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「美意識に反することをしない」ということ

『部屋だけではなく、ベランダでもタバコは吸わないでください』

ある日の仕事帰り、エレベーターに乗ると、壁に注意書きが張ってあった。

翌日。出勤時にエレベータに乗ると、粘着力が弱かったのか、その張り紙は床に落ちていた。

こういうとき、あなたはどうするだろう。

・紙を張りなおす?
・誰かがやってくれるだろう、とスルーする?

僕はどうしたか。
少し迷って、紙を張りなおした。

誤解がないように伝えておくと、僕はあなたに自分が善人であることを伝えたくて、この件を書いたわけじゃない。

僕が大切にしている”美意識”について伝えたくて、この件を書いたのだ。

美意識とはなにか。

ChatGPTに聞いてみると、次のような返事が来た。

美意識とは、人が何を美しいと感じるか、あるいはどのようなものを美しいと捉えるかを判断する心のあり方や感性のことです。人はそれぞれ異なる経験や価値観を持っているため、美意識は個人差が大きく、文化や時代、個人の価値観によっても変わっていきます。

ざっくりといえば、美意識とは自分が美しいと感じる意識のことである。
美意識は人によって異なるのも特徴だ。

さっきの張り紙の話に戻ると、紙が落ちていることに気づきながら何もしないことを僕は美しくないと思った。

それは僕の美意識に反する。

だから、僕は自分の美意識に従って紙を張りなおしたのだ。

今回の張り紙のような、誰が見ているわけでも誰が評価しているわけでもなく、自分の美意識に問う瞬間は結構ある。

たとえば会社のゴミ袋を新しいものに入れ替えること、とか。

会社でコンビニコーヒーのカップを捨てようと思ったら、ゴミ袋が結構いっぱいになっていた。

とはいえ、まだカップを捨てられるほどの余裕はある。

このときカップを捨てて立ち去ることもできるだろう。
別に仕事における評価には繋がらないし、誰も見ていない。

でも、それは僕の美意識に反するから、ゴミ袋を新しいものに変える。


美意識に基づく行動はときに偽善者に見えるかもしれないが、僕が美意識に従う理由は極めて自己中心的な考えだ。

僕が美意識に従う理由は、自分のことを嫌いになりたくないから。

美意識に反した行動は、あとになってボディブローのようにきいてくる。

「あぁ、今日のあのときの行動、あぁしていれば良かったなぁ」って。

張り紙を張りなおす、のようなほんの些細なことにしたって、やらないと後悔することが多いのだ。

だから僕は美意識を大切にする。

やって意味があるとか、誰かのためになるとか、そういうのも大事なんだけど、それ以上に大切なのが「美しい」と感じるかどうかなのだ。


そういえばゴミ袋で思い出した話がある。

以前別の会社で働いていたころ、いつもよりも1時間以上早く出勤する日があった。

僕が出勤すると、その人はゴミ箱の袋を新しいものに交換し、ゴミ袋を地下のゴミ出し場に運ぶところだった。

出勤が早い印象はあった。
いつもの時間に僕が出勤するときは、すでにその人はパソコンの前で静かに仕事をしているから。

気になったので、また別日に早く出勤をしてみた。

すると、同じようにゴミを出しに行っていた。

たぶん、毎日してくれているのだ。
だから会社のゴミ箱はいつも満杯になっていないのだ。

その人は会社の社長だ。

早い時間に出勤をして、メンバーが働きやすいように掃除をする社長。
僕はそれを「美しい」と思った。

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