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【育児の思い出】ほんとにマーライオン

憧れのシンガポールにはまだ行った事はない。
世界三大ガッカリ名所のひとつに数えられる
マーライオンだがやはり現地で見てみたい。

さて、我が家の子供たちが2歳と0歳だった時のこと。
近所のお友達が何人かでうちに集まった。
そうしたらそのうちの1人が
『なんかうちの子今朝早くに大量に吐いてさ。慌てて朝イチで病院に行ったら白色性下痢症だって言われたのよ。
薬飲んだら元気になったんだけどね。
もしみんなこれから吐いたらそれだから。』と
ケラケラ笑いながら、のたまった!

私は口にこそ出さないが
『そんなうつる病気がある状態で人の家に来るなんて!』とたいそう驚いた。
彼女は『早めにいろんな病気もらって丈夫にした方がいいのよ』などと言って本当に意に介していないようだった。

不安はその夜に的中してしまい、
我が家の0歳の方が腹痛で転がりながら
ギャン泣きをする事態となった。
見ているのも可哀想なほど苦しそうで、
吐いた物や下痢のオムツを処理したり
あやしたりしながら
一晩中何軒もの医院に電話をしてもどこも出ず、
市立病院に問い合わせても
『小児科の先生はいないから来ても無駄ですよ』と守衛に言われる始末。
救急車を呼んでいい状態なのか、
もしかして腸重積なんじゃないか、
どこまで様子を見ていいのだろう、
不安で押しつぶされそうになりながら祈るように電話をかけ続け、
やっと繋がったのは市のはずれにある病院。
『すぐお連れください』と言ってくれた時は
安堵で力が抜けてしまったが、
なんのことはない、
もう朝になっていて既に診察開始の時間で、
緊急で診ると言ってくれたわけではなかった。

気を取り直しておんぶと抱っこでタクシーに飛び乗り、市のはずれの病院まで急いだ。
息子はぐったりとして顔色も悪く、泣くこともなくなってしまっていた。
2歳の娘も朝早くから連れ回されては不機嫌だ。

その総合病院の小児科の診断によるとやはり
白色性下痢症であり、
赤痢が赤いのに対してこちらは便が白いことから白痢と言うこと、
嘔吐の勢いがすごいこと、
顔に表情があるから大丈夫、
などを言われた気がする。
顔に色がなく目も虚ろな感じがしたので、
お医者さんから見たらこれは良い方なのだと
驚愕した。
とにかく見た目が可哀想で胸が痛かったのだ。

きちんとした診断を受け、看病する際のアドバイスと薬をもらえたのでようやく少しだけ安心することができ、子供達を抱えてタクシーに
乗れたのはもうお昼。
再び短くない移動距離、親子3人ぐったりだ。

その後泊まりがけで飲み会に出掛けていた夫が帰宅し、少しは大人の手が増えて楽になれるかと思ったのだが・・・。

家の廊下をご機嫌でスキップしていた娘が突然無言でピタリと立ち止まり、盛大になかなかの量の物を口からすごい距離、綺麗に飛ばした。これはちょっと感動するほど、
まさしくマーライオンだった。

それからのことはよく覚えていない。
0歳児より2歳児の方が病状が軽かったのかもしれないし、
もしかしたら、大人のくせに白痢を子供から
もらって寝込んだ夫に怒り心頭だったという
記憶の方が大きかったせいかもしれない。
私は罹っていないし、実際大人はあまり罹らないらしいのに。
遊びすぎでよく休日に体調を崩すので、この時もいつものパターンだったのだろう。

家族全員の看病をして体力を使い果たし、
お母さんは最後にダウンしても
世話をしてくれる人は誰もいないというのは、   おそらく世の常なのでしょう。

娘は現在30歳
息子は28歳
まだまだ可愛い盛りです。
夫の行方は知りません。

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