマニアは非常に良い状況にあると思う。もちろん、不協和音は存在する。しかし、ワクチンは順調に人口に配布され、少しずつだが確実に、辺鄙だが大切な、普通の日常を取り戻す大きな一歩を踏み出している。乱れなく最後まで、このコロナ収束への道を歩み切ってほしい。

P.S.僕も3・4月中に接種する予定です。


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